より多くのルートで大卒生に就職機会を

  蘭辛珍

中国教育部のデータが示しているように、今年、全国の一般の大学の卒業生数は212万2000人に達し、昨年より46.2%増えたが、求人側の人材に対するニーズは目に見えて増えてはいない。大卒生の就職が難しくなったのは卒業生と教師たちの認めるところである。

今年4〜6月は大学生が就職先を選ぶ大切な時期であったが、SARS(新型肺炎)の影響から、4月中旬以来、北京市のさまざまな招聘活動はほとんど取りやめとなった。もともと外国へ留学するつもりであった卒業生は期限どおりにビザがおりないため、求職の列に加わることになり、これは就職の難度をさらに大きくした。

正直に言って、大学卒業生の就職難の問題は昨年以降顕在化していた。昨年、全国の大学生の就職契約締結率は65%であったが、今年は現在になっても50%前後である。

卒業生の就職を促すため、国務院は各クラス政府が大学生の就職を上手に案配することの重要性と緊迫性を十分に認識し、社会の各方面の力を呼び起こして順調に進めることを要求している。 

教育部門は就職情報ネットワークを開設し、インターネット、電話、ファックスなどの手段で求人側と卒業生との連係を強め、就職情報を学生に伝えることにしている。

SARSが制圧されるにつれて、各地の政府は人材市場を逐次復活させ、卒業生が求人側と面談する機会を増やしている。

中国共産主義青年団中央、教育部は大卒の就職のルートをさらに広げるため、今年の大卒生の中からボランティアを募集し、西部の貧困県の郷クラスの教育、医療衛生、農業技術、貧困扶助部門で2年間勤務する「大学生の自発的西部奉仕プラン」を実行している。

地域にまたがる就職も、今年の大卒の就職におけるホットスポットとなっている。上海復旦大学は今年、上海以外の地域を選んで就職する卒業生が289人もおり、昨年より7%増え、そのうち、大学院生が半分を占めている。卒業生は就職先を北京、広州、浙江などの地域に集中することなく、より多くの人たちは西安、成都などの西部の都市を選んでいる。

国有企業事業部門は大学生就職の主なルートの一つ。昨年、国有企業事業部門に就職した大卒業生は総数の63.1%を占めた。今年6月、国務院弁公庁は今後、共産党と政府機関の公務員採用および国有企業事業部門の技術者と管理者の採用は主として大学生に向けて行われることを規定した。国有企業事業部門は引き続き大卒の就職を引き付ける主なルートとなっている。

大卒が自主的にして創業することも一種の就職の方式である。

最近、国務院弁公庁は全国各地に大学卒業生が自主的にして創業することを奨励し、優遇政策と扶助政策を与える通達を出した。この通達によると、大学卒業生が自主的に政府の制限している業種以外の業種を経営する場合、工商行政部門に認可された日から1年以内は登録類と管理類の行政事業諸費用が減免されることになっている。地方政府は卒業生に融資と担保を提供する。卒業生は直接に銀行に融資あるいは科学技術型中小企業への低利貸付を申請することができる。

卒業生の自主的創業を奨励するため、労働と社会保障部は国際労働機関(ILO)の創業トレーニングコースを基礎とし、専門家を組織して直接卒業生に向けての遠隔創業トレーニングを企画設計し、集中的に創業プロジェクトバンクを開発し、卒業生に援助を提供している。

労働と社会保障部は、今年、就職が困難な大学(高等専門学校)卒業生に対して「大学(高等専門学校)卒業生職業資格トレーニングプロジェクト」を実施し、職業技能のトレーニングと職業技能鑑定を行い、トレーニングの費用は教育部門が引き受け、職業鑑定費用は労働保障部門が適宜減免することになっている。

卒業して半年経てもまだ就職していない卒業生に対して、現地の労働保障部門は失業登録を行い、都市就職計画配置の管理システムに組みいれることになっている。

長期的に就職できない卒業生に対して、教育部、労働と社会保障部、人事部は共同で「大学(高等専科学校)卒業生職業技能資格トレーニングプロジェクト」を実施する。職業の需要に基づいて、卒業生を組織して社会で必要な専業の職業トレーニングと職業技能鑑定に参加し、それ相応の職業資格証明書を発給する。トレーニングと職業技能鑑定の費用は地元政府によって解決される。