中国共産党の指導部、新旧交替を完成

 中国共産党の第4世代の指導グループの選出は権力引き継ぎが制度化に向かう歴史的進歩である。

                本誌記者 李建国

 1114日に閉会した中国共産党第16回全国代表大会は、初めて党内の最高指導層の新旧交替を順調に完成した。江沢民氏を含む6人の最高指導者は新しい中央委員会に入らなかった。翌日、中国共産党第16期中央委員会第1回全会は新しい中央指導機関を選出し、胡錦涛氏をはじめとする「第4世代の指導グループ」が正式に誕生した。

 世論は、これは政権党としての中国共産党の権力引き継ぎが制度化、規範化に向かって大きく踏み出した一歩であり、重要な歴史的意義があると普遍的に見ている。

新しい指導グループ

 14日午前、総投票立会人と投票立会人の監督の下で、会議に出席した2132人の代表と特別招請代表は無記名投票の方式で、198人の委員、158人の委員候補からなる第16期中央委員会を選出し、121人の中央規律検査委員会委員を選出した。

 中国共産党の第3世代の指導的中核である江沢民氏とその他の5人の第15期中央政治局常務委員は今度の選挙で新しい中央委員会に入らなかった。今年76歳の江沢民氏、74歳の李鵬氏と朱鎔基氏、68歳の李瑞環氏、71歳の尉健行氏、70歳の李嵐清氏は年齢制限のため第16期中央委員候補者リストに名を連ねていない。会議に出席した代表と特別招請代表は彼らの政治的度量と高尚な品格に感服と尊敬の意を表した。

 中国共産党規約は次のように規定している。党の中央政治局、中央政治局常務委員会、中央委員会総書記は、中央委員会全会が選出する。中央委員会総書記は中央政治局常務委員会委員の中から選出しなければならない。

 党大会閉幕の翌日、新しい中央委員会は第1回全会を開いた。この会議は新しい中国共産党中央委員会総書記、政治局常務委員、委員を選出した。胡錦涛氏は党の総書記に当選した。胡錦涛氏は前期政治局の7人の常務委員の唯一の留任者である。胡氏は今月ちょうど60歳で、10年前に政治局常務委員に選ばれた。

 胡錦涛氏は文化的伝統の深い安徽省出身で、「中国のMIT」(マサチューセッツ工科大学)と称される清華大学を卒業した。かつて教師、水力発電工事の技術員となったことがある。胡錦涛氏は西北地区の辺鄙な省から北京に来て全国青年連合会主席と共産主義青年団中央主席に就任してから次第に中国の一般の人びとに理解されるようになった。中央政治局常務委員に就任するに先立ち、胡錦涛氏は前後して貴州省とチベット自治区という中国の最も発達していない二つの省と自治区に派遣されて党委員会書記を担当した。

 胡錦涛氏は正式に総書記の職務を受け継ぐ前、すでに国家副主席、中央軍事委員会副主席などの重要な職務を担当している。

 過去の3年間に、胡錦涛氏は前後四回にわたって、アジア、ヨーロッパ、アフリカ、アメリカを訪問した。最近のわりに人目を引いた訪問は今年4月に行ったアメリカ訪問である。

 国外のメディアは胡錦涛氏の低調の作風が人々に全面的に氏の人となりを理解させにくいと考えていた。しかし、ここ数年公衆の場に顔を出す回数が増えるにつれて、人々は氏をいっそう多く理解するようになった。今年2月、来訪したブッシュ大統領が清華大学ヘ行って講演を行った際、同大統領に伴った胡錦涛氏はホストと校友として講話を発表した。清華大学の学生たちは彼らの「古い校友」を、スマートで、態度が謙虚、穏やかで、言葉遣が上品であると評価した。

 総書記に選ばれた後に行った内外記者会見で、胡錦涛氏は簡単な講演を発表し、当選したばかりの他の8人の政治局常務委員を順を追って紹介した。今年58歳の李長春氏を紹介した際、「氏は中央政治局常務委員の中の最も若いメンバーでもある」と特に言及した。最後に今年67歳の常務委員羅幹氏を紹介した際、胡錦涛氏は「氏は中央政治局常務委員の『兄貴分』である」と笑って述べた。 

 中国共産党第16回全国代表大会の代表は、新しい中央委員会は全体として資質がよく、知識レベルが高く、年が若く精力が旺盛で、公平かつ品行方正であり、大衆とつながりを保ち、清廉公正で、生気にあふれ、向上心に燃えて前途有為の、信頼でき、活力に満ちた中央指導グループであると見ている。

新しい顔、新しい特徴

 新しい世紀における中国共産党の新しいグループのメンバーの中で、新しい顔は半分以上を占めている。中国共産党の歴史をよく知っている人は、第16期中央委員会に新しい顔が多いことは中国共産党の改革・開放以来の24年来の記録をつくったと語った。オブザーバーは、今回の高級指導部の大交替が、来年の春の全国人民代表大会開催時の国務院スタッフの交替を促すだろうと予測している。

 新しい中央委員会は厳格に手続きに基づいて選出されたものである。党内の制定した基準に基づけば、彼らはマルクス・レーニン主義、毛沢東思想、ケ小平理論で武装され、「三つの代表」という重要な思想を忠実に実践し、あくまで中国の特色をもつ社会主義の道を歩み、誠心誠意人民に奉仕し、終始時代の先頭に立ち、複雑な局面を制御し、いろいろなチャレンジに応対することができ、政治上、思想上、組織上高度に団結、統一し、党を治め、国を治め、軍を治めることに長じ、生気はつらつとし、向上心に燃える前途有為な政治家グループであるべきである。

 データから見ると、新しい中央委員会の構成は次のような特徴がある

 1、時代とともに前進し、時代の特徴に富んでいる。中央委員と中央委員候補はみな新中国成立(1949年)後に仕事に参加した人たちで、改革・開放以来仕事に参加した若い幹部もある。多くの人格高潔で名声が高い中国共産党の高官は中央委員会から勇退し、中国共産党が幹部人事の面で時代とともに前進する特質と中国の特色のある社会主義建設に対し自信にあふれていることを体現している。

 2、教養程度が著しく高くなった。新しい中央委員会のメンバーの中で、高等専門学校以上の学歴をもつ人は98.6%を占め、第15期より6.2%高く、第14期より15.2%高いものである。徐匡迪、路甬祥、潘雲鶴氏らのアカデミー会員が中央委員会入りした。指導グループの知識化、専業化はわりに大幅レベルアップした。

 3、いちだんと若返った。新しい中央委員会のメンバーの平均年齢は55.4歳で、第15期の55.9歳より0.5歳若い。そのうち50歳以下の人は5分の1以上を占め、第15期より20余人多い。例えば45歳の青海省長の趙楽際氏、47歳の河南省長の李克強氏、49歳の浙江省長代行の習近平氏らはいずれも中央委員会に入選した。そのほか、一定人数の40歳以下の官吏が中央委員会に入選した。より多くの若いエリートを指導の職務に就かせることは、中国共産党史上の驚異的な進歩である。

 4、代表性がいっそう広くなった。分布構造から見て、党と国の指導者以外、新しい中央委員会のメンバーの主体は省・部クラスと大軍区クラスの指導中堅である。中央、国家機関、金融機関、国有中堅企業、省・自治区・直轄市と軍隊から来た人もいれば、地区・市クラスと各方面から来た優秀な人材もいる。そのうち各方面の代表的な人士は33人で、9.3%を占めている。女性幹部は27人である。少数民族の幹部は35人である。その中に作家、企業家などがいる。各地の末端、各業種の先進的な人物が集まって、この新しいグループはいっそう科学的に政策決定を行い、いっそう迫力をもって政治を行うであろう。

新旧交替は制度化の新局面を切り開く

 オブザーバーは、今回の中国共産党の指導層が新旧交替を順調に実現したことは、中国共産党という81年の歴史をもつ世界最大の政権党が成熟に向かう標識であり、中国が政治的文明を推進する重要な体現でもあり、中国の長期にわたる管理と安定に積極的かつ深遠な影響を及ぼすと見ている。

 過去の13年に、江沢民氏を中核とする中国共産党の第3世代の指導集団は中国人民を導いて非常に平凡でない道をたどり、改革と発展、内政と外交、党と国と軍を治めるなどの各方面で公認される成果をあげた。中国の総合的国力は大幅に増強され、人民の生活が著しく改善され、社会が安定、団結し、国際影響が著しく拡大され、民族凝集力がこの上なく増強され、「平和で繁栄した世の中」とたたえられている。

 江沢民氏が第16回全国代表大会の閉幕式で「党の中央指導グループが新旧交替を順調に実現した」と落ち着いて宣言した際、この言葉の後ろに含まれている深い内容は、中国にとって、確かに特別重要な歴史的意義を持っている。

 過去の半年余りの間に、中国の指導者が第16回全国代表大会で新旧交替する問題が、海外メディアに盛んに報道され、いろいろな言い伝えがあちこちに飛んだ。これは海外メディアが中国の現代の指導グループをあまり理解しておらず、第3世代の指導者の時代とともに前進する度量をまだ読みとれないことを物語っている。でも、この第16回全国代表大会における中国共産党の最高権力の平穏な引き継ぎを通して、海外メディアはついに、中国の政治と政治的人物が着実に前進しており、これ以上立ち遅れた目でそれを見ることができないという事実を知った。

 「金賞、銀賞は庶民の称賛に及ばず、金カップ、銀カップは庶民の言い伝えに及ばない」という歌詞が流行し始めた。第3世代の指導グループが、その13年のうそ偽りのない業績と第16回全国代表大会で見せた高尚な品格によって、今後ますます庶民の口の端にのぼるものと予想することができる。

 北京大学党委員会書記兼副学長の閔維方氏は、新陳代謝は自然の法則であり、党の幹部もそうである。古い世代の指導者が国になした貢献は、歴史が肯定するだろうと述べた。

 人事更迭の後、メディアと評論家はおのずと第4世代の指導グループが将来実行する重要な政策、路線、方針に関心を持ち始めている。胡錦涛氏と総理になる可能性のある温家宝氏はかつて長期にわたって西部の立ち遅れた省で仕事をしたことがあり、中国の改革・発展といくらかゆとりのある目標の実現は、どのように東部と西部の格差を縮小するかなどの問題に直面しており、海外のあるメディアはそのため、第4世代の指導グループが西部の開発と発展にいっそう力を入れると推測している。

 内外の報道界が関心を持っている新たに当選した中央指導グループがどのように活動を展開していくかという問題に照らして、胡錦涛氏は総書記に選ばれた後おかさず行った内外記者会見で「中国共産党は時代とともに前進し、開拓、進取する良好なイメージをいちだんと世人に示すだろう。われわれ全党と全国各民族人民はいっそうかたく団結し、精神を集中して建設をすすめ、一意専心発展をはかり、改革・開放と現代化建設事業を引き続き推し進めるだろう。中国の明日はいっそう麗しいものになり、中国の発展と進歩はかならず世界の平和と発展により大きな貢献をするだろう」と述べた。

 シンガポール国立大学東アジア研究所所長の王?武教授は、継承の制度化は「決まりがあり、秩序があり、慣例があり、いずれも作り上げることができるならば、一般の中国人に彼らの世界観を含めて、かなり大きな影響を及ぼすだろう」と見ている。

 ドイツ・ハンブルグ商業会議所前所長、現任のドイツ商工業総会副会長のニクラウス・シュス氏は、中国の第4世代の指導者が見事にバトンを引き継ぎ、中国の経済建設、改革・開放事業を新しいピークに推し進めることを信じ、わたしの娘は漢学を選んでおり、わたしは中国の前途に対し自信に満ちていると述べた。