金市場の全面的開放を迎えて

柴 米

 上海金取引所は昨年1128日に試営業を行い、今年から正式に開業する予定である。これは中国が金市場を開設する面でとった重大な措置であり、中国の金市場の全面的開放はこれによって期待できるようになった。

計画管理から市場管理に

 中国は長い間金の流通に対し厳格な計画管理体制を実行し、人民銀行が統一的に買い付け、販売し、価格を決定し、民間での流通を厳禁していた。

 198291日、国内は金の装飾品販売が回復され、中国の金銀市場開放の第一歩を踏み出した。19991125日、中国は銀市場を開放し、半世紀も禁止されていた銀の自由取引を解禁して、金取引市場の開放のために基礎を築いた。2001611日、中央銀行が金価格週間オファー制度をスタートさせ、81日に純金装飾品、金精砿、金塊及び金銀製品の価格が自由化され、929日に中国国家金グループ公司が発足した。111日から金装飾品の小売り管理改革案が正式に実行され、金製品小売り業務許可証管理制度が廃止され、審査・許可制度が実行された。1128日、金取引所が試営業を始めた。

 しかし、これだけで金市場の全面的開放が同時に実現されたとは言えない。事実上、いま一つの過程を経なければならない。関係者によれば、上海金取引所は初めのうちは、主に金生産企業、仲介業者、金を必要とするメーカーに取引の場所を提供し、しかも現物取引が主であった。

 将来の発展の趨勢から見ると、市場定価、株の売買と同じように自由な金投資、金の先物売買への参与、金店経営などが現実となる。調べによると、関係部門が金市場開放のためにタイムテーブルを次のように設定した。第一段階は、12年の時間を利用して近代的、組織的な金現物取引市場を開設し、生産と販売を結ぶために取引の場所を提供する。第二段階は、人民銀行が金の買付業務を完全に止め、国内での金先物取引試行のために条件を整える。第三段階は、国際金市場とリンクし、金の輸出入制限を取り消し、国内の金生産・加工企業が国際金市場の競争に参与することを奨励する。

重要な役割を果たす銀行

 現在、中国銀行、中国工商銀行、中国建設銀行、中国農業銀行は金取引清算銀行と実物信託保管銀行に指定され、上海金取引所の金価を基準価格として、「9999」の1キロ金塊と「99953キロ金塊の現貨取引を行うことができる。

 中国工商銀行の関係責任者は先日、金取引所の金融会員として、工商銀行は積極的に中国の金市場建設に参与することを明らかにした。

 目下、工商銀行は金市場のための準備作業を基本的に完成した。資金振り込み清算システムと金取引所の取引システムのオンラインの実現によって、金取引資金の振り込みのために快速通路を提供し、金取引の清算金額は2時間以内に受取人の口座に振り込み、また関連情報や資料を伝送することもできる。工商銀行はまた清算、貯蔵、自営と金取引代行、賃貸、金項目融資、金買付、金投資製品と金輸出入、個人の金売買など9種の業務を含む「一括サービス」案を設計し、金市場の各種取引先に金融サービスを提供することができる。

 業界筋は次のように見ている。中国金市場の逐次開放に伴い、工商銀行などの商業銀行は将来の中国の金市場で重要な役割を果たすだろう。まず、これらの銀行は営業所が多く、分布が広く、配置が合理的という強みを生かして、全国の大中小都市と辺ぴな地域に分布する金企業に取引、決済、清算などのサービスを提供することができる。次に、現有の安全で発達した同じところにある金倉庫ネットワークに依拠して、金取引所の会員に金貯蔵サービスを提供し、会員が他の地域で決済し、最寄りの所で貨物を引き出す必要を満たし、同時に自身の豊富な資金力とコールローン市場を利用して、取引先のためにわりに低いコストで資金を調達し、金の賃貸業務を取り扱い、取引先の必要に基づいてさまざまな融資サービスを提供することができる。そのほか、国際業務面の強みを生かして、金市場の流動を促し、内外の金市場を疎通させ、金企業に価格リスクを回避するルートを提供することもできる。

投資と価値保全の新しいルート

 投資製品として、金はその価値が相対的に安定しており、そのためよく人々にリスクを回避する道具と見なされる。価値保全のために金を買うという中国人の昔からの金銭管理のやり方が近い将来、中国金市場の全面的開放に伴って回復されるだろう。

 1123日、中国工商銀行と中国金総公司は資金清算ネットワークと融資協定を締結した。工商銀行の関係責任者は調印式で次のことを明らかにした。個人投資家の金売買の便宜をはかるため、工商銀行は現物売買、個人の小型金庫、金貯蓄など一連のサービスを設計した。今後、個人投資家は銀行で専門の金口座を設け、預金通帳に記載された借り入れと貸し出しの数量を通じて、金の即時売買、全額決済を行うことができる。金の品種については、工商銀行は数グラムないし数キログラムの規格の異なる製品を開発する計画である。一般的に言って、この業務は実物による決済ではなく、帳簿による決済の形式で取り扱われる。

 世界金協会中国区経理の王立新氏は次のように語った。個人が金売買に投資するのは発展の大きな趨勢であり、現在、銀行は中国金総公司と資金清算ネットワークと融資協定を結んだが、これも主に今後の個人の金市場への投資のために基礎をつくるためである。しかし、個人の金売買は、中国の金取引所開放、及び関連政策の公布を待たなければならない。

 中国建設銀行資金部副総経理の陳鉄軍氏は次のように語った。金市場は開放後、人々の投資方式にある程度影響を及ぼすが、この影響はさほど大きなものではない。というのは、当面の投資ルートがかなり多く、株券、債券などその他の投資品種と比べて、一般的な状況の下では、金の利益率が畢竟わりに小さいからである。

 現在、中国では金は主に真珠や宝石などの装身具に使われており、市場総量の約96%を占めている。専門家の予測では、金市場の開放後、個人と企業の金購入がもっと便利になり、価格もいっそう合理的になる、これは金消費が刺激し、金の需要量が大幅に増大する。工業用金と個人需要を加えると、国内の金販売量は現在の年間200トン余りから500トン前後にまで激増する。

大型の金企業を育成

 金市場が全面的に開放された後、国際上で同業者と競争する中国の中小金企業は生存の危機に直面する。一方では中国は金市場運営の経験がなく、他方では中国企業の規模、資本、技術、コストが国際先進レベルと比べて、大きなギャップがあり、競争力がわりと劣っている。

 国家経済貿易委員会は最近次のことを明らかにした。中国は金企業の構造を調整し、資産をきずなとし、連合、併合、再編などの措置を通じて、12の国際競争力をもつ大型企業グループを育成し、さらに23社の、金の純化と高度加工を主とするハイテク企業を重点的に創設する。そのほか、金企業の分布の特徴と結び付けて、区域的なグループ公司を多数発足させる必要がある。

 香港の『文匯報』の報道によると、国家経済貿易委員会がこのほど発表した「金工業の第十次五カ年計画」は、中国のWTO加盟に対応し、いちだんと外資を導入し、金市場を開放するため、中国は既存の金産地を強固にすると同時に、力を集中して西部の金資源を開発し、新たな経済成長点を育成するであろうと指摘している。

中国金協会、北京で発足

 中国金協会は先日北京で発足を宣した。同協会は金業界の企業・事業体及び金と関係ある企業・事業体、社会団体などが自由意思で結成された全国的な、非営利、自主管理の社会組織であり、組織と調整、コンサルティングと指導、情報交流、規則制定と自主管理という職責を担っている。

 伝えられるところによると、中国金協会会長に当選した中国金総公司総経理の成輔民氏は、金協会の発足は中国の金工業が市場経済体制への転換に向かって新たに重要な一歩を踏み出したことを示している、と見ている。

 中国金協会の会員は全国に分布しており、金を主導とし、生産、加工、販売をチェーンとする産業の枠組みがほぼ形成されている。

 伝えられるところによると、金協会は今後のある期間に五つの活動を重点的に展開する。@中国金協会の組織面の強みを十分に生かして会員にサービスを提供する、A金を応用する新分野、新製品の開発を組織、調整し、金消費市場の拡大に努め、業界の発展空間を開拓する、BWTO加盟と金市場の開放によってもたらされた挑戦に対応し、国際交流を立派に組織し、技術進歩を推進する、C協会自身の建設を強化し、業界の自主管理を逐次実現する、D政策研究を着実に行い、企業と政府をつなぐ掛け橋ときずなの役割を十分に果たす。