朱鎔基総理、インドのバジパイ首相と会談

 朱鎔基総理は114日、ニューデリーでインドのバジパイ首相と会談を行い、両国関係や共に関心を寄せる問題について突っ込んだ幅広い意見交換を行った。

 バジパイ首相は朱首相のインド公式訪問に歓迎の意を表し、「インドと中国は古い文明をもつ国家で、大国でもあり、現在、両国はともに近代化に取り組んでいる。そのため、我々は平和と安定を必要としている。インドは中国との関係を非常に重視しており、平和共存5原則を基礎に両国の協力を発展させていきたい。中国がインドに脅威をもたらしているとは考えていない。われわれは隣人であり、友人でもあり、学び合い、協力して美しい未来を創造すべきだ」と述べた。

 朱鎔基総理はインド政府の招請に感謝し「この数年、インドは国家を建設する事業で大きな成果を収めている。それに祝意を表したい。友情を強化し、信頼を増進し、協力を拡大することが今回のインド訪問の目的である」と、次のように述べた。

 中国は平和共存5原則にのっとって、インドと建設的な協力パートナーシップを構築していきたい。中国とインドの間には幅広い共通点と大きな協力の潜在力がある。第1、両国はかつて人類の文明に大きな貢献をし、両国人民の間には悠久の友好交流の歴史がある。第2に、世界最大の2つの発展途上国であるわれわれは同じような歴史を経験している。民族の独立、人民の解放をめざす闘争のなかで、一貫して同情し、理解し、支持しあってきた。第3、両国の指導者は平和共存5原則を共同で提唱した。これらの原則は多くの国が受け入れている国際関係の基本準則となっている。第4、両国の国情は似ており、両国とも全面的な経済改革に取り組んでいる。両国とも経済を発展させ、総合国力を増強し、人民の生活水準を向上させる困難な任務に直面している。第5、両国とも地域と世界の平和と安定に重要な責任を負っている。

 両国の共通認識は食い違いを遥かに上回っており、利益は摩擦を遥かに上回っている。中印関係の未来に自信をもっている。

 朱鎔基総理は新しい世紀に両国の全面的協力を深めるために次のようないくつかの提案を行った。

 1、両国のハイレベルの相互訪問と各分野の交流を維持する。中国とインドは大きな発展を遂げているが、相互理解が足りない。両国がハイレベルの往来を維持することは、両国関係の発展を促進することにとって非常に重要であり、バジパイ首相の訪中を招請したい。また理解を深め、信頼を強化するため、両国議会、政党、マスコミ界、学術界、民間団体が人的交流を拡大することを願っている。双方の交流に便宜を提供するため、中国側は今年の3月下旬に北京とニューデリーを結ぶ定期航空路を開設することを決めた。インドの航空会社も航空路を速やかに開設することを願っている。

 2、経済貿易分野の互恵の協力を強化する。両国は経済を発展させる共通の任務に直面している。双方は発展の過程で経験を交流し、長所を取り入れて短所を補うべきである。中国はすでに世界貿易機関(WTO)に加盟しており、中国の市場はいちだんとインドに開放するであろう。今回のインド訪問には多くの企業家が随行しており、双方は協力を拡大する方途と形式を共同で開拓すべきだ。

 3、科学技術分野の交流と協力を拡大する。長年来、インドは強力な科学技術基盤を構築しており、宇宙や情報技術(IT)分野の実力はかなりなもので、両国はこれらの分野で協力を進め、学びあうことができる。

 4、地域協力を推進する。先日開かれた南アジア地域協力連合(SAARC)首脳会議が南アジア各国の繁栄を促進する面で積極的な役割を果たしたことに祝意を表したい。中国はSAARCなどの地域組織と友好関係を確立していきたい。

 5、両国関係に存在する問題を善処する。長年にわたる努力によって、双方は「相互理解、相互譲歩、相互調整」の原則にのっとって国境問題を解決することで共通認識に達した。双方は「国境の実際支配ライン地域における平和と安寧を維持する協定」と「国境の実際支配ライン地域における軍事分野の信頼を醸成する協定」にも調印した。中国側はインド側と共に、この2つの協定を履行し、国境実際支配ラインを確認する作業を速めていきたい。