中米友好都市の発展を振りかえって
中国人民対外友好協会副会長 李小林
今年はニクソン大統領の訪中と中米「上海コミュニケ」発表30周年である。中米両国政府が1972に正常な接触を回復してから、両国関係の発展はすでに30年にわたって曲折した道をたどってきた。この期間に、中米両国人民の友好往来は両国関係の健全で安定した発展のために基礎を築いた。中米民間友好の重要な構成部分として、中米友好都市（姉妹都市）関係は両国関係のたえまない発展に伴って前進している。それと同時に、友好都市間の交流と協力は両国関係の発展に対し積極的な推進的役割を果たしている。
中国人民対外友好協会、中国国際友好都市連合会の具体的な協調の下で、中国の28の省、直轄市、自治区はアメリカの38の州と34組の友好省・州、108組の友好都市関係を結んだ。歴史を振りかえって、中米友好都市の発展はおおよそ次の三つの段階に分けることができる。
1、1979年から1982年までは中米友好都市関係の草創期である。1979年10月30日、湖北省とオハイオ州は最初の中米友好省・州関係を結んだ。3日後、南京市とセントルイス市は最初の友好都市関係を結んだ。4年間に、中米両国は合わせて18組の友好都市関係を結んだ。友好都市の往来は両国で繰り広げられ、影響も絶えず拡大されるようになった。
2、1983年から1989年までは中米友好都市の発展・調整期である。中国の改革・開放の深化と経済の飛躍的発展に伴って、両国都市の友好関係を結ぶ積極性が高くなり、それぞれ相手方の適当な都市を探し、友好都市の交流を対外往来の重要なルートとするようになった。中米の友好都市は雨後のタケノコのように発展してきた。それと同時に、中国人民対外友好協会と中国国際友好都市連合会の協調の下で、1983年の第1回全国友好都市大会をきっかけとして、国際友好都市の交流は規範化、制度化の軌道に沿って発展し始めた。中米友好都市の交流の重点も数量を追求することから友好都市間の実質的往来を重視することに移った。双方の都市は相互尊重、互恵、実効重視を原則とし、友好都市関係を十分に利用して、社会、経済、文化教育などの諸分野ですこぶる効果的な交流と協力を展開した。
3、1990年から現在までは、数量と交流活動の質をとわず、中米の友好都市は安定し、秩序立って発展する時期に入った。中米関係がこの時期に少なからず曲折をたどったにもかかわらず、両国友好都市の交流は停滞したことがない。これは中米両国の友好都市関係の発展がわりに成熟した時期に入ったことを示している。
中米友好都市間の交流は両国の友好と協力を促進する面で取って代わるのできない役割と強みを持っている。都市は国家行政管理システムの中でとても独特な役割を発揮し、中央政府と普通の国民を結び付ける重要なきず友であり、地方発展の総体的計画と具体的プロジェクトの実施と協調に任務を担っている。国と国との間の協力と問題解決は都市の参与がなくてはならない。それと同時に、都市間の往来は国家間の往来とも違っている。地方の友好都市関係の発展が国際政治の動向から受ける影響が相対的に小さく、都市の社会と経済の繁栄と発展に有利な具体的協力をより重視し、交流の内容がいちだんと実務的で、形式がいっそう弾力的である。
中米が国交関係を樹立してから、中米の友好都市活動は両国間の友好関係の発展のために新たなルートを切り開いた。友好都市の往来は両国人民間の理解と友情を深め、協力と共同の発展を促す効果的な方式となった。「友情を重んじ、実効を重んじ、互恵を重んじる」が中米両国の友好都市交流の特色となっている。
友好都市の交流は中米人民友好の基礎を拡大した。中米両国の友好都市活動を組織、協調する中国人民対外友好協会とアメリカ国際姉妹城協会は長期にわたる友好協力関係を持っている。双方の共同の努力の下で、中米の都市は毎年、お互いに代表団を派遣して、中国で開催される友好都市国際大会とアメリカで開催される国際姉妹城協会年次総会に参加させている。会議は両国の都市が情報を交流し、協力パートナーを探し、友好都市発展の前途を探求することによいチャンスを提供した。また、中米の友好都市は経常的に相互訪問を行い、双方の都市の指導者と各業界代表の面と向かい合っての交流を通じて、双方の理解と友情を深め、新たな協力分野を探求し、具体的プロジェクトの実施について話し合った。少なからぬ都市の間では長期の固定した友好ネットワークが形成された。このような安定した友好関係は特殊な時期に中米関係の発展に積極的な推進的役割を果たした。1989年以後に、中米関係の発展が挫折にぶつかったとき、アメリカ側の多くの都市は中国側の友好都市に引き続き交流しようという願いを表明した。アメリカのアイオワ州州長は中国側の友好省である河北省の省長に送った書簡の中で、困難な時期に関係と友情を保つのは更に重要な意義があると書いた。「9・11」事件後、中国側の都市は続々とアメリカ側の友好都市に書簡を送って慰問と支持の意を表し、これによって、アメリカ人民は中国人民が本当の友人であるということを体得した。
理解の深化と互恵を踏まえて、中米双方の友好都市は交流分野を単なる地方政府の高官の友好往来から逐次社会の各階層、各業界の双方向の交流と協力に拡大するように努めている。経済貿易の協力、人員の養成、文化教育、技術交流など各方面において、中米双方の都市は長所を取り入れて、短所を補い、互いに学び合い、自身の特徴にかない、実際にとび抜けた効果のある協力を展開した。
中米の都市間の経済貿易交流と協力であげた成果はとくに際立っている。湖北省とオハイオ州は1979年に中米初の友好省・州関係を結び、1981年にまた中米初の合弁企業を設立した。つづいて、両国の友好省・州と友好都市が設立した合弁・合作企業も急速に発展してきた。例えば、陝西省宝鶏市とミネソタ州のCPM社が合資で設立した秦明医学器具有限公司、江蘇省鎮江市とアリゾナ州のLCD社が共同で投資して液晶ディスプレイを開発するプロジェクト、江蘇省徐州市とニュージャージー州のニューアーク市が合資で各種の電子管を生産するプロジェクトがそれである。そのほか、双方は企業誘致会、展示即売会への参加、商業貿易団の相互派遣を通じて、ビジネス商談を行い、協力取り決めを結んだ。友好都市間の協力は双方のために直接的な経済利益をもたらし、中米都市の共同の繁栄のために積極的な役割を果たした。
中米間の友好都市の交流を通じて、中国側の都市はアメリカ側から市改建設と管理をよりよく学び、先進技術を導入することができる。例えば、上海市がサンフランシスコ市の汚水処理専門家を招聘して、都市汚水整備プロジェクトを指導してもらうとか、山東省勝利油田がテキサス州からポンピング・ジャック技術を導入するなどがそれである。
中米友好都市間の文化交流、人員の養成プロジェクトも双方の往来の中で重要な地位を占めている。例えば、福建省厦門市とメリーランド州ボルチモア市が中学校の英語教師の交流活動を行うとか、遼寧省営口市がフロリダ州ジャクソンヴィル市で京劇芸術上演講座を催すとか、江蘇省無錫市がテネシー州チャタヌーガ市で児童絵画展と風景撮影展を開催するとか、南京市の代表がミズーリ州セントルイス市の「世界植樹」活動に参加するとかがそれである。
若干の例をあげるだけでは、中米両国の34組の友好省・州と108組の友好都市間で展開されている豊富多彩な交流イベントを概括し、反映するのは難しい。双方の都市の政府と国民の共同の努力の下で、中米友好都市の交流と提携は実り多い成果をあげた。
平和は友情が必要であり、発展は協力が必要である。中米の友好都市関係の発展は両国人民が世界平和にあこがれ、共通の繁栄を求める願いと根本的利益に合致するものである。中国がすでにＷＴＯに加盟し、経済グローバル化が日ましに強化されている今日、中米の友好都市交流は中国と世界各国との交流、協力の重要な構成部分として、より大きなチャンスとより明るい発展の見通しをもつであろう。
作者の略歴
李小林女史は1996年から今まで、中国人民対外友好協会副会長を務めている。1975年に武漢大学英語学部を卒業し、同年に対外友好協会に就職した。1982年にアメリカに留学し、翌年はカリフォルニア州大学ロサンゼルス分校のアジア系アメリカ人研究で修士学位を取得した。1990年から1992年までは、アメリカ駐在中国大使館1等秘書官を務め、1993年から1996年までは、前後して対外友好協会のアメリカ・オセアニア部の副主任、主任を歴任した。
Ms. Li Xiaolin, born in October 1953, has been Vice President of the Chinese People's Association for Friendship with Foreign Countries since 1996. She graduated from Wuhan University in 1975 with a BA degree majoring in English and joined the CPAFFC the same year. In 1982 she went to study in UCLA and graduated as MA majored in Asian American Studies next year. She served as First Secretary in the PRC Embassy to the United States from 1990 to 1992. She worked as Deputy Director General and later Director General of Dept. of American & Oceanian Affairs of the CPAFFC from 1993 to 1996.