新たな競争点はネット・バンク

 ――外資銀行はインターネットを通じて中国の金融市場に進出しようとしており、中国と外国の銀行の間で「ネットワーク上の競争」がひっそりと幕を切っと落とされた。

唐元かい

 香港東亜銀行が中国人民銀行の認可を得て中国大陸部でネット・バンク業務を経営する最初の外資銀行となったあと、間もなく、香港上海匯豊銀行有限公司も中国人民銀行の認可を得て、2002年末までに正式に中国大陸部で現地の住民と国際ユーザーにネット・バンクのサービスを提供すると発表した。そのほか、すでに北京と上海に支店を設けているチャータード・バンクは中国人民銀行に向って、「個人ネット・バンク」業務の展開を申請した。「恒生」などの外資銀行の高級指導者も異なる場で中国でのネット上の金融業務に濃厚な興味を示した。

 「ネット・バンク」は銀行のコンピューターを主体とし、銀行の設けた通信ネットワークあるいは公共のインターネットを伝送の媒体とし、機構がマイコンをインターネット加入の端末とする「三位一体」の新らいタイプの銀行である。統計によると、先進国の85%の銀行はすでにネット・バンク業務を展開したか、あるいは展開の準備を進めている。

 東亜銀行上海支店の計運氷副支店長は、中国にある外資銀行は経営網の面で中国資本の銀行に太刀打ちできないため、カウンターを必要としない「擬似」の経営網を発展させることは、中国で急速に業務を開拓することを渇望する外資銀行にとって、非常に重要かつさし迫っていることであると語った。

 中国建設銀行広東省分行電子銀行センターの何義勇総経理は「さまざまな現象は、ネット・バンクが中国と外国の銀行業の中国大陸部市場を争奪する新しい競争の焦点となることを予示している」と語った。

 中国がWTOに行った承諾をちくじ実現するに従って、外資銀行はネットワークを通じて、中国大陸部の企業と個人のユーザーにあらゆる金融業務を提供することができる、これは疑いもなく中国金融市場での競争力を大いに強めるものである。

 今日の激しい国際競争の環境の下で、支店の設立を通じて金融業務を展開することはもはや効果的な方法ではなくなった。外資銀行はネット・バンクを通じて中資銀行の経営網の面の強みをなくし、彼らの経営網の少ないという弱みをカバーするようにしている。中国銀行業の多くの人は、外資銀行がひとたびネット・バンク業務を展開すれば、中国資本の銀行の巨大な経営網の強みが大いに弱められることを憂慮している。しかし、国際金融界の権威ある雑誌『銀行家』は2002年度唯一の商業銀行サイトグランプリ――「世界の最良銀行サイト」賞を中国工商銀行サイトに授与した。これは発展途上国の、同時に中国商業銀行のサイトが初めて世界でこの特別の光栄に浴したのである。

 長期以来、西側の先進国はネット・バンク技術の面で絶対的な優位を占めていた。ここ数年『銀行家』の選ぶ「世界の最良銀行サイト」も香港上海銀行、シティ・バンクなどの多国籍銀行グループにもって行かれた。中国工商銀行がこの賞を獲得したことは、同行がすでに世界の先進的なネット・バンクに仲間入りし、世界の同業者と競争する実力を備えていることを意味している。

 中国のネット・バンクは19962月に始動した。現在、招商銀行、中国銀行、中国建設銀行、中国工商銀行など20余行の銀行の200余りの支店はURLアドレスとホームページがあり、そのうち、実質的なネット・バンク業務を展開している支店は50余軒に達し、企業と個人のユーザーは1000万戸を上回っている。

 招商銀行は率先して全国でネット・バンクのサービスを全面的に始動させ、すべての営業所はネット上の「企業銀行」を開通し、ルーセント・テクノロジー、エリクソンなど世界の有名な大手企業および聯想集団、中国聯通など中国の知名企業は早くから招商銀行のネット上の「企業銀行」のユーザーとなっている。

 1980年代に創立された招商銀行は中国の新興の中小型銀行である。中小型銀行にとって、資金不足、人的資源欠乏は相手と競争する中でぶつかる最大の障害である。調べによると、目下、招商銀行の従業員総数は1万人足らずで、数十万の従業員を擁するいくつかの大手国有銀行と比べてかなりの差がある。伝統的な発展パターンに基づいて、営業網の拡大は、資金と人数の増加を意味するが、これらはまさにその弱みのあるところである。ほかならぬネット・バンクの発展で招商銀行が強者と同一のスタートラインに立つことができたのである。

 中国銀行界の多くの人は、大部分の招商銀行のネット・バンクの面での発展が成功を収めたことを認め、「招商銀行パターン」と称する人さえいる。その最大の特徴は「1片通」(一枚のカードですべてのことができる)、「1網通」(一つのネットですべてのことができる)の知名度である。現在、95%の取引サイトは「1片通」で金を支払うことを支持し、「1片通」で完成した取引額は6000億元に達している。

 中国工商銀行は国有の大手銀行で、そのサイトは1998年に設立され、最初は主に簡単な情報を発表した。2000年から、「情報サービスを補佐とし、金融サービスを主とする」をサイト建設の宗旨として、情報の関連性でネット・バンクの取引サービスを推進するために努力し、自らのサイトを一流の総合的な金融サービスと理財の窓口に建設し、3カ月ごとに機能が一回改善されるという製品の開発速度を維持している。

 現在、中国工商銀行サイトはすでに強大な金融サービスの能力を持っており、ネット・バンクのシステムは日増しに整備し、サービスの内容が絶えず豊富になり、最も速いスピードで経営動態と財政・経済の最新ニュースを発表することを保証すると同時に、毎日またネットワーク・フラットフォームを通じて数万の企業と個人のユーザーに各種の金融取引サービスを提供している。現在、2万社近くの企業ユーザーと百万人近い個人ユーザーはこのサイトに登録し、口座間に合わせ、振替、送金、費用納入から証券、外国為替、基金に至る一連のネット・バンクのサービスを享受している。2002年のネット・バンク取引額は26500億元に達した。

 大手国有銀行の一つとしての中国建設銀行も立ち遅れに甘んじでいない。調べによると、現在同行のネットワークシステムは最新のバージョンアップを行って、機能が国内最先進のレベルに達することを望んでいる。

 ネット・バンクは現在、中資銀行が外資銀行の挑戦を受けて立つ大きな措置の一つとなりつつあり、このような新しいタイプの銀行業務を開発するのはその銀行業の国際競争力を展示する一種の方式となっている。

 ネット・バンクの発展は疑いなく銀行を市場競争を激化させる。というのは、ユーザーが前ほど固定しなくなり、銀行が百方手を尽くして相手からユーザーを奪い取ろうとしているからである。業界筋は、外資銀行が現代のネットワーク技術を利用して、中国金融業務への浸透を加速することは、今後1時期のホットスポットとなる可能性がある。これは中国と外国の銀行がネット上で近距離の競争を展開することを予示している。

 何義勇総経理ら中国銀行業の関係者によると、ネット・バンクは伝統的分野から延びていった外部システムで、中心の業務はやはり預金、会計、クレジットカード、公共積立金清算などのいくつかの内容を含んでおり、中資銀行とくに数行の大手国有銀行は特に多くのユーザーを擁しており、革新を行えば、いっそう大きく発展をとげる。何義勇総経理は、「東亜」などの外資銀行はすでに国内のネット・バンク市場に進出しているが、短期内に中国建設銀行の市場を動揺させることがないと語った。

 北京市銀行業協会のスポークスマンによると、ネット・バンクは業務、技術、サービスの競争をしているのであり、業務種種の制限を受けるため、外資銀行のネット上の業務はまだ中資銀行のよりには行かない。

 香港東亜銀行広州支店のスポークスマンは、大陸部のネット・バンク市場への進出を認められたが、中国全体から言って、初期の市場空間はまだ大きくはないが、長い目で見れば、市場は再分割されるだろうと語った。