尽きない奇怪な論調

 近年来、中国経済に対する西側の非難は諸説まちまちで、途切れることなく続けていると言える。中国がしばしば非難されるのはなぜだろうか。これに対し、反省すべきなのは中国なのかそれとも西側なのか。

 中国は発展途上の大国であり、1人当たりの資源保有量は世界の下位にランクされ、発展の起点はとても低い。このような地域が広く、人口が多い国で改革・開放を行う時、あれこれの問題が現れるのは免れがたいことである。中国はこれらの問題の存在を否定せず、しかも積極的な措置をとって解決しており、同時にいかなる善意の批判と適切な提案も歓迎するが、ごく少数の者が下心を抱いて問題の重大さを誇張することは受け入れることができない。

「中国威脅論」について

 ある人は中国経済の高速成長を見て「中国威脅論」をわめき立て、中国が拡張主義の国になると考え、まるで中国がいったん強大になると、世界に大混乱が起こるかのようである。これはまったく根拠のないものである。銭其琛国務院副総理は、西側の一部の帝国主義国が181920世紀にやったことを今日の中国と比較し、中国が強大になれば、どうしても拡張し、隣国を脅かすと考える言い方はまったく成り立たないものであると語った。

 歴史上、経済が高速に成長して対外拡張を行った国も確かにあったが、すべての大国が経済高速成長期間に対外拡張をする国になるとは言えない。経済の高速成長が自動的に拡張を招くようなことはない。まず、対外拡張はすべて経済の高速成長によって引き起こされたものではなく、歴史上、経済成長と工業化のプロセスが高速とは言えず、生産力もわりに立ち遅れた国は逆に拡張の野心を抱いていた。また経済危機に見舞われている国が逆に帝国主義の拡張の道を歩む可能性が大きい。次に、経済の高速成長は必ずしも拡張をするとは限らない。これを見ても分かるように、経済の高速成長と対外拡張を簡単な因果関係で結び付けるならば、偏ったかまたは極端な見方となる可能性がある。

 改革・開放後、中国が周辺諸国や地域の経済を推進したことおよびアジア金融危機後の中国政府の責任を負うやり方は危機に見舞われた国の経済回復に役立った。この例は、中国経済の高速成長が、周辺諸国の発展を妨げるのではなくて、これらの国に新しいチャンスを持たらしたことを説明している。銭其琛副総理は「中国経済の繁栄は周辺諸国の生活を苦しくするのではなく、それを豊かにしたのであり、これらの国に有利である」と述べた。

 対外貿易経済合作部の竜永図副部長は、市場を開放すればするほど、経済が発展すればするほど、世界経済の発展にいっそう保障を提供すると強調し、「事実上、周知のように、市場を開放した国は、その経済がどのように発展していくかにかかわらず、その発展がどれだけ速いかにかかわらず、世界平和と経済の発展に脅威をもたらすことはない。というのはその市場が開放されたものであり、その経済が発展すればするほど、市場が開放すればするほど、世界平和と経済発展に保障を与えるからである」と述べた。 

「中国崩壊論」と「中国の統計データの水増し論」について

 西側諸国のごく少数の文人墨客は中国経済の繁栄に疑問を提出した。西側の一部の主だったメディアもそれについてわめきたて、中国の統計データは水増しされ、国内総生産(GDP)の伸び率が水増しして高く、中国の繁栄は「見かけの繁栄」であり、中国の投資環境は想像するほどすばらしいものではない、特に中国のWTO加盟後、「パンドラの箱」を開けたように、きっと体制の崩壊を招くだろう……などと言っている。

 米ピッツバーグ大学経済学教授のトーマス・ロースキ氏は2000年に「中国のGDP統計に何が起こったか」を発表した。同氏は中国の各省市の経済統計データを研究し、これらのデータが中国国家統計局の発表したデータと一致しないところがあることを発見し、そのため、中国の統計データに疑問を提出した。西側の主だったメディアはまたも続々とロースキ氏の観点をはやし立て、「中国威脅論」が一部の人が予期していた効果があげなかったあと、突然、「中国の経済成長は偽りのものだ」、「中国の経済はまもなく崩壊する」というロースキ氏の観点がその期待に合致していることを発見した。

 米季刊誌「チャイナエコノミック」の編集主幹スタッドウェル氏はその出版した『中国の夢』の中で、中国の経済を「砂浜の上に建てられたビル」にたとえている。氏は中国に大規模な政治危機と経済危機が現れると予言し、また軽々しく何億ドルもの投資を中国という底なしの穴に投げ込まないように投資家を警告した。

 フランスの大手証券会社のリヨン証券は、中国の債務残高は実際にはGDP1.4倍で、中国政府が公布したデータの6倍であり、この趨勢が抑えられなければ、最後には中国で金融危機を引き起こす可能性があるというレポートを発表した。同社はまた、ペーパーをむだにして中国が世界の経済成長の最も速い国であることを示すデータを書き並べる値打ちがない。というのは中国の各クラス政府がすべて経済データを水増しして報告し、政府の統計データを実際とかけ離れさせているからであると公言さえした。   

 これに対し、中国国家統計局の邱暁華局長は、ロースキ氏は学術上厳密でないため、誤った結論を引き出したが、下心を抱いて氏の文章を利用したため、学術問題の範囲から離れた人さえいると語った。

 国家統計局計算司の許憲春司長は、いかなる国にとっても、GDPデータが百パーセント正しいことを保証するのは不可能であるが、中国の現在のGDPデータは国民経済発展の客観的状況をほぼ反映していると語った。

 客観的に分析を行う人はやはり中国の経済統計データを比較的正確に評価することができる。世界銀行は1980年代にレポートを作成した際、中国政府の統計データを直接採用したことがある。90年代の初めに、同行も中国政府の統計データに疑問を抱き、中国のGDPを調整をしたことがあるが、それは当時、中国の統計データがまだ完全に国際慣用の方法を用いていなかったからである。90年代末になると、中国の統計システムのたえまない充実に伴って、世界銀行はこれ以上中国政府のデータを調整しなくなり、その出版物に用いるデータも中国政府の統計データを直接採用した。具体的なデータは問題をより説明することができるかも知れない。

 中国の統計データに対する見方について、経済学者の樊綱氏は次のような例を挙げた。世界銀行は1998年に中国の統計システムに対し調査研究を行い、中国の公布したGDPの伸び率の偏差はわずかプラスマイナス1%前後であるという結論を引き出した。しかし、この結論はこれまで西側のメディアに報道されたことがない。

 樊綱氏は、統計の偏差は発展途上国にあまねく存在している問題であり、その経済実状に対する影響は、総合的に見なければならないとしている。中国の統計データの正確さへの心配は主に地方の統計データの水増し問題から来ている。しかし、すべての地方がそれを高く報告したいわけではなく、逆に低く報告しようとするところもたくさんあり、一部の発達地区と私営企業がとくにそうであるということを知っておく必要がある。樊綱氏は次のように語った。中国には水増しして報告できないデータがたくさんある。例えば、輸出入、外資の実際導入額、外貨収支、住民の預金などがそれである。中国住民の預金が毎年10%以上増えているが、そのカネはどこから来たのか。これは収入の増加が低く報告された可能性が大きい。中国のGDPデータを信じなければ、これらの正真正銘のデータを調べてみたらいい。そうすれば、中国の経済成長が本当かどうかを判断することができるだろう。

「中国製の危険論」について

 米『ビジネス・ウィーク』にエール大学管理カレッジのジェフリー・E・ガーテン学長の「すべてが中国でつくられる」と題する文章が掲載された。その中でガーテン学長はこう書いている。中国は外資を最も多く受け入れた発展途上国であり、1990年代末毎年獲得した外資は約400億ドルに達した。中国のWTO加盟はこの数字がさらに大きくなることを意味する。「中国は制造業の超大国になりつつあり、この発展は阻み得ないものようである」。世界経済が中国を工業生産の生命線と見なすならば、戦争、テロリズム、社会の激励ひいては自然災害によってもたらされる供給の中断は、いずれも世界経済にとって耐えがたいものであるとガーテン学長は見ている。

 中国は発展途上国である。1999年の世界制造業の生産額は9兆余ドルであり、中国の貢献は約5000億ドル(建築業を含む)であり、5%とちょっどしか占めていないが、アメリカ、日本の比率はそれぞれ20%15%を上回っている。中国の工業製品は生産量が大きいが、品種が少なく、グレードが低い。たとえば、中国の粗鋼生産量はとっくに世界第一位にランクされたが、主な製品はグレードの低い建材であり、IT業および自動車用の高級板材は依然として大量に輸入する必要がある。2000年、中国の鋼鉄輸入量は97億ドルに達したが、輸出量は40億ドルしかなかった。さらに詳しく見ると、2001年に世界ベスト500の企業に仲間入りした中国企業は11社あるが、その中に本当の制造業の企業は一社もない。中国の貿易企業ベスト200社のうち輸出額が加工貿易方式で実現されたものが74%を占め、多くの大手輸出企業は「世界工場」の加工職場の一つにすぎない。これを見ても分かるように、中国は「制造業の超大国」とまだかなり大きな距離があり、決して一挙して実現できるものではない。