江沢民、ブッシュ両氏が共同記者会見

 中国の江沢民国家主席と米国のブッシュ大統領は221日、会談終了後、北京の人民大会堂で内外共同記者会見に臨み、質問に答えた。

 江主席はまず中国政府と人民を代表して、ブッシュ大統領の訪問に歓迎の意を表明した。続いて「ブッシュ大統領との会談は2回目である。4カ月前、上海でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)期間中に会談し、成功を収めた。きょうの会談で、双方は中米関係の30年間の歴史を振り返り、2国間関係と現在の国際情勢を掘り下げて討議し、多くの重要な共通認識に達し、多方面の積極的成果をあげた。双方は、現在の複雑多変の国際情勢の下で、中米は世界の重要な影響力をもつ国として、対話と協力を強化し、意見の相違を妥当に処理し、建設的協力関係の一層の発展を共に促すことを一致して確認した」と述べた。

 江主席は「ブッシュ大統領との間で、理解と相互信頼を増進するため、高いレベルの戦略的対話および各レベル、各部門間の接触を強化することで合意した。経済・貿易、エネルギー、科学技術、環境保護、エイズ予防・治療、法執行などの分野の交流と協力を積極的に進め、地域経済や金融問題について戦略的対話を行い、年内に経済、通商、科学技術の3つの合同委員会を開催することで合意した。両国元首は会談で、国際反テロ闘争の情勢について掘り下げて話し合い、双方向、互恵を踏まえて、協議と協力を強化し、両国間の中長期の反テロ交流・協力の枠組みを充実させることで合意した。双方はまた一連の重要な国際問題と地域問題について意見を交換し、意思疎通と協調を強化することを決定した」と述べた。

 江主席は「台湾問題を適切に処理することは中米関係の安定、発展を保証するカギである。会談で台湾問題を解決する中国政府の『平和統一、12制度』の基本方針を説明した。ブッシュ大統領は米国政府が1つの中国の政策を堅持し、中米間の3つの共同コミュニケを順守すると強調した」と述べた。

 江主席は「中米両国は国情が異なり、意見の相違があることは正常なのである。双方が互いに尊重し、平等に相対し、小異を残して大同につく精神に従うなら、意見の相違を絶えず縮め、共通認識を拡大し、協力を推進することができる。今回の会談が中米関係の改善と発展に積極的影響を与えるよう希望し、そうなるものと確信している」と述べた。

 江主席は「ブッシュ大統領の招請を喜んで受け入れ、今年10月、メキシコで開かれるAPECに出席する前に米国を訪問する。胡錦涛国家副主席はチェイニー米副大統領の招きで近く訪米する」と述べた。

 ブッシュ大統領はまず江主席と中国側の盛大なもてなしに感謝の意を表明した。続いて「江主席との会談は非常に率直で、積極的なものだった。30年前のニクソン大統領の中国訪問はその後の米中関係発展のスタートとなった。米中関係は成熟し、互いに尊重するものであり、両国および全世界にとって非常に重要なものである。中国は世界貿易機関(WTO)の正式メンバーとなり、世界貿易体制のパートナーとなり、貿易ルールを制定、執行する権利と義務がある。米中双方がエイズの予防・治療などの面で一層緊密に協力することを希望する」と述べた。

 反テロ問題について、ブッシュ大統領は「米中双方は共にテロの脅威に直面している。米国は中国が反テロ戦争で米国を支援するのを非常に歓迎している」と述べた。

 大統領は両国間に意見の相違のあることを認めたうえで、双方は相互理解、相互尊重の姿勢で、意見の相違について話し合うことができると確信していると述べた。

 台湾問題について、ブッシュ大統領は「米国政府の台湾問題に対する立場は長年、変わっていない。台湾問題が平和的方法で解決されることを希望する」と述べた。

 大統領は「この30年間に中国に天地が覆るほどの変化が生じたことを目の当たりにした。今後も同様に変化するものと確信している。これらの変化は中国に深遠な影響を与えるだけでなく、世界各国にとっても積極的意義のあるものである」と述べた。

 両元首はそれぞれ記者団の質問に答えた。

 中米関係について、江主席は「今年は中米の上海コミュニケ発表30周年である。30年前の両国指導者の接触で、両国は交流と協力の道を歩み始めた。中米関係の発展は両国人民に確かな利益をもたらし、アジアおよび世界の平和維持に重要な役割を果たしている。国際情勢が大きく変化しているが、中米間の共通の利益と世界平和に対する重要な責任は軽くなったのではなく、重くなったのである。中米関係の重要性は小さくなったのではなく、大きくなったのである。中米関係の発展は両国の願いである。中米双方が交流を強化し、3つの共同コミュニケの原則を順守するなら、中米関係は一層発展するだろう」と述べた。

 江主席は「中米の国情が異なり、意見の相違があるが、双方はより幅広く、より重要な角度から、こうした意見の相違を考え、処理しなければならない。改革・開放以来、中国経済は急速に発展し、文化面の発展もかなり速い。中国は人口が13億近くで、近代化を基本的に実現し、みなが良い生活を送るにはまだ長い道のりがある。力を集中して経済を発展させ、人民の生活を改善することがわれわれの長期目標である。WTOの加盟後、将来発達しても、他国の脅威となることはない。事実が証明しているように、中国は世界と地域の平和を守る確固とした力である。これは今後も引き続き証明されるだろう」と述べた。

 宗教問題について、江主席は「中国憲法は公民の信教の自由を明確に規定している。中国には宗教を信仰する公民が多数いる。私は宗教を信仰しないが、宗教に大いに興味があり、聖書やコーラン、金剛経などの宗教経典を読んだことがあり、国内宗教界の指導者と常に話し合っている。中国において、いかなる宗教を信仰しても、信徒は国の法律を順守しなければならない。拘束されたとしたら、それは法律を犯したためで、宗教を信仰したためではない。国家主席の私も司法の独立に干渉する権限はない」と述べた。

 国際反テロ闘争について、江主席は「あらゆる形のテロに反対することは中国政府の一貫した立場である。昨年のAPEC非公式首脳会議でブッシュ大統領と初めて会った際、この立場を表明した。中国はテロに断固反対する。中国はアフガニスタンの平和建設が始まっていることに喜びを覚えている。何度も災難にあったアフガン人民が平和で幸せな暮らしができ、互いに団結して、国をりっぱに建設するよう心から希望している」と述べた。

 ブッシュ大統領は中国政府のアフガン支援を称賛し、「米中両国の協力はアフガンが戦後、独立、自主、平和の国となるためのものである」と述べた。

 イラク問題について、江主席は「国際関係を処理する際、われわれはあくまで平等の態度で共に討議し、平和な方法で問題を解決している。イラク問題でもこの原則を順守すべきであり、中国は『和をもって貴しとなす』を主張する」と述べた。

 朝鮮半島問題について、江主席は「われわれは終始朝鮮半島の平和と安定の維持を希望している」と述べた。ブッシュ大統領は朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)との接触、対話を希望していると表明した。

 ミサイル防衛(MD)システム問題について、ブッシュ大統領は「米国が1972年の弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約から最近脱退した理由について江主席に説明した」と述べた。