今後50年に経済大国から経済強国へ  

 ――今後50年に中国経済はどのように成長していくか、世界経済はどのように成長していくか、世界経済における中国経済のランク付けはどうなるか

                      梁優彩 傘 鋒

 改革・開放以来の20余年間に、中国は現代化建設の「3歩に分けて進める」という戦略的目標の第1歩と第2歩を勝利裏に実現した。中国共産党第16回全国代表大会の戦略的配置によると、今後の20年間に、中国は10数億の人口に及ぶ、人民の生活がより豊かで、より高いレベルに達する「いくらかゆとりのある社会」を建設し、今世紀中葉に現代化を一応実現することになっている。

 16回党大会の描いた雄大な青写真に基づいて、物価や人民元為替レートが変わらないこと含めて、若干の参照のレベルを仮定する前提の下で、国内総生産(GNP)と1人当たりGNPの指標に対する予測を通じて、今後50年の中国の現代化建設の異なる段階、世界経済における中国の経済総量と人民の富裕程度の動態変化の状況を展望し、関係データの比較を通じて、中国が経済大国から経済強国に向かって発展する軌跡をより深く体得することができる。

今後50年の中国の経済成長

 中国共産党第16回全国代表大会が打ち出した奮闘目標に基づいて、今後の20年間に中国経済が年平均7.2%前後の成長率を保つならば、2020年のGNP2000年を基礎として4倍増する目標を達成し、工業化を一応実現することができる。工業化から現代化に移行してからの30年間に、中国の経済成長率が年平均4.7%前後のレベルを保つならば、2050年のGNP2020年を基礎としてさらに4倍増することができる。20余年の経済転換を経て、中国経済の変動の幅は小さくなってきた。今後の20年の中国経済が依然としてテークオフの段階にあり、日ましに世界経済と一つに融け合い、中国政府のマクロ規制政策が日ましに成熟していることは、中国経済のテイクオフから目標達成までの過程が連続して漸進するもので、大幅変動のリスクがとても小さいことを決定づけている。工業化を一応実現してからの30年でも、地区の発展レベルが違い、統一した巨大な国内市場があるなどの要因によって、地区間の強みの相互補完を実現する基礎の上で、中国経済は経済成長の潜在力を極めて大きく発揮することができ、経済成長全体が依然としてより高いレベルを保たせることができる。

 このような認識に基づいて、今後50年における最初の20年に、中国経済は7.5%、7.3%の伸び率を維持するものとわれわれは見ている。その後の30年の平均伸び率はそれぞれ5.5%、5.0%、4.5%となる予測している。現行の出産制度が変わらないと仮定する状況の下で、国内の多くの研究機構の人口増に対する予測の結果を参考にして、われわれは今後50年の中国人口の伸び率を初歩的に予測した。

 予測の結果は、中国の経済総量が2000年に1兆ドルに達したあと、2010年と2020年にはそれぞれ2兆ドル、4兆ドルという二つの重要な段階に入り、2035年前後には10兆ドルに達する、つまり現在のアメリカの経済総量のレベルに相当するものであることを顕示している。現行の出産政策が変わらなければ、2010年の人口総数は14億人以内となり、2035年前後に人口の新規増加がピークに達成した後年々下がり、2050年の人口総数が16億人以内に抑えられる。このように推算すると、中国の1人当たりGDP2000年の850ドルという下中等国から2020年前後の3000ドル以上の上中等国に仲間入りし、人民の生活はより豊かになる。2050年前に、1人当たりのGDP1万ドルを突破し、高所得国に仲間入りする。

今後50年の世界経済成長

 20世紀の最後の40年の世界経済の平均成長率は4.45%であった。しかし、19601970年代の経済成長のドールデンエージの後、世界経済の年平均成長率は逐次スローダウンし、1990年代にはわずか2.6%となった。世界経済の成長率の変化は、一方では世界経済総量の約80%を占める高所得国の経済が明らかにスローダウンした結果であり、他方では一部の発展途上国が1980年代からたえず債務危機、金融危機に見舞われて経済衰退が現れ、一部体制転換国の苦痛を伴う体制転換の反映でもある。

 19601970年代の世界経済発展のゴールデンエージは今再現するのが難しくなるとわれわれは見ている。今後の50年間に、外延型の経済成長はますます多くなった内包型の経済成長に取って代わられ、これまで人口増と資源の大量消耗を基礎とする経済成長は制度革新と科学技術革新に取って代わられる。しかし、当時先進国の経済成長を促した制造業(各国GDPの約半分を占める)がすでにサービス業(GDPの約70%を占める)に席を譲って、20%以下に下がり、それに人口の高齢化の影響を加えて、経済成長率のスローダウン傾向も決定づけられた。同時に、1970年代から1980年代にかけて工業化のピークを経験した一部の発展途上国もポスト工業化社会へ転換の問題に直面しており、工業化を実現せず、経済が発展していない一部の国は経済グローバル化の過程で日ましにその縁が薄くなっている。今後50年間に、体制転換国は以前より速い伸びを見せる可能性があるが、これはかなりの程度において、過去20年間の経済低成長に対する埋め合わせで、世界経済総量の5%前後しか占めていないため、世界経済総量の増加に大きな影響を及ぼすことはない。世界の市場が日ましに飽和し、競争がより激しくなる今後の50年間に、世界の経済成長は投資でなくて、消費にますます依存するようになり、長期の投資はすでに生産能力のひどい過剰をもたらしている。今後のかなり長い期間において、世界経済は低投資率、低資金コスト、低物価、低成長率の時期を迎えることになろう。

 上述の認識に基づき、われわれは年平均3%、2.5%という二つの案で、今後50年の世界経済の成長率に対し予測を行った。その結果、世界経済総量は2010年には40兆〜43兆ドル(2000年の不変価格で計算する)に達し、中国経済はそのうちの5.1%ないし5.4%を占め、2050年には110兆ないし140兆に達し、50年間で2倍以上にも増え、中国経済はその1418%を占めるようになることを示している。

 世界経済総量を予測するほか、世界の経済規模最大の資本主義先進国六カ国の今後50年の経済成長状況に対しても予測を行った。2001年から2010年にかけて、日本とEUの5ヵ国の経済成長率が長期成長率より低くなるのは、日本の経済成長が金融問題のために代価を払わなければならず、ドイツ、フランス、イタリアなどの国がユーロ圏の整合のために代価を払わなければならず、イギリスがユーロ圏経済の全般的衰退の影響をより多く受けているからである。この5ヵ国と比べて、アメリカは科学技術の優位と人材の優位に依存して労働生産性はわりに高い成長を維持し、それによって長期成長率を高めた。生産要素市場の高い弾力性は、外部環境の変化に対応するとき、より大きな柔軟性を顕示し、構造調整に必要なコストがわりに小さいため、経済の長期かつ安定した成長に有利である。

 予測によると、今後の50年間にアメリカは依然として世界一の経済大国の地位を保ち、世界経済に占める比率は30%前後を保つことになろう。それに比べて、他の五つの先進国の世界経済に占める比率は相対的に低くなり、それにとって代わって中国を代表とする新興発展途上国が台頭する。

今後50年の世界経済における中国経済のランク付け

 国連食糧農業機関(FAO)の世界人口の伸び率に対する予測を参考にして、今後50年の中国と世界の1人当たりGDPを推算してみた。中国経済が所期の目標を達成し、2050年に現代化をほぼ実現できるならば、中国経済が世界経済に占める地位は新たな水準に上がり、現在の発展途上の経済大国から世界の経済強国になる。その主なメルクマールは次の通り。まず、中国の経済総量の世界経済に占める比率は14%〜18%となり、現在の日本経済の世界経済に占める比率に相当する。その時になれば、中国経済の世界経済に対する貢献が明らかに大きくなり、世界経済成長の牽引車の一つになるであろう。次に、中国の経済総量は2000年にイタリアと一諸に世界第6位にランクされていたが、2010年には世界第4位に、2020年には第3位に、2040年にはわずかアメリカに次いで第2位に上昇し、名実相伴う経済強国となる。第3に、今後50年に、世界経済が年平均2.5%で伸びるならば、2050年の中国の1人当たりGDPは世界の平均レベルを上回る。これは200余年来、大志を抱く中国の数世代の人々が求めている人民を豊かにする願いを本当に実現させることを意味する。世界経済が3%の伸び率を維持するとしても、中国の1人当たりGDPと世界の平均水準との格差も明らかに小さくなり、追いつく目標もまもなく達成する。

 当面、中国経済にいくつかの問題が存在しているが、これらの問題を現代化建設という大きな背景の下に置いて考察すれば、いずれも前進途上の問題である。中国の経済総量の持続的増加に伴って、これらの問題を解決する能力も絶えず増強されるであろう。