対外開放する中国の物流業

――外資進出の加速が中国の物流業の競争を激化させている

唐元カイ

 731日、中国対外貿易経済合作部は、江蘇、浙江、広東の3省と北京、天津、重慶、上海の4直轄市及び深セン経済特別区を、外資が物流企業に投資するモデルケースにするという通知を出した。

 これは中国が「WTO加盟後の3年内に物流業を逐次開放する」という約束を果たすための実質的な動きである。

 国務院発展研究センター市場経済研究所の王薇博士らの専門家によれば、今回対外貿易経済合作部の制定した政策は外資にとって非常に有利である。というのは、外資の物流企業への投資が許可を経てさまざまな業務を正式に展開することができるからである。

 外資は1984年から中国の物流業に介入し始めた。当時、アメリカのフェデラル・エキスプレス(FedEx)が中国に進出してから10数年間でサービスを提供する中国大陸部の都市がうなぎのぼりに上がり、今の200余市に増えた。昨年、世界至急便業の大手企業であるアメリカのユナイテッド・パーセル・サービス(United Parcel Service)は中国直航権を獲得した。同社が北京、上海、広州で使用している同社開発のハイテク至急便資料収集器(DIAD)は、業界内で初めて商品の受領者の署名をデジタル化できる便利なハイテク設備である。

 おおまかな統計によると、現在深センに進出した多国籍第3者物流(第3者物流とは供給側と需要側以外の物流企業が物流サービスを提供する業務方式を指す)企業には、世界第2位のEXCEL社、貨物輸送量が世界第3位の近鉄(KWE)、世界第6位のTT社などが含まれている。

 現在、北京市に外資の物流企業が20社近くあり、一部のプロジェクトは商談中で、一部の会社は増資を行うとともに簡単な物流から現代化した総合的物流にちくじ転換しつつある。

 中国に進出した一部の多国籍物流企業は、安定した取引先を擁し、市場の需要を十分に把握でき、資質の優れた管理人材を持つことに頼って、すでに成功を収めた。

 21世紀の朝日産業として、物流業は現在中国で「まだ開墾されていない大陸」と考えられている。しかし、外資の進出に直面して、中国の物流企業は発展のテンポを速めている。

 924日から26日まで上海で開かれた第3回「中国国際物流サミット会議」で、北京の「中国物流公司」がその本部を正式に上海へ移すことを明らかにした。これは中国国内最大の物流企業の策略の大変動であり、その親公司である「中国城通集団」董事長田源氏の話では、それは全力あげて国際競争力を強化するためである。

 田源氏は、ここ数年国外の大手企業が次々と中国に進出すると同時に、先進的な物流技術と理念も持ってきたことを認め、第3者物流管理の面では、近い将来多国籍企業がリードする地位を占めると語った。

 国家物資部対外経済合作司司長を勤めたことのある田源氏は、多国籍物流企業との競争に言及した時、「資本」、「経験」、「人材」、「ブランド」の4つの面では、中国国内の物流企業は自らの強みがあり、短時間内に国際先進レベルに達することをかなり楽観視している、と語った。

 田源氏の予測では、中国の資本市場はすでに発展しており、われわれはさまざまな方式で融資することができ、公司の経営がよければ資金に困るようなことはない。中国は長くても3年で自らの物流ブランドをつくり上げることができる。

 中国の『国際金融報』は評論を発表し、「中国物流公司」が今回中国の経済センターとしての上海に移転するのは、上海の良好な経済環境を借りて多国籍物流企業の巨頭に追いつき、追い越すためであり、このことは中国国内の物流企業が実力で多国籍企業と競争を始めたことを示していると指摘している。

 「中国郵政」などの国有企業も守勢から攻勢に出て、小包の運送速度を速め、海外業務をできるだけ発展させている。

 それと同時に、一部の業界外の企業も機会をねらって物流業に介入しようとしている。例えば、88日、「広東香江グループ」は華東地区最大の商業貿易流通卸売り基地をつくるため、「安徽南翔グループ」と提携し20億元を共同出資した。816日、上海の上場企業である「外高橋」は主な業務内容を調整し、もとの土地開発を全面的に現代化した物流業に変え、多元化の業務構造を形成した。

 そのほか、物流業を重要な位置に置いている都市と省は、各自の情況に基づいて現地物流の政策的調整を積極的に行っている。例えば、深セン市政府は「現代化した商業貿易流通業を大いに発展させることについての意見」を公布し、関税申告、品質検査、超過費用、物流パーク設立などの面で企業に優遇政策を与えている。また、福建省は最近、一部の大型流通企業グループを育成し、物流配送の助成で同省の物流業を改造し、発展させるため、物流業発展の5つの方向を正式に確定した。

 中国国内では、「危機はチャンスでもある」と見る人が大勢いる。これは中国の物流市場の規模が非常に大きく、新たなサービスを開発、提供しているため、新しい需要が生まれるからである。

 事実上、外資企業は中国の大きなサービスの需要を全部引き受けることができないため、民族企業と協力を行わざるを得ない。ますます多くの民族企業がより念入りのサービスを売り物とし、外資企業との協力を通じて発展を求めることが予見できる。物流市場と関連あるリース業、包装、広告・宣伝、技術検査及び分析など広範なサービス分野にきわめて大きなビジネスチャンスが現われるだろう。

 先進国と比べて、中国の物流業はまだかなり長い道を歩まなければならないが、今は驚くべき勢いで発展している事実は誰も否定できない。調べによれば、2001年の貨物輸送総量は改革・開放前の1978年と比べて約4倍も増えたという。