上海、世界博覧会開催招致に全力投球

  ――上海のとった行動と打ち出した案は世界博覧会に中国という広い土地から旺盛な活力を探し出させるであろう

唐元かい

 上海はいま全力あげて、2010年世界博覧会開催招致に取り組んでいる。この経済・科学技術・文化分野の国際盛会は1851年から5年ごとに一回催されている。

 陳良宇上海市長は、世界博覧会は開催都市の多方面の発展を促すものであり、上海市は2010年世界博覧会の成功裏の開催に対し十分な自信と能力を持っている、と指摘した。

 分析によれば、絶えず完備している都市のインフラ施設、便利な現代化した交通網、商業、金融業、通信業、サービス業の急速なレベルアップ、及び「APEC(アジア太平洋経済協力機構)サミット」など大型国際会議開催の豊富な経験は、いずれも上海の世界博覧会開催招致にとって有利な条件である。

 2010年上海世界博覧会招致工作指導グループ秘書長の朱暁明氏は、世界博覧会の開催に対し、上海が人員、資金、物資などの面で最も信頼における保障を提供する、と指摘した。

 国家2010年上海世界博覧会招致委員会副主任、国務院副秘書長の徐紹史氏は、中国政府は「上海世界博覧会」にあらゆる財政支持と租税面の優遇を提供し、同盛会に30億ドル以上を投資することを明らかにした。

 朱暁明氏は、「中国は世界博覧会の積極的な参与者であり、全国人民は上海の開催招致を全力挙げて支持している。最近行ったアンケート調査によれば、中国人の上海招致に対する支持率は90%以上で、そのほとんどは開放された中国が上海開催招致の成功を期待している」と述べた。

 江蘇省無錫市経済貿易委員会副主任の強明威氏は、中国政府が2010年世界博覧会の開催招致を発表した1998128日から、われわれは開催招致を上海市だけのことと考えていない、と語った。

 「世界博覧会の招致は、私の身近のことでもあれば、国のことでもある」と上海の定年退職者の楊根明さん(65歳)はこう言っている。彼は「上海世界博覧会」予定建設地のそばにある上海製鋼所の新しい団地に住んでいる。つい最近、彼は自転車に乗って7000キロの「世界博覧会開催招致PRの旅」をし、途中で漢字もあれば、チベット族、プイ族、イ族、ナーシー族などの象形文字もある署名を収集した。「これらは全国人民が上海の開催招致を支持することをいちばんよく物語っている」と楊さんは語った。

 朱暁明秘書長は、中国が開催権を獲得すれば、「交歓、交流、展示、協力」という世界博覧会の理念を全面的に実現できる、と見ている。

 上海2010年世界博覧会招致のテーマは「よりよい都市、よりよい生活」(BETTER CITYBETTER LIFE)である。都市というテーマが世界博覧会に現われたのは初めてのことで、国際展覧局(BIE)などから高く評価され、「新たな角度から人類文明の進歩と都市の発展との関係を観察、研究し、現代の社会生活において最も注目される問題を捉えており」、また「人々が都市に来たのは生活のためであり、都市に住むのはよりよい生活をするためである」という古代ギリシアの賢者であるアリストテレスの理念とも合致していると見られている。

 報道によると、最近、国際展覧局は2010年開催招致都市を視察した後、上海の準備諸作業が十分であると評価した。視察団のある高官は、「中国の招致テーマは世界唯一のものであり、上海が開催を勝ち取る強みとなっている」と語った。

 上海市都市計画管理局専門家の兪斯佳氏によれば、「上海世界博覧会」の開催地選択案と企画理念は、いずれも「よりよい都市、よりよい生活」というテーマを十分に展示するのに有利であり、この選定案は八カ国の有名な会社が提出した設計案の精華を取り入れ、独特な理念とアイデアを持っている。

 伝えられるところによると、「上海世界博覧会」の開催予定地は何度も変更した後、黄浦江が流れる上海市中心部の古い市街地に決まり、計画敷地面積は5.4平方キロ(黄浦江の水面を含まない)である。主な展示場は浦東に設けられ、敷地面積は240ヘクタールで、中国展示館、参加国展示館、企業館、総合館、会議ビルなどが設けられる。

 企画案によれば、構想が精妙な楕円形の運河は「上海世界博覧会」の展示場などの建設を黄浦江両岸の開発過程に融け込ませ、黄浦江と垂直する何本もの緑の植物回廊は濱江地区から都市の中心部まで延びて、あたかも近代的な都市と自然を結ぶきずなのようであり、一面の緑の中で、長さ4500メートルの、もっぱら遊覧客の観光に供する花で飾り立てた橋が黄浦江の両岸にまたがり、過去、現在と未来を結びつける標識的な建築物となる。上海はまた文化、会議、展示、居住、レジャー、ビジネスの大型サービス施設を建設する。これらの施設は世界博覧会の閉幕後も緑の回廊、運河とともに保留され、上海の重要な文化博覧センターと特色ある居住区に発展する。

 2010年上海世界博覧会招致工作指導グループ弁公室主任の汪均益氏が指摘したように、国際展覧局はこれまで、世界博覧会の開催が都市の発展を促し、特に都市の旧市街地の改造を推し進めることができる、上海が都市生活のど真中で世界博覧会を開催するなら、その周辺環境や展示場を建設するための旧市街地改造は、「上海世界博覧会」の招致テーマの内包をより全面的に説明し、都市の多元的文化の融合、都市の新経済の繁栄、都市の科学技術の革新、都市の調和のとれた団地建設などのテーマを反映できるとずっと主張している。

 上海市都市計画管理局副局長の湯志平氏の説明では、黄浦江両岸は上海の今後10年の旧市街地の重点改造地区であり、世界博覧会が上海で催されるならば、黄浦江両岸の産業構造調整が大きく推し進められ、旧市街地の改造の質が向上し、地区の生態環境改善と周辺地区の繁栄が促進され、開催地が外灘と陸家嘴に継ぐ上海の都市イメージの新しい標識になる、という。

 開催地が市街地の周辺地帯に選ばれたため、「上海世界博覧会」会場の交通はわりに便利で、周辺にあるホテルなどの施設をフルに活用し、付帯施設の重複建設を減らすことができる。

 現在、上海市政府は全市の道路、橋梁、トンネルの修繕や地下鉄の拡張に取りかかるとともに、巨額の資金を投じて空気と水の汚染を減らし、より多くの公園と緑化ベルトを建設している。

 上海の開催招致が成功すれば、「上海世界博覧会」は発展途上国で催される最初の総合的な世界博覧会となる。21世紀に入って以来、発展途上国は急速に世界経済の新たな成長要素になり、中国の急成長はその中の成功の範例の一つである。輿論は、「上海世界博覧会」はその独特な感銘効果で広範な発展途上国を引きつけて積極的に参与させ、全世界への世界博覧事業の影響力を拡大する、と一致して見ている。

 「上海世界博覧会」の展示期間は6カ月の予定である。陳良宇市長の予測では、参観人数は延べ7000万人を上回り、延べ6340万人という世界博覧会の最高記録を更新することを意味する。

 中国世界博覧会招致委員会副主任、中国対外貿易経済合作部副部長の魏建国氏は、中国は9年連続して外国の直接投資を最も多く導入する発展途上国となり、世界で最も吸引力を持つ国際貿易と投資の大きな市場の一つとなりつつあり、上海の招致が成功すれば、世界博覧会は各国や各地域が発展と繁栄をともにはかる盛会になるだろう、と語った。