経済成長の原動力となった鉄道建設

  羅中雲

 三峡ダムに通じる最初の鉄道――達万(四川省達州市=重慶市万州区)線が1023日正式に開通した。同鉄道は1997年に着工し、投資総額は287000万元、総距離は157.9キロで、その完成は建設中の三峡ダム工事と地域経済に対し極めて重要な役割を果たす。

 ここ数年来、中国政府は鉄道建設への投資に力を入れると同時に、既存鉄道の大幅なスピードアップを通じて、鉄道運輸への圧力を効果的に緩和し、地方経済の発展を促し、鉄道が国民経済を制約する局面を基本的に改めた。

 鉄道部部長の傅志寰氏によると、中国政府は従来から鉄道を含むインフラ建設を十分に重視しており、とくにここ5年来、鉄道部門は改革と発展のテンポを速め、鉄道建設は未曾有の新しい局面を呈している。ここ数年は中国の鉄道発展史上の最もよい時期であり、いまは長期にわたって存在している鉄道が国民経済を制約し、鉄道運輸生産力が社会経済の発展にはなはだ適応しない状況を基本的に改めた。

 中国のWTO加盟に従って、鉄道も対外開放のテンポを速め、外資を積極的に利用すると同時に、外商を鉄道建設に参与するように引きつけている。同時に、鉄道貨物輸送市場も正式に対外開放し、外商が合資の方式で鉄道の貨物輸送業務を経営するのを認めている。

建設に力を入れて経済成長を促す

 傅志寰氏の説明によると、1998年から2001年までの期間は1949年の建国以来の投資規模が最も大きく、操業を始めたプロジェクトが最も多い期間であり、年平均建設投資は540億元に達した。この4年間に、新規着工した大中型プロジェクトは39件、操業に入ったプロジェクトは38件、鉄道新線のレール敷設距離は4933キロ、新規増加した運営距離は4030キロ、操業に入った複線鉄道は4103キロ、電気化鉄道は4848キロであった。2001年末現在、鉄道運営の総距離は7万キロを突破し、そのうち複線は23000キロで鉄道総距離の38.3%を占め、電気化鉄道は17000キロで鉄道総距離の28.6キロを占めた。現在、中国の鉄道運営の総距離は世界第3位、アジア第1位である。

 近年来の鉄道建設では、西部はずっと政府投資の重点となっている。昨年末現在、西部の12省・直轄市・自治区の鉄道運営距離は25900キロに達し、全国総距離の37%を占めている。鉄道部が制定した「第105カ年計画」(20012005)期間の西部鉄道建設計画は投資総額が1400億元で、全国の鉄道建設計画投資総額の52%を占め、5年内に鉄道を3670キロ新規建設する予定である。2005年までに、西部鉄道の総距離は27500キロに達するが、これは西部経済の発展を推進し、西部の開発を促す重要な保障になる。

 ゲルム=ラサ鉄道は昨年629日に着工し、チベットに鉄道がない歴史に終止符が打たれた。同鉄道の総距離は1142キロで、20077月に完工する予定。同工事は建設過程で、生態環境保全、野生動物保護の原則にのっとり、同地区の生態系の本来の姿を保持する。今年9月末現在、同工事の投資は累計595000万元完成した。

 おおまかな統計によると、1998年以来の大規模な鉄道建設によって直接創出された国内総生産は2698億元に達し、最終的には5681億元を創出し、同期の国内総生産の078%を占める。鉄道建設は中国の経済成長を促す大きな原動力となっている。

スピードアップで市場競争力を強化

 傅志寰氏によると、ここ数年来の中国の鉄道建設の主な成果は列車のスピードアップであり、毎年延べ1億人もの旅客に便利を与えただけでなく、国民経済にも大きな貢献をした。

 1997年から2001年にかけて、鉄道部は4回も大範囲なスピードアップを行い、距離は13000キロに達し、範囲は全国鉄道の主要幹線をカバーし、列車の平均スピードを25%アップさせた。そのうち北京=ハルビン、北京=上海、北京=広州、連雲港=蘭州などの主用幹線の旅客列車の時速は140160キロに達し、広州=深?線は200キロにも達し、旅客の乗車時間を大幅に短縮した。

 中国の鉄道が国外のと著しく異なる特徴の一つは運輸強度がほぼ世界一のことである。中国は現在鉄道が7万キロあり、アメリカは20万キロあるが、中国の鉄道が完成した運輸量はアメリカに近づいている、もう一つの特徴は中国の現在の鉄道輸送はまだ旅客と貨物の混合輸送を実行しており、列車の総体的運行スピードに大きな影響を与えていることである。このような状況のもとで、中国の鉄道部門は依然として全国範囲における大面積のスピードアップに成功し、根本から列車のスピードが遅く、国民経済の発展を制約する局面を改める上で重要な役割を果たした。

 鉄道部総技師の王麟書氏が今年613日に開かれた「鉄道発展戦略」フォーラムで述べたところによると、2001年に行われた4回目のスピードアップの基礎の上で、2003年と2005年にさらに2回大幅なスピードアップを行い、その時に中国鉄道のスピードアップの総距離はいまの13000キロから16000キロに伸びる。スピードアップ後、中国は北京、上海、広州を中心とし、全国の主な都市を結ぶ快速旅客輸送網を初歩的に築き上げる。

 鉄道のスピードアップとその他のサービス方式の改善に従い、鉄道は陸運や空輸との競争の中で徐々に強みを顕示し、旅客輸送と貨物輸送をとわず、いずれも良好な社会効果と経済効果をあげている。鉄道部の統計資料が示しているように、2001年の旅客輸送量は述べ102000万人で、スピードアップ前の1997年より11%伸び、世界第4位にランクされた。貨物輸送量は179000万トンで、1997年より10%伸び、世界第1位であった。2001年の運輸収入は1346億元で、1997年より504億元増え、599%伸びた。1999年から、全業種は計画より1年くりあげて赤字を克服して黒字に転じた。2000年と2001年の経済効果はいっそう大きくなった。

対外開放を加速

 20008月、鉄道部と対外貿易経済合作部は共同で「外商の鉄道貨物輸送業投資の審査・認可と管理についての暫定規則」を発布し、外国投資家が合資、合作の2種の方式で中国に中外合弁鉄道貨物運輸公司を設立し、鉄道貨物輸送分野に進出するのを認めることを明らかにした。

 中国のWTO加盟後、外資は中国鉄道貨物輸送業務に進出することができるが、中国側が合資企業の株式を51%保有しなければならず、3年後には外資は半数以上の株式を保有することができるようになり、6年後には外商は全額出資の鉄道貨物運輸公司を設立することができるようになる。現在のところ、中外合資の鉄道貨物運輸企業がすでに200社設立された。

 近年来、鉄道建設投資のたえまない増加につれて、一部の外資も中国の鉄道建設市場に直接に進出し始めた。今年4月、山東省煙台市と遼寧省大連市を結ぶ海に跨る鉄道プロジェクトは初めて外資導入を計画に組み入れ、20余カ国の大使館の商務代表や企業、商会、商社、投資銀行、仲介機構などの関係者が推薦説明会に参加した。調べによると、中鉄渤海鉄道フェリー公司は中国側の発起人として、選定した海外投資家と合資あるいは合作の方式で中国にプロジェクト公司を共同で設立し、中外合資あるいは合作の方式で煙台=大連鉄道フェリープロジェクトを運営し、同プロジェクトの投融資、建設、運営および保護を担当する。

 傅志寰氏によると、鉄道部は外商直接投資に力を入れており、中国の鉄道建設に投入した外資はすでに2億ドルに達している。