経済発展の面で生態系環境保護を優先的に考慮する新疆

馮建華

 今年上半期、新疆ウイグル自治区の石河子市は国連から「人間居住環境改善最優秀モデル都市」という称号を授けられ、中国第一回「人間居住環境賞」と「国家庭園都市」という称号を授与された。52年前、同地はアシが生い茂り、風が強く吹き、砂ぼこりが舞い上がる茫々たるゴビ砂漠であった。

 緑化が効果を上げた。石河子市はグリーンブランドづくりで、かなりの経済効果を上げた。2001年、石河子市は数十年振りのゆゆしい自然災害に見舞われたにもかかわらず、GDPは依然として8.6%成長し、職員と労働者の年間所得は平均7600元に達した。

 新疆は中国の北西部に位置し、ロシア、カザフスタン、パキスタンなど8カ国に隣接している。新疆の面積は、国土面積の六分の一を占める166万平方キロで、中国の面積最大の省クラス行政区である。しかし、気候が乾燥し、水不足が深刻なため、40%の土地が不毛の地であり、砂漠化に脅され、生態系環境の総体的な質が悪い。そのため、新疆は経済を発展させるには、なによりもまず生態系環境を改善しなければならない。

ゴビ砂漠の上につくられたガーデン・シティー

 石河子市は新疆ウイグル自治区の三つの直轄市の一つであり、東の区都ウルムチから150キロ離れており、行政区画の面積は460平方キロで、市街区住民は29万人である。

中国の史書によると、石河子はもともと古い遊牧地であった。200余年前に、中国の清王朝がこの地にらくだや馬、役人が途中休憩する小さな宿駅を設置したと言い伝えられている。1949年の新中国成立前に、石河子周辺の住民はわずか20余世帯で、まわりは広大なゴビ砂漠に囲まれ、風が吹き、砂ぼこりが舞い上がり、蚊や虫が群れをなしていた。村のそばにある枯れた川の河床に小石がいっぱいあるため、石河子と名付けられた。

1950年の春、王震将軍は中国人民解放軍22兵団(新疆生産建設兵団の前身)を率いて石河子に進駐し、開墾しながら辺境を守り始めた。

「石河子で木を植えるのは容易なことではなかった。当時、石河子はまだ大きなゴビ砂漠で、向かい合っても見えないほど風が強く吹き、砂ぼこりが上がった。木を植えようと思って、シャベルで掘り出したのは石ばかりで、水分を保つのは難しかった」。石河子建設に最初から参与したもと石河子市建設委員会の総園芸師王効英氏はこう語った。

18歳から石河子の建設に参加した金茂芳氏は「当時、兵士たちが飲んだのはゴビ砂漠の地面にたまった水で、穴ぐらに住んだ。木にやる水を探すため、兵士たちはしばしば山を越え、数十キロも歩いて、水を背負って帰ってきた」と語った。

現在、都市の緑化率は40%以上になり、一人当たり公共緑地面積は7.6平方メートルに達している。

生態系環境の現状および直面している問題

 気象データによると、新疆は長年来年平均降水量はわずか145ないし147ミリで、全国平均値の四分の一にもならないが、蒸発量がとても高く、そのうちトルファン盆地は3000ミリ以上で、当地の降水量の数十倍である。風と砂ぼこりによる災害がゆゆしいもので、新疆地区で砂漠化に脅されている県が80もある。生態系環境が脆弱で、オアシス周辺砂地の植生カバー率は10%を下回っている。

 新疆ウイグル自治区環境保護局の魏山峰局長によると、「人類が生産、生活、住居しているオアシスの面積は年を追って拡大されており、オアシス地区が基本的に安定し、一部の地区の状況が改善されている。しかし、生態系が全体として悪化する趨勢はまだ根本から抑制されていない。新疆が直面しているのは主に生態系の問題である。これは主に自然環境によってもたらされたものであるが、いうまでもなく自然法則に背いて人為的に破壊することによってもたらされたものもある」。

 新疆の環境保護は四つの面の問題直面している。第一、環境保護に投入する資金が足りない。新疆自治区政府は環境保護を非常に重視し、ここ数年環境保護に投入した資金はいずれも当年のGDP総額の1%を上回り、昨年は14900万元に達した。しかし、新疆の総体的経済実力が強くないため、環境保護に投入できる資金はまだ相対的に不足している。

 第二、企業の汚水処理能力が強くない。新疆には5000余社の企業があるが、80%以上は汚水を排出する機能があり、年間汚水排出量は約2億トンで、そのうち60%だけが初級処理を経たものである。

 第三、都市建設資金が足りない。これは主に統一暖房、都市ガスなどの市政工事への投入資金が足りないため大気汚染をもたらしていることに現れている。

生態環境を保護

 新疆経済の発展において、各クラスの指導者はみな生態系環境の優先保護を非常に重視し、主要指導者の環境の質改善の面における権利と義務を明確にした。

 「西部の天然ガスの東部への輸送」は、新疆など中西部地区の豊富な天然ガスを地下パイプラインを通して上海などの東部沿海都市に輸送するもので、中国政府が西部大開発を実施する標識的プロジェクトである。

 パイプラインプロジェクトの新疆区間は長さ995キロで、統一企画によれば、パイプラインは自然保護区などの環境敏感区を通ることになっている。パイプラインの敷設によって地表をかき乱し、コヨウ林の生存にかかわる地質構造をも破壊し、しかも保護区の野生動植物の生存法則にも影響を及ぼす。

 コスト節約と生態系保護の矛盾の前で、自治区政府はアルジン山とロブノール自然保護区を通るパイプラインの長さをできるだけを短くし、同地に生息しているフタコブラクダの生活を妨害しないようにするという決定を行った。

 新疆の最北端にあるアレタイ市の鉱物資源は豊富である。しかし、長年来の過度の採掘によって、オルチス(額爾斉斯)などの湖沼や河川の生態系環境がゆゆしく破壊されている。そのため、アレタイ市政府は水路での金の採掘を禁止することを決定した。

 植生のカバー率を高めるため、アレタイ市政府は今年9130ヘクタールの耕地を森林に戻し、1330余ヘクタールの荒れ山と荒れ傾斜地を緑化した。地元の住民が0.07ヘクタールの耕地を森林に戻す場合、アレタイ市政府は1年目に210元の補助金を与え、2年目から8年目まで、補助金160元と100キロの小麦(一キロは1.4元)を与えることにしている。これらの優遇政策を講じて、今年アレタイ市では200ヘクタール以上の耕地を森林に戻す農家が5世帯も現れた。