持続的な発展を続ける上海市の私営企業

廖凡彬

上海復旦大学力学学部を卒業した宋林さんが2000年に上海のあるメディア公司の区域経理のポストについた時、この公司はまだ知られていない小さな民営企業であった。ところが、2年半を経った今では、それはすでに海外で上場した名高いメディア公司となっている。

中クラスの経理の宋さんの月収はその他の手当てを入れなければ1万元以上ある。「多国籍企業と比べられないが、普通の外資企業より増しだ」と宋さんは満足げに語った。

ここ数年、宋さんのように私営企業に入る人がますます多くなっている。私営経済が上海で盛んな発展をとげることができたことは、同市が正しい政策、りっぱなサービス、整えた法秩序などの条件を備え、私営経済の発展を妨げるものが取り壊されたなどに恵まれているからである。上海市は1998年に「上海市の非公有制経済の健康な発展を導く若干の政策的意見」を打ち出し、それ以来、私営経済の発展を促すために相次いで10余りの文書を公表し、商工、税務、金融、税関など部門はぞくぞくと敷居を下げ、サービスの質を高め、都市建設、教育、病院などこれまでの投資禁止分野をちくじ開放するようになった。今では、私営企業数、私営企業の貿易額、私営企業への銀行の融資額などは全国で大都市のトップに立っている。

私営企業数の増加   

上海市商工部門の統計データによると、昨年、私営企業は平均して1日に185社増え、昨年末までに22万5000社になり、前年比27.4%伸び、同市の各種の企業の52%を占め、全国で大都市のトップとなった。今年2月末頃、それは23万6700社に増えた。

また、私営企業の規模は拡大し、経済力は向上している。昨年、私営企業の資本登録総額は前年比46.4%増の2726億元に達し、1社の資本登録額は同14.9%増の121万3000元となった。登録資本1000万元以上の私営企業は4148社であり、そのうち、登録資本1億元以上の企業は182社、前年同期比それぞれ61%増と85.7%増となった。同市の私営企業のトップである上海茂盛企業発展(グループ)有限公司の登録資本は10億元である。

昨年、私営企業の売上高は前年比20%増の3311億7000万元となった。年間を通じての増加額は約597億元であり、前年比43.5%伸び、同市のGDPの11.1%を占めた。私営企業、個体商工業者、外資企業、外資商業という非公有制経済の小売総額の比率は初めて50%を超えた1000億元以上に達したことが統計データで明らかにされた。今年初めに公布された2001年の「上海の大手企業100社」のうちに、上海国美電気公司が12億3900万元の売上げ業績で83位にランクされ、「上海の大手企業100社」に入った初の私営企業となっている。

上海市税務部門の統計データによると、昨年、上海市の私営企業22万社は合計155億8000万元を納税し、一社当たり約7万元、伸び率は57.2%にもなり、その他の所有制企業よりはるかに高かった。私営企業からの税収の同市の税収総額に占める比率は前年の9.1%から10.8%に上昇し、1.7ポイント増えた。

私営企業はまた就職、再就職の人々を受け入れる上海市の主な力である。昨年末までに、私営企業の従業員数は250万6000人に達し、前年比26.7%増えた。今では、同市の私営企業の従業員数は従業員全体の3分の1に達していることが調査でわかった。

また、ほかの省・直轄市の民間資本は上海に進出している。昨年に上海で登録した私営企業の数は7万5093社に達し、同市の私営企業総数の約3分の1を占め、登録資本は1000万元近く、同市で登録した私営企業の資本総額の40%を占めた。

向こうの数年間に、私営経済の増加額は年平均15%の伸び率で増え、2005年になって、私営企業が作り出したGDPは同市の20%を占め、税金の年間伸び率は30%以上に達し、2005年の納税額は160億元を超える見込みである、と専門家が予測している。

進出する分野が幅広い

飲食業や在来のサービス業のほか、不動産、仲介、展覧、観光、物流、生態農業、映画・テレビ番組の製作、チェン書店などの業種に進出するとともに、上海市の重点インフラ施設と一部の重要な業種への投資にも私営企業は乗り出している。そのうち、上海均瑶グループ有限公司が東方航空武漢有限公司の株権の18%を擁していること、上海福禧投資有限公司が32億700万元出資して滬杭高速道路上海区間の株権の99.35%を買収したこと、上海華盛投資有限公司が10億元投資して桃浦未来島開発区で北西物流基地をつくることなど重要な投資プロジェクトが挙げられる。

上海市政府の支持があって、同市の民営科学技術企業数は昨年1万6000社以上に達し、同類の企業総数の98%を占めた。また、民営ハイテク企業に評定された企業は312社で、同類企業総数の17.9%を占め、前年同期比58.4%伸びた。

輸出経営権

所有制を問わずすべての企業に輸出経営権を与えることは、上海市政府が中国のWTO加盟後に重点として行っていることである。これまで、私営企業の製品輸出が専門の貿易公司によって経営されなくてはならなかったが、現在、輸出経営権を与えられたため、企業は直接に外国のユーザーと対話を行い、利潤を増やすことができるようになり、輸出量が大幅に増える傾向を見せている。

上海は中国で私営外資企業が最も多い都市である。昨年末までに、その数は1980社に達し、年間輸出額は3億2700万ドル、前年同期の8倍であった。私営企業の輸出には、普通貿易額は加工貿易額よりはるかに多いと85.71%を占め、輸出先は主にアジア、ヨーロッパ、北米である。輸出品には繊維製品、アパレル、機械・電子製品、化学工業製品などの工業既製品が含まれている。

今年1月から4月まで、またも933社の輸出向けの私営企業が登録し、同期に新しく登録した対外貿易企業数の86.23%を占めた。今年4月までに、輸出経営権をもつ同市の中国投資企業は合計4835社に達し、そのうち、輸出向けの私営企業は60.3%を占める2913社に達した。

このごろ開かれた上海市貿易輸出活動会議の予測では、今年、私営企業の輸出額は5億元となる見込みである。

社会からの認め

上海の私営企業は経営行為を絶えず規範化させ、法律を守り、信用を重視しているため、昨年、3567社の私営企業は2002〜2003年度の検査免除資格をとり、同市の商工検査免除企業全般の37%を占め、470社(全般の21.2%を占める)が「契約重視・信用確保部門」に評された。

私営企業はまた社会公益事業に熱心である。大まかな統計によると、2002年に寄付した金だけで2000余万元に達した。

私営企業家の貢献が社会に認められ、社会的地位が著しく向上した。そのうち、上海復星(グループ)ハイテク有限公司の郭広昌董事長が第10期全国人民代表大会の代表に、上海中路グループの陳栄董事長ら数人の企業家が同市工商連合会第11回執行委員会副会長に、上海偉竜企業有限公司の陳志竜董事長と上海江東土地不動産開発有限公司の邵永飛董事長がそれぞれ新しい世帯の浦東新区、南匯区商工連合会(商会)会長に選出された。このほか、市、区クラス人民代表大会の代表と政治協商会議委員となる企業家もいる。

上海市の私営経済は大きな進展をとげたが、市場進出、情報共用、政策からのサポート、金融援助、財産保障など面でまだ公有制企業、外資企業と同じような待遇を与えられていず、生存環境のさらなる改善が待たれる、と経済界の人々が見ている。

向こう数年には、上海市の私営企業の設立が認可制から直接登録制に変えられ、外資が進出できる分野は私営企業も進出でき、ハイテク産業及び支柱産業における私営企業は政策の特恵をより多く享受できることになるとのことである。