政策の解禁が民営教育の発展を促進

唐元かい

 営利、リターン、公平は、いずれも中国の民営教育界の最も敏感な話題であるが、今年に施行される「民営教育促進法」は政策と法律の面で重大な突破をとげ、中国の教育の未来に積極的な影響を及ぼすのは、疑う余地のないことである。

 1949年の中華人民共和国成立時から1978年の改革・開放実行前までの間に、学校教育の権力はずっと政府に握られ、社会の力による学校運営が禁じられていた。1997年7月に国務院が公布した「社会の力による学校運営条例」の中に依然として「政府は社会の力による高等教育機構の運営を厳しく制限する」というような民営学校の成長に不利な字句があった。教育面の政策、法規も、ずっと民営教育機構の性質を統一的に「非営利組織」、「国の義務教育実施の補充とする」と規定していた。1995年3月に開かれた第8期全国人民代表大会常務委員会第3回会議で採択された「中華人民共和国教育法」の第25条は「いかなる組織と個人も営利の目的で学校およびその他の教育機構を運営してはならない」と規定し、「社会の力による学校運営条例」第6条も、社会の力による教育機構運営は「営利を目的としてはならない」と規定し、第37条は教育機構の蓄積は教育投入の増加と学校運営条件の改善に用いることしかできず、それを分配や校外への投資に用いてはならないと規定している。

 1980年代の中期になってから、民営教育がようやく回復し始めた。その時から、社会の力が運営する教育機構は高等教育から中学高校、幼稚園に向かって広げられ、民営教育は日増しに盛んになってきたが、ずっとあいまいな政策と法規の環境の中で発展している。

 一方では、「営利を目的としてはならない」という規定が前に横たわり、他方では、多くの民営学校の営利的色彩が公認の事実となっている。投資して学校を運営している人の多くは政策のあいまいさを利用し、各種の方式で学校経営権を手に入れ、学校の財産権に対する支配を実現し、各種の方式でリターンを獲得している。

 政府はしばしば奨励の形式で教育に投資した人にリターンを与え、学校運営者に金銭と栄誉の両方を得させているが、20年余りにわたる民営教育発展の過程において、「公明正大」に合理的なリターンを獲得できないことは、ずっと民営教育投資者と学校運営者の悩みであった。彼らはもちろん学校運営コスト、発展基金およびその他の必須経費を差し引いた後、学校運営の余剰金の中から合理的なリターンを獲得できることを望んだ。2002年12月28日、この願いはついに法律によって確認された。4回にわたって審議された「中華人民共和国民営教育促進法」が第9期全国人民代表大会常務委員会第31回会議で採択され、今年9月1日に施行される。

 1997年に実施された「社会の力による学校運営条例」と比べて、「民営教育促進法」は非政府出資による教育運営の多くの面で大きな突破をとげ、民営教育の所有権を明らかにしているが、その基本的な考えの筋道は「所有権は投資した人に属する」というものである。「営利を目的としてはならない」という規定がなくなり、出資者が学校運営の余剰金の中から合理的なリターンを獲得するのを認めるほか、民営学校は政府が規定した納税面の優遇政策を享受できるようになっている。これは中国の民営教育の発展を制約したボトルネック―営利の問題が政策と法律の面で重大な突破をとげることを示している。

 教育産業の専門家、アジア資本協会理事兼中国地区代表の畢経坤氏によると、外資導入が速くなるにつれて、中国企業も教育への投資にいっそう力を入れることになろう。

 北京科学技術研修学院の周孟奎副院長によると、運営する人が適当なリターンを獲得できることを明確にすれば、中国教育の市場化を促すのは疑いのないことである。資金は民営学校を困らせる最大の難題であり、中国の民営教育界の競争はハードウェアの整備、学生の就職、授業などの面に現われているが、とどのつまり資金の競争である。

 また、教育はインターネットに継ぐ二番目の投資のホットスポットになると判断する専門家もいる。北京市の周辺に億元を投じて創立した新貴学校はいま拡張している。匯佳学校は基礎教育から高等教育に進出し始め、7億元を投じて匯佳大学タウンの建設工事を始めた。

 民間資本のほか、外国の一部金満家もとっくに教育分野に進出している。世界最大の英語学校のひとつであるEF英語学校は中国の各省都に連鎖学校を設立し、ウォール街英語トレーニングカレッジは一千万ドルを投じて北京、上海などに学校を設立した。

 ウォール街カレッジの創始者、北京康培学院理事長の李文昊氏は、今後の10年内に、われわれはトレーニングする地点をたえず増やし、中国各地にウォール街英語トレーニングセンターを設立したいと述べた。

 周孟奎副院長によると、「民営教育促進法」が公布された後、1億ドルにのぼる外資が北京の教育市場を狙っているという。

公平な待遇を希望

 中国の民営教育は20年近くの発展を経てきたが、現在、全国に教育行政部門の審査・認可を経た民営学校が4万5000校あり、全国の普通学校の5.2%を占め、在校生は500余万人で、全国の普通学校在校生の2.35%を占めているにもかかわらず、全体から見て依然として少数しか占めていない。その原因はいろいろあるが、その中の最も重要な一つは不公平な待遇を受けていることである。

 民営教育の地位の問題は今回民営教育についての法律を制定する時重点的に解決する問題の一つである。

 全国人民代表大会常務委員会教育・科学・文化・衛生委員会の汪家鏐副主任委員が述べたように、民営教育は中国の教育事業の重要な構成部分となっているが、比率が依然として1%にも満たない。「民営教育促進法」を制定する宗旨は、中国の社会主義教育事業における民営教育の地位と作用を確立し、積極的に奨励し、大いに支持し、正しく導き、法によって管理する方針を体現し、民営学校の学校運営と政府の管理を規範化させ、運営者、民営学校とその教師・生徒の合法的権益を守り、民営教育の健全かつ秩序だった発展を促進することである。

 「民営教育促進法」は、民営教育は公益的事業に属し、民営学校とその教師は公立学校とその教師と同等の法的地位があることを確認し、民営学校が存続する期間、その資産はすべて民営学校が法によって管理、使用し、いかなる組織と個人も侵犯、占有してはならず、同時に、いかなる組織と個人も法律、法規に背いて民営教育機構からいかなる費用をも徴収してはならないと規定している。「民営教育促進法」は民営学校の教職員が業務訓練、職務任用、教育従事年数と勤続年数の計算、表彰奨励、社会活動などの面で法によって公営学校の教職員と同等の権利を有するなどの面で詳しい規定を行っている。民営学校は納税の面で公営学校と同等の優遇政策を享受するほか、貸付け、土地収用などの面でも一定の優遇政策を享有する。

 同時に、「民営教育促進法」は「民営学校で教育を受ける者は進学、就職、優遇および先進選出などの面で同級、同類の公営学校で教育を受ける者と同等の権利を有する」と定めている。これは法律面から民営学校の生徒が公営学校の生徒と同等の権利を有することを規定している。

 全国人民代表大会常務委員会教育・科学・文化・衛生委員会委員、教育部総督学顧問の柳斌氏によると、「民営教育促進法」は民営学校の「内国民待遇」の問題を解決した。「民営教育の地位と関係者の合法的権益を守ってのみはじめて、民営教育の発展を促進することができるのである。