ますます多くの人が話す言語となる中国語

中国語はますます多くの外国人が学びたい外国語の一つとなっており、各国政府も日ましに中国語教育を重視している。

                       任暁風

 10年前、外国人が発音のあまりよくない中国語を話せたら、中国人は珍しいと思ったが、いまでは、北京、上海などの大都会に住む人たちは、市場で外国人が商人たちと中国語で駆け引きするのを聞いても、少しも珍しく思わなくなった。

 コニーチェンさんは1年余り前に2人の子供を米ニュージャーシー州の中国伝統学校に入れて学ばせている。毎日2時間半の授業で、子供たちは中国語を習い、中国の舞踊、絵画、詩歌、武術など中国文化の常識を勉強している。コニーチェンさんは中国系のアメリカ人で、彼女は「私は子供たちが祖先の文化を愛することを望んでいる。子供たちが私たちの伝統および自分の身分を知るのはとても重要である」と語った。このような学校はニュージャーシー州に20校近くあり、アメリカ全国ではその数はさらに多くなる。

広告業に従事しているアメリカの金髪の女性の劉欣雅(中国名)さんは昨年10月にニューヨークで行われた「中国語試験」に参加した。彼女は数年前香港を訪問した時、中国語に興味を持ち始めたもので、多彩な中国文化は彼女を魅了した。その後彼女は北京言語大学で中国語を数カ月学び、その後は断続的に4年間独学した。そのほか、彼女は中国語の学習に対し独特な見解をもっており、中国語が象形の絵文字であり、英語のアルファベットとまったく異なり、使う時に大脳の興奮する部位も異なり、大脳の異なる部位を鍛えることができると見ている。

 ドイツ人のワーナー・ゲルプケさんは上海に来て2週間働いた後、中国語をマスターする決意を固めた。彼に中国語を学ばせる原因は順調に車に乗れないことにある。「タクシーの運転手と言葉が通じないため、一時間半も遅れてやっと目的地に着いた」。その後、彼は外国人向けの中国語交流クラブに参加したが、いまは簡単な中国語で地元の人たちと話すことができるようになった。

 韓国の女性全珠美(24歳)さんは5年前中国黒竜江省のハルビン工科大学に入って中国語と国際貿易を学んだ。その間、彼女は中国人のボーイフレンドができた。そのため、彼女の中国語を学ぶ原動力と効率が大幅にアップした。大学卒業後、彼女は中国社会科学院の法律専攻の修士コース大学院生に合格した。全珠美さんは今後中国に残って働くつもりでいる。現在、彼女の妹も中国に来て中国語を学んでおり、中国の大学に入るつもりである。

 「中国語学習は世界でブームとなりつつある」と国家対外中国語教育指導グループ弁公室主任の厳美華さんは語った。

 ここ数年来、中国大陸と世界各地で、中国語を学ぶ熱意を感じることができる。ことに2002年には、中国語はますます多くの人が学ぶ言語になった。多くの関係者は、これはWTOへの正式加盟、APEC(アジア太平洋経済協力機構)会議主催、オリンピック開催権の取得、世界博覧会開催権の取得などに従って、中国と国際社会とのつながりがますます密接になり、国際実務における中国の位置がますます重要になっているからであると分析している。

 統計によると、85カ国の2100余校の大学および中国の周辺諸国の小中学校、民間機構は中国語の授業をしており、学ぶ人は約3000万人に達している。統計データによると、全国の対外中国語教育図書はすでに18種の文字を使用する国の中国語学習者が認めるものになり、2001年の販売総量は20万冊に達し、発売収入は500万元(約60万ドル)を上回った。

 中国大陸部では、300余校の大学は対外中国語学院あるいは対外中国語教育センターを設立し、教師は全部で5000人いる。1992年から2001年までの10年間に、中国に来た外国人留学生は累計41万人に達した。2002年は留学生を前年比約一割増の6万余人受け入れた。外国人留学生の専攻する学科は中国語、漢方医学などの伝統的学科から科学技術、経済、管理、法律などの応用学科にまで広げられ、「中国語+専門」のパターンが形成された。

 以前、中国語を学ぶ人数が比較的に多く、自国政府に重視されているのは日本、韓国およびマレーシア、タイ、ベトナムなどの東南アジア諸国であったが、いまでは北米、ヨーロッパなどの国もますます中国語教育を重視している。

 『科技日報』の報道によると、現在、アメリカでは大学総数の20%を占める700余校の大学が中国語課を開設し、そのうちの100余校に中国語学部が設けてある。200余校の小中学校が中国語課を開設し、ほかにウィークエンドに学ぶ中国語学校が800余校ある。アメリカにいろいろな方式で中国語を学ぶ小中学校の生徒は10数万人いる。現在、中国語の学習人数はアメリカのすべての外国語学習人数の中でいちばん速く増えている。

 2002年7月31日出版の『タイムズ』紙は、政府はイギリスの小学校が中国語課を開設するよう要求するとともに、100余校の小学校に資金を提供したと報じた。イギリス政府がこのようにした原因は、イギリス政府が、中国の経済が毎年7%前後のスピードで成長するに従って、中国の経済的地位が将来大幅に向上することを意識したことにある。報道によると、2001年、イギリスで中国の標準語を学ぶ中学生が5600余人いたが、これら生徒のほとんどは中国系の移住者の家庭の人たちである。イギリス政府は現在、より多くのイギリス人の生徒が中国語を学ぶのを奨励することを通じて、この数字を今後の3年内に2倍にすることを望んでいる。イギリス政府はまた今後の5年内に、中国標準語の授業を行うとともに試験もする中学校を現在の40校から200余校以上に増やす。そのため、イギリスの中国駐在外交官は中国で適当な中国の先生を物色しており、彼らがイギリスに行って中国語を教えることを望んでいる。

 国外の絶えず大きくなる中国語学習の必要を満たすため、国家対外中国語教育指導グループはいろいろな措置をとって、各国の中国語を教える人を奨励、支持している。同指導グループからの消息によると、数年内に彼らは英語、フランス語、ドイツ語、ロシア語、韓国語、日本語、インドネシア語、スペイン語、アラビア語など世界の主だった言語を話す国が使用するのに適する優良な中国語教材を編纂し、条件を備えた若干の国に中国語センターを設けて、中国語学習者にいろいろな資源援助を提供し、言語教育テストの最新研究成果を利用して、中国語試験の種類を豊かにし、充実させ、同時に、近代的な遠隔教育の国際協力を展開して、中国語教育の遠隔化、現代化を実現するという。

 国家対外中国語教育指導グループは昨年、5年以内に国内で何回かに分けて国家対外中国語教育基地を10カ所設立し、基地の中堅、模範の役割を通じて、全国の対外中国語教育事業の発展を推進し、一部の大学を対外中国語教育の面で世界的に有名な大学につくり上げることを決定した。評定と審査を経て、昨年末に北京言語大学、復旦大学、北京師範大学、北京大学の4大が第1陣の国家対外中国語教育基地となった。

 国家対外中国語教育指導グループは昨年、第1回「中国語の橋」世界大学生中国語コンクールを開催し、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、ロシア、日本、韓国、シンガポール、オーストラリア、エジプトなど21カ国の中国語学習者が出場し、優勝者は「中国語言語使者」、中国留学奨学金などの奨励を獲得した。国家対外中国語教育指導グループの責任者は、この活動は全世界の中国語学習者の「中国語オリンピック」に発展するだろうと語った。

 昨年10月21日、中米両国政府の教育主管部門は『中華人民共和国教育部とアメリカ合衆国教育省のネットワーク言語教育協力プロジェクト展開了解覚書』に調印した。これは中米が外交関係樹立以来、双方の教育主管部門が展開する最も実質性をもつ協力プロジェクトの1つである。同協力プロジェクトは中米の専門家の協力を通じて、ネットワーク、マルチメディア、シミュレーションなどの先進技術を応用して、国際一流のネット上の英語と中国語の学習と教育システムを開発し、アメリカの中学生が中国語を学び、中国の学生が英語を学ぶのに良好な学習資源を提供する。

 2002年6月、中国とカナダは初めて協力して編纂した『新実用中国語教科書』第1冊が出版、発売され、それと同時に、国の対外中国語教育指導グループ弁公室はカナダの中国語教育界の人士と共同で全カナダ中国語教育協会を設立した。9月の新しい学年に、カナダの上位3位のトロント大学、ブリテンコロンビア大学、マッキル大学は同教材を採用し始めた。フランス語地区のモントリオール大学、ケベック大学は同教材のフランス語版を採用している。カナダの中国語教育界は教材の出版と発行を非常に歓迎し、これが北米地域の新しいタイプの中国語教育普及の手本であると見ている。同教材の第1冊が発行されてから間もなく、イギリス、スペインなどの国の関係機構も国家対外中国語教育指導グループ弁公室と協力して、各国の実情に照らして中国語教材を編纂し始めた。