中国、再就業を全面的に加速

 912日に開かれた全国再就業工作会議は中国の再就業問題の解決を新たな段階に推し進めている。

魯 皮

 ここ数年は中国の労働力供給のピーク期であることから、労働力供給量が需要を上回る矛盾が非常に突出し、就業問題が非常に厳しい情勢にある。このため、朱鎔基総理は全国再就業工作会議で、一時帰休者の再就業問題をよりよく解決するのは党中央と国務院が当面の改革と発展によって大局を安定させる必要から行った重要な政策決定である、と指摘した。

 今年に入ってから、中国政府が「国民経済と社会の発展計画」の中で、年間の都市部登録失業率を4.5%前後に抑えることを提出し、つづいて中国共産主義青年団中央が3年間で延べ1500万人の若年勤労者の職業トレーニングを達成する計画を制定し、9月に開かれた全国再就業工作会議が「就業拡大に力を尽くす」を掲げた。これらは各クラス指導層の共通の認識と行動になっており、再就業活動もさらに展開される。

深刻化しつつある就職難

 中国には労働力人口が7億余もいる。今年上半期の都市部登録失業率は3.8%であるが、2000年末は3.1%、昨年末は3.6%、今年三月末は3.7%であり、失業率はいくらか上がった。労働と社会保障部の推測では、今年末までにこの数字が4.5%以内に抑えられる見込みである。

 再就業者のほか、都市部の新規労働力と農村労働力の都市部への移動によって、就職難は深刻化しつつある。

 労働と社会保障部によると、第10次五ヵ年計画期に、中国は新規労働力供給のピーク期を迎え、それに一時帰休者を加えて、毎年都市部の就職希望者数は約2300万人に達し、そのうちの1500万人が就職難に直面する。そのほか、15000万人に上る農村余剰労働力がいるため、都市部と農村からの就業圧力がかかっている。

 関係部門の集計によると、全国の国有企業の一時帰休者は1998年は739万人増え、1999年は781万人増え、2000年は512万人増えた。この3年だけで新規増加した一時帰休者数は2000万人を超えた。

 他方では、再就職率は1998年の50%から2001年の30%にと年を追って下がっており、今年上半期はわずか9.1%だけであった。再就職率の持続的低下により、再就職難の人が増える一方である。

 国有企業改革の深化につれて、一時帰休と失業の現象が相変わらず出現する。そのほか、中国のWTO加盟後、農業、自動車製造、金融サービス、医薬などの一部業種がかならず衝撃を受けるため、その就業状況も影響されるのは避けられない。

3次産業――再就業拡大の主要分野になる

 中国は現在経済の高速成長期にあるが、就職と再就職にとっては有利である。第10次五ヵ年計画期に毎年7%の経済成長率を保てれば、この5年間に少なくとも4000万人の就職問題を解決できる。目下、都市部では、コミュニティーでは少なくとも1500万人に就職させることができる。

 構造調整も多くの就職のチャンスをつくり出す。所有制の構造から見ると、第9次五ヵ年計画期(19962000年)に、私営・個人経済の従業員は3000万人増え、都市部の新規就職者の4分の3を占めた。中国の非公有制経済の発展のスペースは広い。産業構造から見ると、第3次産業は先進国と比べてまだ大きな格差があるため、その発展は就業と再就業を拡大する主な活路となる。

 国民経済の着実な成長は就職チャンスを大量に作り出す。労働と社会保障部の集計によると、昨年、全国の就職者数は73000万人で、そのうち、都市部は24000万人、農村は49000万人であった。第九次五ヵ年計画期に、全国で合計4020万人が就職した。

 1998年いらい、全国で1680万人が再就職した。国有企業の従業員数は7500万人から5000万人に減り、長年に積もりに積もった国有企業の余剰人員問題が明らかに緩和した。

 就職の業種は主に第3次産業に集中している。第9次五ヵ年計画期に、第1次産業の就業者数が就業者総数に占める割合は2.2ポイント下がり、第2次産業のそれは0.5ポイント下がったが、第3次産業は逆に2.7ポイント上がった。1995年から2000年までに、第3次産業の就職者数は3500余万人増え、新規増加就職者総数の87%を占めた。

 個人経済の目覚しい発展につれて、非公有制経済は重要な就職ルートとなっている。中国の私営・個人経済の従業員は1996年の7400余万人から2001年の12000余万人に増え、5年間で合計4300余万人増えた。そのうち、都市部の私営・個人経済の従業員は3000万人近く増え、都市部就業者総数のほぼ4分の3を占めた。国有企業の一時帰休者のうち、68%が私営・個人経済に従事している。

 朱鎔基総理は全国再就業工作会議で次のように指摘した。中国経済は新たな成長期に入り、経済体制と経済成長方式の根本的な転換期にあり、就職は主としてサービス業、中小企業、集団経済と個人・私営経済で拡大されるべきである。これらの面では発展のスペースが広く、就職を受け入れる潜在力が大きい。同時に、非全日制、就職先を固定しない職業、臨時工、タイマーなどさまざまな就職形態の開発に力を入れるべきである。

政府の役割

 今回の全国再就業工作会議は就業と再就業促進における政府各部門の役割について就業計画を科学的に制定し、労働力需給を導き、調節する、積極的な就業政策を実施し、特別困難な対象に就業援助を与え、労働力市場システムを健全にし、法によって労働力市場の秩序を保つ、就業サービスを提供し、社会保障を完備させるという明確な規定を行った。市場による就業調節と政府による就業促進の結合に十分に留意しなければならない。これは、中国の就業と再就業を解決する正しい選択である。

 労働と社会保障部によると、1998年いらい、中国では合計1800万人に上る一時帰休者が再就業トレーニングを受け、再就職率は60%に達している。国の実施する就職トレーニングは再就業プロジェクトのためにグリーン通路を切り開いた。

 1998年から2000年までに、労働と社会保障部は全国で「3年で1000万人」という再就業トレーニング計画を実施した。その後、全国各地は投入を拡大し、労働力市場や求人部門および一時帰休者を連結する再就業トレーニングネットワークが逐次形成した。

 政府は求職者の能力養成に力を入れると同時に、就職ルートを大いに切り開いている。労働と社会保障部門はこの数年就職ルート開発の着眼点を第3次産業に置き、商業、貿易、飲食など在来のサービス業種を拡大するかたわら、清掃、緑化、保安、公共施設の維持・保養などを含むコミュニティーサービス面で特恵政策をとっている。

一時帰休者の生活を確保

 1998年いらい、国有企業の一時帰休者の基本生活保障制度、失業保険制度、都市住民最低生活保障制度という3種の社会保障制度の相互間の連係がますます緊密になっている。

 関係部門の集計では、1998年から今年6月末までに、全国の国有企業で合計2611万人がレイオフされ、そのうちの91%が再就業サービスセンターに入った。今年6月末現在、全国に国有企業の一時帰休者が463万人に達し、そのうちの412万人が再就業サービスセンターに入っており、その99.2%が基本生活費をもらっている。こうして、保障すべきものはできるだけ保障することが基本的に実現した。社会保障措置がますます増えているため、一時帰休者の生活困難によってもたらされる矛盾が緩和した。

 一時帰休者の基本生活を保障するため、1998年から今年6月末までに、全国で一時帰休者のために10109000万元の基本生活保障資金が調達された。そのうち、企業が調達した分は21%を占める2172000万元、社会が拠出した分は18%を占める180億元、財政支出は61%を占める6137000万元であった。この期間に、中央財政は各地の国有企業の一時帰休者の基本生活保障のために合計483億元の特別資金を支出した。

 1999年に国務院は「失業保険条例」を公布し、失業保険制度をさらに充実した。これまで全国で13000万人が失業保険に加入し、毎月失業保険金をもらう人数は348万人に達している。

付表

  再就業人数

 (新規増加)

   再就業率

   失業率

  1998

   738

    50

 

  1999

   781

   

  2000

   512

   3.1

  2001年  

   515

    30

   3.6

 2002年上半期 

    9.1

   3.8