中国で金融危機が爆発するか

 世界では、中国の商業銀行が多額の不良資産を抱えているという共通の認識がある。1999年以来、中国はこの問題の解決に力を入れているが、現在でも不良資産が依然として減っていない。適時かつ効果的にこの問題を解決しなければ、中国経済の発展に影響を及ぼし、金融危機をもたらす可能性があると見る人がいる。それでは、事実はどうであろうか。中国政府は終始銀行の不良資産問題をかなり重視している。中央銀行行長の戴相竜氏によると、中国の金融業は安定した安全な運行状態にあり、長年積み重ねた金融リスクがコントロールされるとともにちくじ解消されており、中国はできるだけ速く金融企業の不良貸付比率をわりに低いレベルに引き下げる能力と条件がある。

不良資産の処分を加速

 「中国商業銀行の不良資産が多いことは国際資本市場では周知の事実であり、まれに見るものでもある」。国際投資者は中国の商業銀行に対してこのような印象を持っている。

 中央銀行が公布したデータによると、2001年末現在、中国工商銀行、中国建設銀行、中国銀行、中国農業銀行など4行の国有独資商業銀行の貸付は7兆元、不良貸付は17600億元余りで、不良貸付は25.37%を占め、そのうち貸付総額の8%を占める。6000億元余りが実際的損失となる。

 中国の銀行業がこの種の不良貸付を統計する方式は期限超過、停滞、焦げ付きの三つの部分に基づいて計算するもので、国際通行の規則によるものではない。

 商業銀行に不良貸付が現われるのは経営の中でよく現れる現象であり、このため、各国の銀行業もそれぞれ「警戒ライン」があり、世界で普遍的に用いられているのはバーゼル協定に規定された安全基準であり、即ち資本金充足率が8%に達し、不良資産率が10%を下回ることである。

 中国の金融資産のうち、銀行業の資産は85%以上を占め、四大国有銀行の市場シェアは銀行業全体の73%を占めている。このため、2002年に、中央銀行は、2005年までに四大国有商業銀行が不良資産率を15%以下に抑えなければならないと規定した。

 20023月、中央銀行行長戴相竜氏は談話を発表し、今後数年に、国有独資銀行の不良資産率を毎年3ポイント減らすよう要求した。

 2002年上半期、中国銀行の不良資産率は年初と比べて2.28ポイント下がり、不良資産残高は100億元に減少した。200211月初め、中国銀行は現金を2614500万元回収したが、この額は回収任務の第一目標(200億元)131%、第二期目標(250億元)の105%に相当するものである。

 中国銀行資産保全部の董建岳総経理が明らかにしたところによると、中国銀行は2002年の不良資産率を4ポイント下げるのはいかなる問題もなく、また方式も不良資産売却に限らず、審査の上帳消し、再編などの方式も含まれる。

 中国建設銀行、モルガン士丹利、中金公司は20024月から協力して、中国建設銀行が上海、浙江、江蘇、寧波、蘇州にある不良債権、株主権、債務償還資産を含む不良資産30億ないし40億元を一度に売却した。

 中国最大の国有商業銀行である工商銀行の張衢副行長によると、工商銀行はすでに最も困難な時期を乗り切った。現在、工商銀行が毎年回収する不良貸付が新たに現れた不良貸付よりも多く、しかも半分近くが現金である。

 現在では、工商銀行は新規貸付の審査・認可・管理をコンピューターでコントロールしている。1999年以来提供した13500億元の貸付のうち、不良貸付率は2%しかなく、2000年以降の新規不良貸付率は1.2%に下がった。数種類の貸付の不良貸付率はすでに国際とリンクしている。例えば、個人消費信用貸付は0.73%であり、個人住宅ローンもわずか1.29%である。

 中国人民銀行の統計レポートが示しているように、20026月末現在、4行の国有独資商業銀行の不良貸付率は年初より2.65ポイント下がった。

 2002年から2005年までは、不良貸付率のわりに低い建設銀行にとって、不良貸付率を15%以下に抑えるのは問題がないが、これまで高い不良貸付率を公表していない中国農業銀行にとって、この目標を達成するのはかなり難しい。

14000億元の不良資産の処分を加速

 四大国有商業銀行の不良資産問題を解決するため、1999年、政府は相次いで華融、信達、東方、長城の4大金融資産管理公司を設立し、これらの公司は銀行から剥離された不良資産を買収、経営する処分権を授けた。この4公司はそれぞれ工商銀行、農業銀行、中国銀行、建設銀行の不良資産約14000億元を買収した。

 2002930日現在、4社の金融資産管理公司は不良資産2323億元(債務の株式への転換を含まない)を処分し、総量の16.6%を占め、資産を846億元回収し、資産回収率は36.42%に達した。そのうち回収した現金は525億元、現金回収率は22.60%である。まだ処分しない不良資産は11600億元ある。

 そこで、4社の資産管理公司は不良資産処分にいっそう力を入れ、主に入札募集と競売の方式を取った。長城資産管理公司は2002108日に債権総額が198億元に達する債権プロジェクト1345件を公開競売した。華融公司は20021015日に不動産を主とする不良資産を競売し、そのうちの180件が成約し、成約額は52000万元である。信達公司と建設銀行は20021028日から113日までに全国で一週間にわたって、2620件、総額80億元の不良資産の競売活動を共催した。東方資産管理公司は20021113日、公開入札の方式で広東省順徳地区の総額447000万元の債権90件を国内の投資家に売却して、中国の金融資産管理公司が国内で一度に処分する金額の最も大きな債権となった。

 外資を導入して不良資産の処分を加速するのは四大資産管理公司のもうひとつの方途である。20021015日、長城資産管理公司は81億元の不良資産を処分する国際入札を行い、東方資産管理公司はアメリカの不良資産諮問会社と債権不良資産60件、帳面金額18億元近くの不良債権譲渡取り決めを結んだ。