北京オリンピック保険市場の競争は幕を切って落とされた

唐元かい

 北京オリンピック大会まであと6年前後の時間があるが、この盛会の2800億元の投資計画によって形成された巨大な保険市場を見ておりながら気が付かない保険公司はおそらく一社もないだろう。

 国際慣習によれば、オリンピックの保険はたいてい主催国の実力の最も強い保険公司が引き受けているが、国外の保険会社も公平に競争に参与することができる。

 現在中国に保険公司が30余社ある。中国人民保険公司業務開発センター常務副主任の王和氏によると、200111月、同公司は「オリンピック保険作業指導グループ」を設立し、ずっと北京オリンピック委員会と密接な関係を維持し、リスク管理と関係ある問題について諮問意見を提供し、しかも多くのプロジェクトの実際保険運営に介入している。

 中国人民保険公司はまた「オリンピック保険国際シンポジウム」を開き、国内外の専門家を招いてオリンピック競技のリスクと保険問題について突っ込んで探究と交流を行った。今回の交流は、中国保険業が市場の主導権を入手し、競争と協力を行うためにとった積極的な措置である。

 オリンピック大会用のスタジアムと体育館の建設に従って、保険面の競争がすでに始まった。北京オリンピック大会の総体的計画によれば、第一段階は準備段階で、この段階にはオリンピック大会用のスタジアムと体育館、インフラと環境保全の建設が含まれている。そのうち、37カ所の新築あるいは改築のスタジアムと体育館への投資額は約200億元である。そのほか、地下鉄の45号線路、都市鉄道(軽便鉄道)、通信、環境保全工事など広義の補助施設への投資は2400億元に達する見込みである。この段階には、オリンピック大会のために建設する重要なインフラ・プロジェクトはすべて建築組立工事の保険をかけなければならず、工事竣工後、建築物は財産保険をかけなければならない。これらの大きな工事は保険公司の最も重要な競争の目標となっている。

 今年4月、華泰保険公司北京分公司と北京市都市鉄道株式有限公司は、北京市高速軌道都市鉄道工事――西直門から東直門までの区間のインストール工事および第3者責任の保険を全面的に引き受ける取り決めを結び、保険額は27億元に達する北京オリンピックの「最初の保険」を手に入れた。つづいて、「オリンピック大会1号工事」とたたえられる首都博物館の新館建設の保険は中国平安保険公司が引き受け、保険額はインストールプロジェクト保険5億元と第3者責任保険1億元である。

 北京オリンピック大会を準備するここ数年は、中国の保険市場が全面的に開放する時期でもある。WTO加盟時に承諾をした結果、世界的に有名な保険会社、保険ブローカー会社、再保険会社が続々と中国に殺到し、これらの会社を迎える最初の保険は北京オリンピック大会である。

 オリンピックの慣例によれば、保険会社も保険をかけなければならない。現在、世界の再保険業の2大巨頭――「ミュンヘン再保険会社」と「スイス再保険会社」は、すでに中国保険監督管理委員会の参入許可証を手に入れた。それと同時に、多くの保険会社は申請中である。オリンピック保険は世界の再保険巨頭を引き付けており、これが中国の再保険企業にチャンスするのは疑いないことである。

 ここ数年、中国で興起したばかりの保険ブローカー公司も外国の競争相手の力強い競争に直面している。これまでのオリンピック大会の経験によると、一般には二つの組織がオリンピック組織委員会にリスク管理のサービスを提供する、一つはオリンピックリスク専門家制御・管理委員会であり、もう一つはオリンピック組織者に具体的な保険案について提案、諮問、設計を提供する保険ブローカー公司である。この面では、世界の数社の赫々たる会社がいずれも極めて大きな興味を示している。

 北京にある達信保険・リスク管理諮問有限会社は米「MARSH」社が全額出資した子会社である。調べによると、これまでのオリンピック大会では、何回かの保険が「MARSH」以外の保険会社が取り扱ったほか、残りのすべては「MARSH」が参与した。そのため、「MARSH」は北京オリンピック大会に対する自ら見通しを特に楽観視している。

 北京オリンピック大会保険ブローカー市場をめぐる国内外の会社による争奪戦は専門家から「ネズミと象の争い」と見られているが、今回の競争で効果的なシェアを獲得することに対し、北京江泰保険ブローカー公司は大きな自信をもっている。国内の保険ブローカー公司のうち、同公司は中国初の本土保険ブローカー企業で、最初に利潤をあげた保険ブローカー企業でもあり、2002年の保険料の20余億元に達すると予想されている。現在、同公司はすでに中国気象局の2003年衛星打ち上げの保険顧問として、北京オリンピック大会の衛星気象サービスの保険を引き受けている。

 世界の規模最大のスポーツ競技として、オリンピック大会は巨大なビジネスチャンスをもたらすと同時に、多くのリスクが潜在している。金融市場を開放したばかりの中国は、2008年オリンピック大会保険加入について、まだ多くのことをしなければならない。

 中国保険監督管理委員会副主席の李克穆氏によると、中国はここ数年、重要な国際競技を開催する中で商業保険の経験をある程度積んでいるが、北京がオリンピック大会を開催するのは初めてであり、中国保険業がオリンピック大会のようなリスクのいっそう複雑な保険に正面から接触するのも初めてであり、中国の保険機構はこの巨大な保険プロジェクトを真剣に検討し、オリンピック大会保険に対する理解と国際の成功した経験の吸収を強化し、国際慣習とのリンクを速め、中国保険業全体のレベルの向上を促し、2008年オリンピック大会を史上最もすばらしいオリンピック大会にするために力強い関連サービスを提供する必要がある。

 現在、中国保険業の保険料収入総額は1600億元近くに達している。中国平安保険株式有限公司董事長馬明哲氏の市場予測によれば、今後5年内に、中国保険業の増加速度が毎年20ないし30%に達することができ、この趨勢は15年ないし20年続けているという。中国の保険公司がオリンピック大会保険市場競争に参与するのは、保険公司がオリンピック大会保険業務を開拓、拡大する過程であるだけではなく、中国保険業が絶えず保険サービスの質を高める過程でもある。