市場のホットな現象となる外資による買収

馮建華

 米ユー・ブリッジ・キャピタル社は最近、15億元を出して深?発展銀行の15%の株式を買い取り、同行の持株公司となった。

 外資による買収はいま市場のホットな現象となっている。米チャータード・バンクはいま上海浦東発展銀行と同行の株式を8ないし10%買い取ることについて交渉中であり、HSBCはすでに北京商業銀行の株式参加の基本的枠組みを確立し、香港恒生銀行は華夏銀行10%の株式を買い取る準備を進め、香港東亜銀行は民生銀行の株式参加を計画している。

 外資による買収は保険、自動車、公共事業などの分野でも行われている。HSBC6億ドルを出して中国平安保険公司の10%の株式を買い取って、最大の外資株主となった。米ゼネラル・モターズは3000万ドルを投じて上海自動車グループ傘下の五菱自動車株式有限公司の34%の株主権を買い取り、仏スエズ社は202600万元を出して上海浦東水道有限公司の50%の株主権を買い取った。

 統計によると、20021月から10月までに、中国の上場企業とかかわりのある外資による買収は495件もあり、買収金額は410億元に達した。

発展する一方の外資による買収

 米ボストン社の予測によると、中国の企業買収額はこれまでの5年に、毎年70%の率で増えて、アジア3番目の大・買収市場となった。トムソン財務会社の統計によると、中国は2002年第2・四半期にアジアの最も活発な市場となり、この期間に取引が155回も行われ、金額は119億ドルに達した。

 中国の昨年の外資実際利用額のうち、買収による投資は5ないし6%しか占めておらず、世界の多国籍投資の中の80%以上の買収比率と比べてまだかなり大きな差があった。これは外資による買収が中国の証券市場で始まったばかりで、まだ大きな発展の空間があることを示している。

 世界大手企業ベスト500社のうち400社がすでに中国に投資しているが、これらの企業は外資による買収の原動力となると専門家は見ている。

 中国人民大学の中国改革と発展研究院院長黄泰岩教授によると、これからの3ないし5年内に、外資による買収の規模と空間はピーク期に入り、少なくとも10年内に増加の趨勢を保っていくという。

 上海市外国投資促進センター主任の劉錦屏氏は、外商が上海に投資するパターンは過去の合資、合作、全額出資から直接企業を買収するという斬新な段階に入ったと語った。

外資による国有企業買収を奨励

 200210月から、中国は相継いで「外商に上場公司の国有株と法人株を譲渡する関係問題に関する通達」など外資に国有株主権を開放する一連の政策と規定を制定した。これは中国が外資による買収の政策、法規の面で大きな突破をとげたことを示している。

 国家経済貿易委員会主任李栄融氏は、国有株の対外開放を拡大するのはより速く、より大幅に外資を利用して国有企業を再編し、国有企業の改革を深化させるためであると説明した。中国対外貿易経済合作部部長石広生はあるフォーラムで、外資による買収をさらに奨励、促進するため、関係部門はいま外資による買収の実用的規定の改善、制定を急いでいることを明らかにした。

 中国共産党第16回全国代表大会で、中国政府は外資利用を国有企業再編と結びつけることを明らかにした。

 ある専門家は、外資が適当な形式で国有企業の一部株主権を買収することを認めたのは中国証券市場の発展の道での重要な転換であると称している。黄泰岩教授は、外資による買収は国有企業の資金と先進的な技術、管理経験の導入に有利であるだけでなく、それより重要なのは国有資産の持ち株減少を加速し、国有株が「大きなシェアを占める」公司の管理構造を真に改めることができることだと見ている。

外資による買収の重点と難点

 黄泰岩教授によると、短期内において、外資による買収は主に業種内の強者同士提携の方式を採用し、買収の重点は資金、技術が相対的に充足な大型企業、特に独占の性質をもつ国有大型企業である。というのは、外資がこれらの企業を買収すれば高額の独占利潤を獲得できるだけではなく、これらの企業がもっている膨大な販売ネットワークと人材の強みに頼って本土化戦略の推進を加速し、より大きな程度において全国の市場を占領することができるからである。

 「発展の見通しと市場競争力をもつ中小企業はほぼ5年後に外資による買収の次の重点となる可能性がある」と黄泰岩教授は語った。

 買収の分野から見れば、外資の重点は第一次産業と第三次産業および第二次産業のバイオテクノロジー、新素材など科学技術をわりに多く使い、国の産業政策が支持する業種に集中する。

 東方高聖投資顧問公司董事劉暁丹氏によると、現段階では、外資による買収はまだいくつかの難点がある。例えば買収の法規に確定されているのはほとんど基本的原則であって、具体的な実行細則はなおも実践の中でちくじ充実させる必要があり、政府の政策、法規と地方の政策、法規がなおも協調を行う問題が存在し、買収後の文化、メカニズム、人員、管理などの面の整合が最も難しいことである。

 黄泰岩教授によると、外資による買収は悪意的買収をもたらし、業種独占を激化させるなど一連の問題を生じさせる可能性があり、中国政府は関係法律・法規をできるだけ速く完備させ、外資による買収をより深く、より規範的に中国経済の改革と発展を促すようにさせなければならない。