中国の民間投資が低迷から脱却

羅中雲

 国家統計局の最新資料によると、今年上半期に、民間投資はここ数年の低迷状態を経た後、強い成長の勢いが現れ、集団投資は昨年同期比158%増の1812億元に達し、個人経営経済投資は194%増の2239億元に達し、伸び率は昨年同期と比べてともにわりに大幅に上昇した。

経済成長を促進

 統計によると、改革・開放初期の1980年、民間投資は社会固定資産投資の18%を占める165億元しかなかったが、2000年になると、社会固定資産投資の45%を占める約15000億元に達し、1980年の91倍となった。

 高速成長の民間投資は経済発展を推し進め、産業構造調整を促し、多くの労働力を就職させ、就業圧力を緩める面で、経済と社会の発展に対し代わることのできない役割を果たしている。

 関係部門の統計によると、1990年代以来、中国の新規増加した生産額の約70%は民間投資が創出したものであり、そのうち、食品、製紙、印刷業の生産額は70%以上を占め、アパレル、皮革、文化・スポーツ用品、プラスチック製品、金属製品業の生産額は80%以上に達し、木材と家具産業の生産額も90%以上に達した。しかも、製品の質、グレード、技術使用量が発展過程で絶えず向上するにつれて、民間投資は経済構造調整の新鋭部隊となっている。

 民間投資企業の柔軟な従業員使用制度は新たに増加した労働力を大量に吸収している。関係部門の分析によると、民間投資企業は主に労働集約型産業に集中し、単位当たり投資の労働力の新規増加量と吸収量は国有投資企業を著しく上回っている。1980年代初め以来、農業部門から転出した23000万人の労働力のうち、圧倒的多数は民間投資企業に就職し、都市部の新規増加した就業人口の流動方向はそれとよく似ている。

 1990年代から、資本の原始的蓄積を完成した多くの民間企業は労働集約型産業から資本・技術・知識集約型産業への転換を始め、特にいくつかの民間企業は投資方向をITと生物医薬などのハイテク分野に定着させ、中国経済の未来の発展方向に大きな影響を及ぼしている。北京大学中国経済研究センターの周其仁教授は、民営経済はすばやく反応する特徴があり、新しい経済技術と市場の高い不確実性に直面して、これらの企業はより立派に問題を処理することができる。そのため、めざましく発展する新経済は民営企業がつかまなければならないチャンスであると語った。

苦境に遭遇  

 20年近くの急速な成長を経た後、ここ数年来、民間投資にわりに大きな地滑り現象が現れた。1998年から、民間投資の伸び率は8%で、社会固定投資の14.1%の成長率より低いだけではなく、国有投資の19%伸び率よりはるかに低いものである。1999年の民間投資の成長率はわずか6.7%で、2000年は18%に上昇したものの、2001年に再び低下し、集団と個人の投資はそれぞれ8.1%12.7%増えたが、依然として国有とその他の投資の成長率より低いものである。

 現在、都市と農村の個人預金残高は8兆元近くに達し、住民の手元にある現金、外貨あるいは債券などの資金をさらに加えるならば、民間の手元資金は10兆元に達するかもしれない。

  ここ数年来、政府は民間投資の成長を刺激するためにいろいろの方法を考えたが、効果はずっと思わしくなかった。関係専門家によると、投資分野での政策制限と融資困難が民営経済の発展を制約する2つのカギとなる要素である。

 投資分野の政策制限は民間投資の成長を難しくする重要な原因である。長期以来、国は民間投資の範囲を制限している。昨年広東省東莞市の行った調査によると、全市の80業種のうち、外資企業の進出を許したものは62業種あるが、民間企業の進出を許したものは41業種だけであった。国の法律と政策が禁止、制限していないいくつかの業種でも、民営企業の進出は不公平な競争が存在している。いくつかの独占あるいは半ば独占の業種、例えば電力、鉄道、自動車道路、郵政・電信、市政設施などの業種はなおさら深刻な部門保護主義が存在しているため、民間企業が進出しにくい。

  国家発展計画委員会マクロ経済研究院の特定課題グループの研究報告によると、ここ数年来、中国の資本市場の発育はわりに速く、株式類、貸付け類、債券類、基金類、プロジェクト融資類、財政支持類の六大融資方式、数十本の国内外融資ルートをもつ大きな市場システムを形成した。しかし、短期信用貸付けのほか、その他の融資ルートの民営経済に対する開放度はとても低く、民営経済特に中小企業が国有経済と比べて、融資のチャンスが少なく、規模が小さく、期限が短く、各種民営経済の融資の需要をとても満たすことができない。民営経済の成長の過程で、金融面からの支持はずっと足りない。関係統計によると、1991年から1997年までの間に、民営経済投資は全国投資総額の1527%を占めたが、民間企業に貸した流動資本借款は1%にもならなかった。民営企業家たちは往々にして数百元、数千元、数万元という個人のわずかな資本金に頼ってやり始め、勤勉節約の自己蓄積を通じて発展をはかり、外部資金のより多くの支持を得ることができない。

活路を模索  

 20001月、国の関係部門は「個人独資企業法」を公布、施行し、政策面から個人投資に対する制限をゆるめ、個人投資の成長をある程度促し、その年だけでも、全国で新しく増加した個人独資企業は8万社近くあった。

 業界筋の分析によると、今年上半期に民間投資がわりに速く成長したのは、昨年末に、国家発展計画委員会が実施した「民間投資を促し、導くことに関する若干の意見」とかなり関係がある。この政策は民間投資の分野、投資環境、融資ルート、税金政策、社会サービス体系、政府管理などの面でわりに大きな改善を行い、特に民間投資の成長に影響する二つの主要な障害の面で政策を大幅に調整した。

 この政策は次のように規定している。およそ外国業者の進出を奨励し、許可する分野はすべて、民間投資の進出を奨励、許可する。優遇政策を実行する投資分野では、その優遇政策は民間投資に対しても同様に適用する。民間投資が独資、合作、共同経営、株式参加、特許経営などの方式で、経営的なインフラと公益事業のプロジェクト建設に参与するの奨励し、導く。民間投資が給水、汚水・ゴミ処理、道路、橋梁などの都市インフラ建設に参与するのを奨励し、導く。

 融資ルートを広げる面は、国有商業銀行がサービス意識を増強し、サービス品種を増やし、民間投資家の借款申請に対し一視同仁でなければならないと強調する。民間投資にサービスする信用保証と貸付け保証の機構を設立する。証券監視・管理部門は民間投資プロジェクトの上場融資に平等なチャンスを提供する。そのほか、ベンチャー投資基金を発展させ、民間投資家がハイテク・プロジェクトに投資することに資金支持を提供する。民間投資家と外国業者の合資と合作を支持する。民間投資プロジェクトが外国政府と国際金融機関の借款を申請、利用することを許す。

 これらの政策と措置の実行は、民間投資にいっそうゆるやかな環境をつくり出し、民間投資の反発にも条件を整えた。今年6月、広州の白雲国際空港と広東華?実業グループ有限公司は共同出資して白雲空港商旅サービス有限公司を設立した。これは、国内の民用空港が融資ルートを開放し、民間資本を吸収し始めたことを意味する。最近、登録資本が83000万元に達する民生保険公司と湖南省の3社の民間企業は共同出資して、湖南省の最初の専業保険代理公司を設立し、その時から民営資本は中国保険業に進出し始めた。四川省成都市は最近、民間資本は電信、電力、天然ガスなどの都市インフラ建設と経営管理に参与するのを許し、およそ国の法律・法規が禁止していなかい業界と部門はいずれも民間資本に開放するという規定を行った。