世界4都市で「チベット文化週間」

趙 選

 中国対外文化交流協会とチベット自治区対外文化交流協会主催の「中国チベット文化週間」が97日から27日まで、ベルギーのブリュッセル、カナダのトロントとオタワ、それにバンクーバーで開かれた。

 チベットの文化・芸術は歴史の長い中華民族の文化の中でも一際光を放つ。文化週間では写真やタンカ(チベット特有の絵を描いたカード)、映像、歌舞、チベット学研究者やラマ僧との交流などを通じて、チベットの悠久の歴史や文化、独特の風土・民俗が紹介された。欧州と北米でのチベットをテーマにした大規模な文化交流は、今回が初めて。

チベットの真の姿を紹介

 「素晴らしい展覧会だった」。写真展を観た欧州議会対中関係代表団の団長は称賛した。中国人スタッフは文化週間開催中、こうした賛辞をよく耳にした。ベルギー・ワーロン区の経済貿易局担当副課長は「初めて開かれた展覧会がこれほど素晴らしいものなら、今後は開催が難しくなるだろう。今回を上回るのは容易ではないからだ」とユーモアを交えながら語った。

 写真展では200万枚余りから選別した約700枚を展示。いずれもチベットの優美な風景、悠久の歴史、社会・経済の発展と変化を示すものだ。タンカはチベット特有の絵画芸術。チベット博物館が収蔵する宗教、チベット医薬、チベット族の歴史を反映した50枚が展示された。いずれも得難い芸術作品の傑作だ

 会場に足を運んだブリュッセル駐在のザンビア大使は「非常に感動した。チベットを知るチャンスとなり、チベットの実際の状況を理解することができた」と語っている。

 開催期間中、チベット歌舞団の公演も行われ絶賛を博した。

 918日夜、トロント・コンベンションセンター内の劇場。カナダの著名な歌曲「レッド・バレー」と中国の有名歌曲「草原の夜」の歌声が流れる中、会場から割れるような拍手が沸き起こった。公演はチベット族特有の歌と踊り、民族楽器の演奏、民族衣装で観衆を魅了した。

 同歌舞団は1958年の創立。チベット族を主体に漢族、回族、ロッパ族、チワン族、メンパ族、ナーシー族からなる民族歌舞専門の芸術団だ。著名な声楽家であるツァタンヅォンマ氏を代表に監督、作曲家、指揮者、声楽家、舞踏家、楽器演奏家、高級舞台技術者など数十名を擁し、れまでに米国やドイツなど数十カ国・地域で公演を行ってきた。

 またチベットをテーマにした映画『レッドバレー』やテレビドキュメント『雪域紀行』の放映など、映像展も開かれた。映画『レッドバレー』は、主人公の曲折した運命と美しいを愛情を謳った物語。漢族とチベット族の深い感情の交流が描かれ、知られざるチベット族の文化と壮麗なチベットの風景、チベット族の英知と勇気、不屈の民族精神がにじみ出ている。また映画『イシヅォンマ』は、1人のチベット族の女性と3人の身分の異なる男性との愛情を描いた物語で、チベット社会の歴史的変遷を紹介。放映されたドキュメントや映画などはいずれも、今日のチベットの状況を反映したものだ。

 923日午前には、ラマ僧やチベット学研究者とカナダの専門家・学者の間でチベット学の研究状況、チベット族女性の地位、チベット語と文字の継承と発展について話し合う学術交流がトロントで行われた。

 チベット学者のバサワント氏は「50余年にわたって中央政府の大規模な支援を受け、中国とくにチベットでのチベット学の研究は大きな進展と誇れる成果を収めた」と説明した。チベットの民族や文化、歴史、宗教、経済などの分野の研究に専門に従事する研究者は全国で約300人。研究機関はラサ・チベット社会科学院、北京中国チベット研究センターなど50余りを数える。チベット語書籍の出版社は約10社、現在、『大藏経』を整理・出版中だ。このほか、チベット学研究の人材養成機関としてラサにチベット仏学院、北京に中国高等仏教学院がある。チベット学の研究は国際的な発展を見せ、チベットでは研究者の国際交流が盛んに行われ、米国やドイツ、フランス、日本、ノルウェーなどの大学十数校と交流協力プロジェクトが進められている。

 チベット族女性の地位について、バサワント氏は「50年前には女性の地位は低く、その運命は悲惨で、“命は卑しい”と言われていた。だが今では、男女平等政策が実施され地位は絶えず向上している。省クラスの女性幹部は4人、また女性の科学者や教育者、研究者、芸術家も輩出した」と強調した。

 同じくチベット学研究者であるダダンゾン氏は「国内でチベット語を学び、使用し、発展させるうえで、中央と自治区両政府から法的保護が受けられる。またチベット使用・指導委員会を設立して、チベット語を使用するよう指導している。チベット語は政治や経済、文化などの領域で幅広く使用されており、88%にあたる6000種余の出版物はいずれもチベット語で書かれている。商店や道路標識でも漢字とチベッ語が使用され、大学や小中高等学校ではチベット語による教育を重視している」と、チベット語の状況について報告した。

政府の重視と各国の称賛

 この文化週間は中央政府やチベット地方政府、社会各界も重視し、開催地の政府それに芸術を熱愛しチベットに関心を寄せるの市民から歓迎された。

 朱●基首相は「チベット文化週間」の開催を祝賀するメッセージを寄せ、「チベット民族の優れた伝統と文化は、中国・世界の文化のなかで燦然たる輝きを放ち、独特の魅力と絢爛たる姿を備えている。文化週間はベルギー、カナダ両国人民にチベットの物語を生き生きと語り、活力にあふれ絶えず進歩している少数民族の文化を紹介することができる。中国とベルギー、中国とカナダ両国間の交流にとって一大イベントであり、ベルギーやカナダ両国人民のチベットに対する理解は増強され、ベルギーやカナダ人民と中国人民の友好も増進されるだろう」と高く評価した。

 国務院新聞弁公室の趙啓正主任やチベット自治区人民代表大会常務委員会のレディ主任からも祝賀メッセージが寄せられた。

 一方、開催地のベルギーでは、議会下院のデニー副議長や欧州議会のコップス議長、カナダではクラークソン総督やクレティエン首相、コップス民族遺産相をはじめ多数の連邦議会議員、州・市議会議員、トロント・オタワ・バンクーバー市長などからそれぞれ文化週間を祝うメッセージが届くともに、期間中に開かれたイベントに自ら出席した。

 クラークソン総督は「チベットの歴史は活力がみなぎり、チベットの人々は精神の創造でその成果を蓄積してきた。それはチベット族の絶妙な音楽や舞踏、宗教・風俗に体言されている」とのメッセージを寄せた。

 また、コップス民族遺産相は開幕式で「チベット文化週間の開催は、異なる文化背景を有する社会各界のカナダ人に、チベットの芸術や文化を学ばせ、世界のこの地にその独特の姿を見出すまたとない機会となる」と挨拶した。