より多くの「金の卵」を「金の鶏」にかえす

 ――国際における成功の経験を参考にするとともに国情と結び付けて、中国の科学技術企業「インキュベーター」は急速に建設され、発展し、独特な価値と生命力を持っている。これは国内外の広範な関心を集めている

唐元かい

 中国科学技術部はシンガポール経済発展局とシンガポールで中国最初の海外ハイテク企業創業インキュベートセンターをつくることについての取り決めを結んだ。

 シンガポールは多国籍企業が密集しているという強みをもっている。目下、多国籍企業が3600余社あり、ベンチャー投資市場に100余社あり、ここ数年、シンガポール政府は各国との自由貿易協力を非常に重視し、開放した環境は中国が初期の中小企業を発展させるために良好な創業環境と多くのビジネスチャンスを提供した。

 中国科学技術部傘下のたいまつハイテク産業開発センター主任、科学技術型中小企業技術イノベーション基金管理センター主任の趙玉海氏は次のように説明した。

 シンガポールにあるインキュベートセンターは「専門インキュベーター」か「仮想インキュベーター」など当面国際で比較的流行している管理パターンを試しに選んでおり、国外のインキュベーターを管理し、企業に良質のサービスを提供し、約24000社のハイテク会社を資金面から援助して国際資本市場に進出させる。そのうちの80%は私営企業であり、雇用している従業員は総数300万人近くに達し、「これらの企業の中で、強みは主に情報科学技術と生物化学分野にあり、約1000社は海外で業務を拡張する潜在力がある」。

 伝えられるところによると、たいまつハイテク産業開発センターは近くロシア、アメリカなどの国でインキュベーターを建設するという。

 科学技術企業インキュベーターは小企業、科学技術成果の所有者のために創業と初期の成長段階に必要なサービスを提供する社会機構の一つであり、良好な創業環境と条件の提供を通じて、発明と成果を社会生産力に転化させ、中小科学技術企業を迅速に成長させてある規模に到達させ、社会のために成功する科学技術の実業家と専門人材を育成し、新しい経済成長要素を育てあげるようにしている。それはすでに世界各国が経済の持続的発展を推進する重要な手段となっており、ハイテク産業がサービスシステムを発展させ、それを支える重要な構成部分である。

 中国の科学技術企業インキュベーターは1980年代後期から、国際の成功した経験を参考にするとともに、中国の国情と結び付けて確立され、発展してきたものであり、始動したばかりの多くのリスクが大きいが成長性のよい科学技術型の中小企業に必要な市場化と国際化のサービスを提供し、それに市場競争力を持たせている。

 十数年来、特にここ5年来の発展を経て、中国はインキュベートの場所、情報ネットワーク、創業投資などのハードの環境を発展させただけでなく、プロジェクトインキュベート、企業インキュベート、スケールインキュベート、国際インキュベートを内容とするインキュベートシステムも構築した。現在、中国に各種の科学技術企業インキュベーターが400社以上あり、その中に創業サービスセンターが280社、留学者創業園が44社、大学科学技術園が48社、ソフト園が22社あり、形式はいろいろさまざまで、総量はすでに世界第3位を占めている。それらは広範な創業者のために場所、施設、諮問、育成訓練などのサービスを提供し、ベンチャー投資活動を展開し、技術、資本と産業との結合を効果的に推進している。調べによると、「インキュベートされた」企業の中に、上場企業になったものがたくさんある。一部の多国籍企業と海外ベンチャー投資機構も中国でインキュベーターを創立した。それと同時に、清華大学などはロシア、ウクライナなどの国と技術取り決めを結び、またアメリカ、日本などの国の先進的技術を導入し、国外の中小企業をインキュベートするとともに、中国の企業が世界に進出するのを助けることをも計画している。

 インキュベーターの強みの相互補充と協力発展を促進するため、関係ある活動組織ネットワークも気運に応じて生まれ、国際インキュベーターネットワーク組織の関連活動に積極的に参加している。1993年に中国ハイテク産業開発区協会はハイテク創業サービスセンター専門委員会を設置したが、これは中国最初の全国的な科学技術企業インキュベーターネットワークであり、目下すでに100社余りの正式会員を持っており、毎年研究と交流活動を催し、国外の同業者と連係を保っている。そのほか、北京、上海、湖北など科学技術資源に恵まれた省市はすでにいろいろなインキュベーターをアクセスするネットワークを確立している。多くの省市もそれぞれ相応なインキュベーターネットワークを確立している。

 今までのところ、中国ではすでに約50%のインキュベーターがインキュベート基金、担保公司などのさまざまな形でインキュベート企業に投資、利子割引、担保などさまざまな方式の投融資サービスを提供している。多くのインキュベーターは科学技術、管理、金融、財政・税務、貿易などの仲介機構を導入して、創業企業のために全面的なサービスワークステーションを建設している。

 科学技術企業インキュベーターの面における中国の発展と成果は、多くの国の関心を集め、世界の主な企業インキュベーター協会と科学パーク協会、多くの企業インキュベーターの代表は、相前後して中国に来て視察と研究を行った。国連開発計画(UNDP)、国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)、ユネスコとアジア太平洋経済協力機構(APEC)などの国際機構は、異なった方式で世界に中国のインキュベーターの経験を推し広めており、中国の専門家を発展途上国に派遣してインキュベーター建設を指導させている。

 中国政府はインキュベーターの建設を国家技術イノベーションシステムに組み入れるとともに、今後5年の発展計画を制定した。当面中国の経済構造は戦略的調整を行い、中小企業を大いに発展させ、特に科学技術型の企業はその主要な内容となっており、これは必ずいろいろなインキュベーターの全面的かつ高速の発展をいちだんと促進するであろう。

 現在、中国の科学技術企業インキュベーターの発展は総合的なインキュベーターから現代のさまざまな類型の専門インキュベーターに発展する転換期、政府が単独で投資して建設した社会公益性のインキュベーターから政府、大学、科学研究機構、企業、創業投資機構が独自でまたは協力して建設する社会公益性、非営利性あるいは営利性のインキュベーターが共存する多元化の発展期にさしかかっており、この期間に、単に科学技術の資源に頼ることから科学技術資源と産業資源の最適化と再編が結合する方式に変わり、インキュベート機構だけを建設することからインキュベーターを中核とし、ネットワークを手段とし、創業資本を導入し、関連仲介サービス機構と研究開発機構が共に参加する科学技術イノベーションインキュベートシステムに移行する。

 5年内に、中国科学技術部は引き続き政策指導、資金サポートなどいろいろな方式で、ハイテク企業インキュベーターの運行の質をいちだんと高め、科学技術創業企業に対するインキュベーターの集合機能を発揮し、インキュベート企業のイノベーション能力を全面的に高め、若干の代表性を持つ科学技術イノベーションシステムを形成する。またすべての一定の科学技術の実力を持つ大中都市に少なくともひとつのハイテク創業サービスセンターを代表とする総合的なインキュベーターを建設することに努め、特定の技術分野に照らし、特定の創業対象に向かってインキュベーター建設を推し進め、最終的には全国でいろいろな類型のインキュベーターを500以上建設し、インキュベートする総面積が800万平方メートル以上に達し、インキュベート企業が2万社以上に達し、それを完成した企業は累計8000社以上に達するように努める。