北京、軌道交通を発展

羅中雲

 ――軌道交通が効果的に都市交通の圧力を緩和できるため、北京は今後の20年内に軌道交通を大規模に発展させることにした。

 928日、北京で都市鉄道西線と呼ばれる軌道交通線路が試運転に入った。この軌道交通線路は北京市街地の中心にある西直門を起点とし、北の中関村ハイテクパーク及び回竜観など新たに開発された団地を通る全長20.6キロの線路である。

 「この鉄道が開通すれば、うちの雑誌社まで30分で行かれるので、出勤はとても便利になる」と、昨年北京市の北郊外の回竜観で住宅を購入したばかりの王海林さんはこう言っている。彼女は西城区のある雑誌社で編集の仕事に携わっており、家から出勤するにはバスを3回も乗り換えなければならず、その上しょっちゅう渋滞するため、少なくとも2時間はかかる。

 伝えられるところによると、開通したばかりのこの都市鉄道は西部区間にすぎず、全長約20キロの東部区間はいま建設中で、来年末に開通する予定である。その時になれば、約40キロの環状鉄道が北京市街区の北部を縦断するため、この地区の交通渋滞状況が大幅に改善される。

都市の交通渋滞を緩和

 昨年に行った北京住民の外出についての調査データによれば、公用車、自家用車、タクシーの利用者は40%、自転車の利用者は30%、地下鉄とバスの利用者は30%で、そのうち、地下鉄の利用者数は公共交通の旅客輸送総量の15%にもならない。利用率が低く、エネルギーの消耗が多い公用車、自家用車、タクシーなどを利用して外出する状況が大部分を占めているため、都市の交通渋滞はどうしても避けられないものとなる。

 この状況を改善するには、単に道路を拡幅するだけではだめである。中国環境保護科学院の李康教授は次のように指摘した。中国の大都市の道路の交通渋滞の根本的原因は、道路資源の低効率の配置と利用及び市街区の道路網の構造的欠陥にある。高速、大容量の軌道交通、準快速公共交通施設を主体とする総合的な旅客輸送交通システムの確立は、この難題を解決する根本的方途である。

新しい計画

 いま北京にある地下鉄一号線と環状線は合計54キロであり、それに試運転に入ったばかりの都市鉄道の西部区間、目下建設中の東部区間及び八王墳から通州までの市街地東部の地下鉄一号線延長線を加えて、来年の北京の軌道交通総延長は114キロに達し、全国の都市の中でトップを占める。

 今年、北京市は新しい「北京市都市軌道交通線路網調整計画」を制定したが、同計画の調整範囲は360平方キロの市街地だけでなく、農村部を含めて全市の16800平方キロの土地に及んでいる。軌道交通の範疇も地下鉄と都市鉄道に限らず、郊外鉄道、路面電車、リニアモーターカーなどもある。

 この新計画は重点的に市街地の軌道線路と郊外鉄道の二つの部分に分かれ、2020年に軌道交通予定線路の総延長を1000余キロに増やす予定である。新計画では、市街地の軌道交通は地下鉄を主とし、電鉄を同時に建設し、地下鉄は20本、総延長700キロ近く敷設し、北京市郊外区の14の衛星都市を都心部とを結ぶために、総延長360キロの郊外鉄道を建設する。

 「開通後、交通線路は四通八達し、市民は20分以内で5号環状道路以内のどこへでも行くことができ、また2号環状道路以内のいかなるところでも、5分以内で地下鉄の駅に行くことができる。たとえ市内から一番遠く離れた郊外の密雲県から市内に行く場合も一時間もかからず、その他の区、県から市内に行く場合は30分以内で行ける」と、北京市副市長の劉敬民氏はあるレポートの中でこう述べている。

 この計画によれば、2008年オリンピック開催前に、軌道交通の総延長は300キロに達し、オリンピックの成功裏の開催を保障する。

多元的な資金ルートを切り開く

 新計画によれば、今後20年から30年内に、北京市が毎年軌道交通建設に約100億元を投じるが、このような巨額の投資は政府の財政支出に頼るだけではとてもだめである。

 北京市市長の劉淇氏は、「北京は目下大規模な軌道交通建設を進めているが、都市鉄道を経営する公司は一社しかなく、そのため実力を持つ外国の企業がより多く北京の軌道交通建設に参与することを期待している」と語った。

 昨年213日、北京首創集団、北京地下鉄総公司及び北京国有資産投資経営公司など3社の国内公司がカナダのSNC-LAVALIN社と北京地下鉄五号線建設協力取決を結んだ。それによると、中国側の3社の企業は25億元を共同出資し、カナダ側は15億元を出資する。これは北京ないし全国の地下鉄のインフラ建設プロジェクトが商業投資を導入した最初の例であり、外国商業資本の最初の直接投資でもある。

 今年2月、北京建工集団とドイツの(B+B)社は、1995年に創立された合弁企業――北京長城(B+B)建築工程有限公司に7500万元を増資し、その資本金を1億元に増やすことを明らかにした。この中独合弁公司は今後北京の地下鉄、電鉄、トンネルなどの工事を重点的に建設する。