編集長の言葉

 昨年下半期、特に「911」事件以来、シンガポールと中国の間の経済往来がいっそう緊密になる趨勢を見せ、シンガポール政府と商業界は中国に投資し、商いをすることにこれまでよりもっと大きな情熱を示しており、中国側も中央政府から地方各級政府に至るまでこれに積極的に応対し、双方は続々と商業代表団を派遣して視察、相互訪問、さらには実質的なビジネス商談さえ行っている。うわべから見れば、中国との経済往来を強化するのはシンガポールが経済衰退を解決する緊急な対策のように見える。なぜなら、2001年にシンガポールの経済全体が3%衰退したが、対中国貿易総額は逆に47%増加したからである。シンガポール政府は中国とシンガポールの往来強化を通じて経済衰退を緩和し、それから脱却することに極めて大きな希望を託している。しかし、もっと掘り下げて問題を見ると、中国とシンガポールの経済往来が日増しに緊密になっており、これは両国間の関係が深まり、相互理解が深まり、信頼が深まったことを示している。中国とシンガポールの両国関係はいまのところ「いかなる問題もない」と言ってもよい。このような政治上の信頼は、長期にわたる戦略的パートナーシップを構築することに堅実な基礎と支持を提供する。

 私も確かに、中国とシンガポールの間の理解がまたもかなり深まったことを感じている。7年前に私がシンガポール貿易発展局を訪れた時、受入側の処長は私たち一行に、「中国人との付き合い方で私たちと付き合ってよいと考えてはいけない。私たちは黄色い肌をしているが中国人ではなく、受けた教育は西側の教育で、バナナみたいに、皮は黄色くても、中味は白なのだ。このことをはっきり知ってほしい」と注意する口調で言った。その時、私はこの処長の「教育」をなかなか理解できなかった。私は彼が改革・開放後の中国と中国人をあまりにも知らなすぎると断定した。しかし、中国とシンガポール両国の理解と信頼に、恐らく上述の状況が二度と現れることがないだろう。交流―理解―信頼は、国と国の間の関係を発展させる基本的な方途であり、中国とシンガポールの両国関係の健全な発展はこの公式に対するきわめてよい注釈となる。

 今号の中心問題として、中国のWTO加盟後、9億の農民がぶつかった挑戦とチャンスが取り上げられたが、読者の皆様はその中から世界に向かい、世界の農業とリンクする中国農業の新たな動向をうかがい知ることができるだろう。

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社長兼編集長  林良旗