中ロ両国、共に友好関係の新紀元を切り開く

――中ロ両国の主流社会のコンセンサスになった中ロの戦略的協力パートナーシップ

中国国際問題研究所

趙鳴文

 今月初め、プーチン・ロシア大統領は招きに応じて中国を訪問し、江沢民主席と「中ロ共同声明」(以下「声明」と略称)を発表した。国際社会はプーチン大統領の今回の中国訪問と「声明」に客観的、積極的な評価を与えた。「声明」は中ロの戦略的協力パートナーシップが全面的に発展、安定、成熟する新たな段階に入るのを保障するため、昨年の夏に締結された「ロ中善隣友好協力条約」を充実させ、細分化している。

 中国駐在ロシア大使館が最近催したロシア外務省創立200周年記念レセプションで、ロガチョフ大使はそのあいさつの中で、プーチン大統領の中国訪問と訪中の際に発表した「声明」を高く評価し、ロ中国交樹立10年このかた、両国関係が空前の発展をとげたとたたえた。唐家せん外交部長も祝辞の中で、プーチン大統領の訪中は非常に重要で、非常に成功し、非常に円満な訪問であると高く評価した。今回の訪中が中国共産党の指導層が新旧交代する時に行われ、プーチン大統領は中国の新旧指導者と両国友好協力の大計を協議し、疑いを解いて信頼を増進し、中ロの戦略的協力パートナーシップの「過去を受け継ぎ、未来を切り開く」一貫性と安定性を保障した。

 中ロ両国はともに国連安保理の常任理事国であり、また核大国でもあり、国際舞台で重要な影響力を持っている。さほど太平でないという当今の国際環境、人類社会が直面している新たな厳しい挑戦と脅威を前にして、両国が協力を強化し、双方関係の長期安定と予見可能性を維持することは、世界平和と安全の擁護及び戦略的安定にとってもきわめて深遠な意義を持っている。当面、中ロ両国関係の発展はすでに二国間関係の範囲をはるかにはみ出している。中ロ両国の戦略的協力はすでに世界平和と安定を擁護、促進する重要な要因となっている。中ロ両国がともに、21世紀に向けた戦略的協力パートナーシップの確立が両国にとっても非常に重要であることを深く意識したのは喜ばしいことである。それは、当今の平和と発展が依然として時代のテーマであるが、それに違背し、全世界の安全が直面する不確実な要素もひそかに増大しているからである。どのように平和を守り、発展を促進するかは、すでに各国人民が直面している共通の課題となっている。複雑多変の国際情勢を前にして、中ロ両国の戦略的協力パートナーシップを深化させることは、両国と両国人民の長期の利益に合致するだけでなく、国際情勢と国際関係の発展によってもたらされた挑戦を受け立つのに必要なことでもある。

 中ロ両国はともに文明的な古国であり、悠久の文化と歴史を持っており、国境線が4000キロ余りもあり、両国人民は長期にわたって往来し、代々これを続けてきている。中ロの戦略的協力パートナーシップはほかでもなく、両国間のこうした深くて長い伝統的友情を踏まえて構築されたものである。これは歴史の選択と時代の要求である。ここ10年来、両国の指導者が大所高所に立ち、鋭敏な洞察力で樹立した中ロ友好協力関係は、両国指導者の自らの指導のもとで大きな発展をとげてきた。中ロ友好は日増しに人々の心の中に深く根を下ろし、政治上は相互に信頼し、戦略的協力が絶えず深化し、伝統的友情は増進されている。二国間関係は相手側を友好国と見なすことに始まり、つづいて建設的パートナーシップを構築し、さらには戦略的協力パートナーシップを確立して、両国の政治的関係を絶えずグレードアップさせている。中ロの戦略的協力はグローバルな問題、地域安全問題及び二国間協力の面で大きな成果をあげたばかりでなく、経済協力の面でも絶えず強化され、発展をとげてきた。両国間の貿易額は最初は数十億ドルだったが、2000年から年々増えて、昨年は百億ドルを突破し、今年はさらに増えて、120億ドルに達する見込みである。両国の経済貿易関係のいっそうの発展は政治的関係の健全で安定した発展を保障する基礎であり、望ましい政治的関係は両国の経済貿易関係のためにより大きな発展の空間を開拓した。これらはいずれも、昨年に「ロ中善隣友好協力条約」が締結された結果であり、両国関係の持続的発展に信頼できる法的保障を提供した。

 今回の「声明」はここ10年来の中ロ関係の発展過程を全面的に総括し、今後の両国関係発展の具体的計画を立て、中ロの戦略的協力パートナーシップを深化させ、手を携えて中ロ友好関係の新紀元を切り開く見通しを明るくした。両国の元首は「声明」の中で、「国際情勢がどう変わろうとも、中ロの各自の国内でどのような変化が生じようとも、双方は条約で定められた方針と原則を順守し、両国の戦略的協力パートナーシップを絶えず推進、拡大するとともに、新しい内容でそれを充実、深化させ」、「永遠によき隣人、よき友人、よきパートナーとなり、永遠に敵対しない」ことを改めて表明した。これは両国の百年の大計であり、世界に対する厳かな承諾と宣言でもある。今回の「声明」は、中ロ国境のまだ合意していない最後の二区間の問題の解決は「当面すでに最も有利な条件を備えており」、両国がずっと前から解決を待ち望んでいたこの問題の早期解決が可能となり、これによって両国間の戦略的協力パートナーシップがいっそう安定し、強固になるだろうと強調している。

 両国は「声明」の中で、「世界の多極化」推進の原則について合意することは非常に深遠な戦略的意義を持っていることを改めて表明した。中ロ両国はともに、政治と外交の手段を通じ、国連を中心として地域衝突を解決し、国連の役割を重視し、国際事務の中で人権問題を利用して圧力を加え、「二重の基準」を実行することに反対することを主張している。「声明」が中ロの共同努力によって公正な国際秩序を確立するという鮮明な特徴を突出させているが、これは中ロ両国が引き続き国際舞台で協力し、大国としての役割を果たすことを予示している。そのほか、「声明」はまた中ロの地域安全、多角的と国際的組織の中での密接な協力に対しても具体的な配置を行い、計画を立て、両国が外交と国際事務の中で互いに協力、支持しあうことを表明した。中ロ両国関係の絶えまない強固と発展は、かならずや公正かつ合理的な国際政治経済新秩序の確立に巨大な影響を及ぼすだろう。

 中ロ両国の国家利益の共通点は、中ロのパートナーシップの基礎であり、一部の重大な国際問題に対する見方の接近と一致は戦略的協力の基礎を築いている。同時に、両国のハイレベル往来の会談メカニズムはまた、両国間と国際上の重大な、突発的な事件を適時に処理、解決することに信頼における保障を提供した。これらはいずれも中ロ関係のいっそうの発展のためにより大きな空間を切り開いた。

 今回の「声明」の中で最も際立ったところは、さらに両国が経済貿易の協力を強化したことがある。協力に操作可能性をさらに備えさせるため、今後の両国の協力分野、ひいては具体的項目についても詳しい計画を立てた。特にハイテク、機械・電子製品及びその他の高付加価値製品の協力の度合を高め、輸出商品構成を改善することをも提出した。これは両国の経済貿易協力が量的にも、質的にも新たな段階に上がり、両国の企業に巨大なビジネスチャンスを提供することを予示している。

 指摘すべきなのは、中ロの戦略的協力パートナーシップが大きな成果をあげ、その見通しが非常に明るいとはいえ、目下中ロの貿易関係には依然として大きな発展の空間があり、両国が投資、金融などの重要な分野での協調、協力の面で依然として多くの仕事をする必要があることをも見てとるべきだということである。中ロの戦略的協力パートナーシップの発展は両国の主流社会のコンセンサスとなっているとはいえ、全社会の「合力」になるには、なおも両国の指導層と民衆がたゆまずに努力し、絶えず民間、特に人文分野、マスメディア、青年間の交流を強化する必要がある。プーチン大統領が今回の訪中に先立ち、「ロシア人民の中国に対する関心がますます強くなる」ことを強く望んでいると表明したが、これはロシアの指導層が中国との友好関係の発展を重視する程度をはっきり示している。

 中ロ友好はロシアで広範な大衆的基礎を持っている。ロシアのマスメディアがプーチン大統領の訪中直前に行った世論調査も、「調査対象の3分の2が「中国と中国人に好感を持っている」、「中国の経済発展がロシアより成功し、中国との協力を大いに発展させるべきだと見る人が67%いる」ことを実証している。中国の民衆はロシア人民にずっと独特な感情を持っており、中年以上の人たちは今でもソ連時期に中国の解放と建設の事業に与えた大きな支持と援助を覚えている。中ロ両国人民の友情の木は中ロ両国の指導者と人民が共同ではぐくむ下で、かならず深く根を下ろし、うっそうと生い茂り、いつまでも緑色を保っていくと信じる理由がある。