強化しつつある米韓同盟

王帆(外交学院)

 冷戦終結以来、国際情勢と朝鮮半島の情勢が全体として緩和に向かうにともなって、米韓同盟は外部と内部からのプレッシャーに直面している。アメリカは自国の利益の必要から、依然として東北アジア地域で著しい冷戦の特徴をもつ同盟体系を引き続き維持しようとしている。これは朝鮮半島の平和統一にとって最大の障害となるだろう。

 ブッシュ政府は20026月に対朝鮮政策五原則を打ち出した。その中核的内容には南北和解政策を支持する、枠組み合意を守り、その実施を確かめる、米日韓3カ国の対朝鮮政策を協調するなどが含まれている。ブッシュ政府の対朝鮮政策は、アメリカが朝鮮に対し依然としてきわめて強い敵対的心理を抱いており、朝鮮の政策を疑問視し、政策面では依然として東北アジア地域安全における米韓同盟の「支柱としての役割」を重視し、これをふまえて朝鮮に対する防備と圧力を強化することを示し、同時にアメリカが東北アジアの二大同盟国とのネットワークシステムの形成を非常に重視し、アメリカが今後朝鮮半島情勢の変化の中でより大きな弾力性をもつようにすることをも示している。アメリカは日韓と3者会談を二回も行った。米日韓3カ国対朝鮮調整・監督グループ(TCOG)の目的はアメリカ、日本、韓国の朝鮮半島問題をめぐる協力を確保することにある。

 冷戦後、米韓同盟の実質は変わりがなく、アメリカは依然として韓国に軍隊を駐屯させ、一時停止した軍事演習も再開し、アメリカと韓国の対朝鮮政策に食い違いはあるが、全体として強硬になりつつある。

 朝鮮問題は依然として米韓同盟が存在する重要な理由の一つと見なされ、朝鮮の進攻と軍事的脅威を防備することは米韓同盟の主な目標である。米韓同盟が引き続き存在することによって、この地域における大国の力の地域的バランスが保たれ、この地域におけるアメリカの主導的地位が維持される。この軍事的組織形態を通じて、アメリカは朝鮮半島の情勢に介入することもできれば、単独で朝鮮のチャレンジに応対してもたらすリスクとプレッシャーを避けることもできる。

 予見できる将来において、アメリカは米韓同盟を引き続き強固にし、発展させ、東アジアの主な戦略的バランスを保つ力として、韓国に米軍37000人を駐屯させるだろう。米韓同盟は特に中国に対し潜在的プレッシャーを形成する必要があり、これは同時に朝鮮半島に対する日本の影響がアメリカを超えるのを防ぐ作用もある。

 アメリカは接触と抑制の二手で朝鮮がアメリカに有利な方向に転化するよう促すのを望んでいる。それから南北和解のプロセスを「和解はするが統一はしない」段階にとどめて、朝韓関係の発展が早すぎてこの地域におけるアメリカの軍事的存在を脅かすのを防止することを望んでいる。

 アメリカが韓国との同盟関係を引き続き強化する目的は、アメリカがいつまでも朝鮮半島に軍隊が駐屯できるようにすることにある。米戦略と国際問題研究センターは2001911日に「統一後の朝鮮半島に対するアメリカの政策青写真」と題する文章を発表し、朝鮮半島統一後の政策について重点的に提案を行い、引き続き米韓同盟条約を履行し、半島が統一してからもアメリカが依然として軍事的存在を残させ、核保護を提供し、半島を全体として地域的ミサイル防御ネットワークに組み入れると強調している。

 朝鮮半島の情勢と東北アジアの周辺環境は米韓同盟の将来の今後の発展方向に影響を及ぼすカギであり、そのうち朝鮮半島情勢の変化が主な要因となる。現在の情勢から見れば、朝鮮半島の和解がいくらか進展をとげているが、突破はありえず、南北双方が一部の実質的問題の上で突破をとげるのは難しい。そのため、米韓同盟関係に根本的な改変が現れないだろう。

 これをふまえて、アメリカは韓国との同盟関係を適当に調整する。米韓同盟の地域的機能が強化され、その影響が半島以外に広げられ、米韓同盟の今後の長期的存在の基礎が築かれる。米韓同盟と米日同盟がいちだんと協調され、既存の規模、程度、投入を維持すると同時に、米韓同盟により大きな作用を発揮させ、今後朝鮮半島の情勢の変化に応対するために行動する余地を残す。情勢の変化に照らして、同盟におけるアメリカの地位は主導から支持に変わり、韓国に防衛の責任と費用をより多く担わせ、それによってアメリカが単独で直面するかもしれないリスクを減らす。米韓同盟が安全利益と対朝鮮政策の上で食い違いがあるため、韓国の自主的決定権がより大きくなる可能性がある。軍事戦略から見れば、核脅威と通常兵器の脅威を結びつけて米韓連合軍の数量面の劣勢の補充とし、朝鮮のハイテク兵器を重点的に防備する。中国をこの地域における潜在的相手と見なす。アメリカは中国が朝鮮半島の統一に対し主導的影響を発揮するのを防ぐため、韓国との同盟関係を強化しなければならない。それによって同時に米韓同盟を中国の台湾問題解決に対する牽制の力としている。

 長い目で見れば、各国が朝鮮を深く理解し、付き合いが増えるにつれて、東北アジア協力安全メカニズムの構築はよりよい土壌が得られる。朝鮮民主主義人民共和国指導者の金正日氏と日本の小泉首相が行った第1回公式会談は、日朝関係改善のために積極的に努力を払った。朝鮮の国内改革も進行中である。東北アジアの全般的情勢が緩和に向かい、それによって米韓同盟の外部推進力を引き続き弱くする。アメリカは朝鮮に対しまず接触政策をとってその行為を規制し、それをアメリカの望む軌道に乗せる。もし効果がなければ、アメリカはいっそう大きなプレッシャーをかける。アメリカのこの地域における最終的目標は、朝鮮半島全体をアジア太平洋地域にあるアメリカの軍事と政治同盟システムに組み入れることにある。