戴相竜氏、ホットな金融問題を語る

 戴相竜中国人民銀行行長はこのほど国務院報道弁公室の行った記者会見で、中国は引き続き穏健な通貨政策を実行し、経済発展に対する金融の支持を強化すると強調し、さらに当面金融界が広く関心を寄せているホットな問題について次のように説明した。

利率市場化を着実に推進

 利率はみなが最も関心を持つ焦点の一つである。中国人民銀行は最近利率調整案を提出していない。中国は国際市場の変化に基づいて外貨の利率をすかさず調整し、人民元の利率に対しては国のマクロ経済のニーズに基づいて管理するようにしている。当面、中国の1年定期預金の利率は2.25%で、20%の利子税を差し引くと1.8%になる。昨年の消費物価指数は0.70.8%伸びたが、これでも1%の純利がある。そのため、一部の専門家、学者は人民元の利率引き下げにある程度の空間があるが、その空間があまり大きくないと言っている。中央銀行は国内のマクロ経済の変化に基づいてすかさず利率政策を検討し、それに適当なレベルを保たせるようにする。

 中国のWTO加盟後、国際資本進出の規模が大きくなり、外貨の利率と人民元の利率の相互影響力も大きくなる。中央銀行は第105カ年計画の目標に基づいて、利率市場化の改革を着実に推し進める。まずは借款利率の変動の幅を大きくし、借款利率の最低限と預金利率の最高限を規定することを通じてちくじ推進する。同時に、中央銀行は公開市場に役割を果たさせ、債券の売買を通じて市場の利率に影響を与える。

証券市場が健全に発展

 (最近、中国大陸部の株式市場の相場が低迷していることについて)私は株式市場の問題について論評しないが、中国経済が力強く発展し、人民元の貨幣価値が安定し、外貨準備がわりに多く、外債がちくじ整備されていることをはっきり見てとるはずである。これらの基本的なことは、規範化した管理を強化しさえすれば、株式市場は必ず着実かつ健全に発展することを決定づけている。

 中国の現行の融資制度はまだ市場経済の発展の必要にあまり適応しておらず、企業の直接融資の割合が低すぎ、銀行に依存しすぎ、特に国家銀行の借款は銀行の経営リスクを大きくしている。昨年、企業は証券市場で1000億余元を直接借款したが、金融機関の融資は13000億余元であり、企業が資本市場を通じて調達した資金はまだ少ない。そのため、中央銀行は通貨政策を制定する時も、資本市場の発展を促進できることを望んでいる。

 通貨市場と資本市場をどう接続するかを検討すべきであり、信用貸し資金の証券市場進出に対する規範化的管理が必要である。中央銀行は貨幣政策、金融市場管理を通じて資本市場の穏健な発展を支持するだろう。

ユーロの地位も非常に重要

 ユーロは199911日に登場し、使用を始めたものであるが、現在はすでに国際貿易、金融市場、外貨準備の重要な通貨の一つとなっている。3年後、ユーロの価値が下がったとはいえ、なんと言ってもすでに登場し、使用され、人々に知られるようになったのだから、成功したと言える。今年11日から、ユーロのキャッシュが流通の中で使用されるようになったので、ユーロに対する人々の認識と信頼をいちだんと強めた。ユーロはヨーロッパ経済の発展促進に対し、国際金融市場の安定に対し、果たすべき重要な役割を果たすと断言することができる。

 今年3月、ヨーロッパ中央銀行の頭取が招きに応じて訪中するが、中国人民銀行とヨーロッパ中央銀行が協力を強化して、中国とEUの経済協力と貿易の発展をいっそう促進することになろう。

外貨準備の通貨種類をすかさず調整

 中国は世界第二の外貨準備大国であり、最近の国際市場の為替レートがわりに大幅に変動している。昨年の中国の外貨準備高はすでに2122億ドルに達している。われわれは外貨準備の経営と管理問題を非常に重視し、国際市場の変化に基づいて、外貨準備の各種通貨の構成をすかさず調整する。中国の外貨準備の通貨の中で、米ドルの割合が最大で、ユーロが二番目、日本円が三番目である。中央銀行は流動、安全、価値増加という外貨準備経営の原則にのっとりよって、国際金融市場の変化と各種通貨の変化に基づいて、通貨の種類をすかさず調整する。

円安に対する見方

 昨年日本円は15%切り下げたが、今なお切り下げの傾向にあり、これに対し人びとは憂慮している。私は多くの記事の見方に賛成する。つまり円の切り下げは日本経済に対しかならずしもメリットがあるわけではなく、アジアの経済に影響を与え、中国の為替レートに圧力を与えている。

 日本は世界で第二の大経済実体であり、強い経済実力を持っている。そのため、日本円は堅調な通貨となるはずである。目下の状況から見ると、日本の外貨準備高は世界一で、前年より百億ドルを増えた。日本経済が低迷し、ひいては衰退しているとはいえ、アメリカの経済も衰退し、世界の経済も落ち込んでいる。だから、日本円の安定はやはり経済的土台がある。

 日本政府の関係部門がアジア諸国のこのような反応に留意し、日本円の安定を保ち、日本円の継続切り下げによって、アジア諸国通貨の全面的切り下げを避けるよう希望する。これはわれわれが見たくないことである。中国人民銀行はすでに自らの観点を日本政府の関係部門に明確に告げた。

WTO加盟が中国の金融体制に与える衝撃

 ここ数年来、中国の金融体制改革はたえず進められ、効果もあげられ、特に国有独資商業銀行の不良借款の金額は下がり、利潤が増えている。WTO加盟後、外資系銀行は中国企業と住民の外国為替業務を取り扱うことができるようになる。国内商業銀行の外国為替資金がわりに十分なため、たとえ資金の一部分が分流しても、影響はあまり大きくない。2年後、外資系銀行は中国企業の人民元業務を取り扱うことができ、中国の銀行にわりに大きな影響を与えるが、中国の銀行の人民元資金がわりに十分であるため、このプレッシャーは限りのあるものである。5年後、外国の銀行と中国の銀行は同様に内国民待遇を享受するが、これは中国の銀行業に対しては厳しい挑戦である。そのため、今後の3年ないし5年内に、国有独資商業銀行に対して重大かつ根本的な改革を行わなければならない。改革の重要な一環は、銀行業を完全に発展させ、完全な管理構造を確立し、資本金を充実させ、不良借款を解決することである。中国はこの問題を解決する能力がある。次は株式制商業銀行に独立の理事を派遣する。外国の資本が中国の株式制商業銀行の株式に参加することを歓迎する。外資の割合は25%以内なら認められるが、25%を超えると中外合資銀行になる。同時に、中国金融の対外開放の状況に基づいて、中国の金融監督・管理システムの改善を加速し、監督・管理機構間の協力を強化しなければならない。健全な金融システムの確立と整備は国の政策である。中央と国務院は中国の金融改革が直面している重大な問題に対して決定を行い、それを今後の数年間に実施することになろう。

人民元の為替レートは安定を保つ  

 円安は中国が人民元の為替レートの安定を維持することにいくらか圧力を与えているが、人民元の為替レートは安定を保つだろう。

 円安はアジア諸国の一部地域の通貨に影響を及ぼすが、同様に中国にも影響を与える。しかし、中国の国際収支状況がわりによく、昨年の外国直接投資額は15%増え、貿易は引き続き輸出超過を維持し、外貨準備高はたえず増加している。 そのため、人民元の為替レートは安定を保つだろう。

 現在、人民元の為替レートはわりに適切なものであるが、中長期から見れば、WTO加盟後、中国の為替レートメカニズムはさらに完全なものにする必要がある。人民元の為替レートの安定を維持する前提の下で、人民元の為替レートの形成メカニズムをいちだんと整備しなければならない。経常項目収支の管理を引き続き改善し、順を追って漸進する方法で人民元資本項目の兌換可能のプロセスを推し進める。国際金融協力を強化し、東南アジア諸国連合(ASEAN)および中国・日本・韓国の通貨相互兌換メカニズムを積極的に推し進め、アジア金融市場の安定を促進する。