外国投資者の「第二の故里」となる煙台経済開発区

--日本、韓国と海を隔てて向かい合っている煙台経済開発区は、交通の便利さ、優れた投資と生活の環境によって、韓国、日本、欧米諸国の「ホットな投資先」となり、煙台経済の発展を促す「牽引車」としての役割を果たしている。

馮建華

「煙台経済開発区ではまるで自分の故里で生活、投資しているような気持ち」と大宇(韓国)重工業煙台有限公司のケンネス・J・チァエ(蔡奎全)総経理は、7月31日にイマイチとも感じられる中国語で話してくれた。

今では、煙台経済開発区では、チァエ氏と同じ心境の外国業者がだんだん増えているようである。ここ三、四年来、煙台経済開発区は先進国、とくに日本と韓国が製造業を外国にシフトさせるチャンスをとらえて、投資と生活の環境の改善に力を入れ、韓国の大宇グループ、アメリカのGM、日本電装など世界大手メーカーが続々と開発区に工場を設立するようになっている。

煙台経済開発区は中国で最も早い時期に対外開放された都市の一つである煙台市の北西部にあり、日本、韓国と海を隔てて向かい合い、交通の便がよい。第1期計画面積は36平方キロメートルで、2002年には220.7平方キロに増える見込み。

煙台経済開発区管理委員会の王秀臣主任は「煙台経済開発区の目標は、外国業者にとっての『ホットな投資先』になるだけでなく、生活の『パラダイス』になり、そうすれば外国業者がなにも懸念することなく投資することができる」と語った。外国業者の生活とレジャーの必要を満たすため、開発区には国際学校と外国人向け病院を設立しただけでなく、数多くのバー、ダンス・ホールも開設した。1キロも延々と続くコーヒー街も建設中。

王秀臣主任の話によると、現在、煙台開発区に登録された企業は1700社もあり、そのうち外資系企業は70%を上回っている。自動車製造、IT、食品加工は開発区の三大支柱産業である。現在、韓国、日本、米国、ドイツなど20余カ国・地域の企業がここに投資し、世界企業ベスト500に入っている企業が20社もある。韓国と日本の企業が主で、その中で、韓国企業は約46%、日本企業は9%を占めている。

特別な贈り物

韓国大宇総合機械株式会社が投資して建設した大宇重工業煙台有限公司は1996年に正式に操業した。主要な製品は掘削機とフォーク・リフトである。その当時に韓国大宇は中国では知名度がそれほど高くはなかったため、製品の販路が広がらなかった。

こうした状況のもとで、大宇煙台公司は中国でまだ信用システムがまだ完備していない時に、大胆に分割払いの方式をとり、販路拡大を目指した。

2000年以降、大宇煙台公司製の掘削機の中国国内市場におけるシェアはトップとなり、煙台経済技術開発区の先導的企業の一つとなった。2003年上半期だけでも、売上高は21億元に達した。

「大宇煙台公司が今日のような規模になるのは、煙台経済開発区の全力あげてのバックアップと大きなかかわりがある」とチァエ氏は語った。製品の販路が広げにくかった時、大宇煙台公司の最大の難問は回転資金の不足だった。こうした状況のもとで、煙台経済開発区は関連部門に根回して、大宇煙台公司のために銀行融資を申請するとともに、製品の販路を開拓するために、できるだけより多くの取引プラットホームを全力あげてつくり、効果的な販促を行った。

長年来、開発区管理委員会は、企業のためにサービスを提供する場合、企業の負担を増やすようなことはしなかった。すべての費用は財政が負担し、企業のいかなる形の贈り物や宴席への招待を受け入れることは許さないという原則を堅持してきた。そのため、ここ数年来、毎年年末になると、大宇煙台公司は開発区に感謝の書簡を送り、このような特別なやり方で管理委員会に感謝の気持ちを表わしてきた。

チァエ氏によると、国に帰ると、煙台経済開発区のことを尋ねる人も多く、氏の「PR」の下で、数多くの韓国企業が煙台開発区に投資するようになった。

東岳自動車の連鎖反応

2002年12月20日、米GMと上海GMは買付合意を達成した。双方はそれぞれ50%を出資して、煙台経済開発区にある煙台車体有限公司のすべての株を買い付け、上海ゼネラル東岳自動車有限公司を設立し、賽欧シリーズ乗用車を生産することになった。

今年4月24日、上海東岳賽欧自動車有限公司は量産に入り、7月24日までに、賽欧ブランド自動車を1万台生産した。

東岳自動車公司の高級顧問の李良伯氏によると、上海GMの賽欧自動車生産ラインは車体の溶接組み立て工場が今年年末に移転するほか、その他のものは煙台に移した。現在、東岳自動車公司の日間生産能力は256台に達し、これは一時間平均16台ということで、今年の総生産量は3万4000台、生産額は30億元に達する見込みである。来年の総生産量は10万台に達すると見られ、2007年の生産高は30万台、売上高は400億元に達すると見られている。

東岳自動車公司の設立は、煙台経済開発区における自動車関連産業の発展を促している。煙台開発区経済発展・科学技術局の于少軒局長の話では、現在、煙台開発区の自動車関連工場は100社を超え、タイヤを除くすべての自動車部品を開発区で生産することができる。

なぜ上海賽欧自動車公司が煙台に移ったのか。

東岳自動車公司の設立に参与した李良伯氏によると、外的要因は煙台の交通と気候の条件が自動車製造業に適しているからだ。煙台は道路、鉄道の交通手段が発達しているだけでなく、中国の十大港湾の一つである煙台港と煙台国際空港があり、遠洋輸送が非常に便利で、北京、上海および韓国、日本などの先進国への直行便が毎日6、7便もある。

その上、煙台は中国沿海都市の中で、唯一の夏の湿度が低いところである。こうした気候条件は、工場建物のエネルギー消費を下げるだけでなく、車体の湿気防止能力を高めることができる。そのほか、煙台には自動車工業学校がある。現在、東岳自動車公司の中堅はみなこの学校の出身者である。

殺到したIT企業

韓国LG電子は世界企業ベスト500の一つで、生産しているCDMA携帯電話の売上げは世界でトップとなっている。韓国LG電子は2001年に開発区に進出し、山東省浪潮グループと提携して浪潮楽金デジタル移動通信有限公司を設立した。

浪潮楽金は2002年1月に正式に操業に入り、その年はCDMA携帯電話60万台を販売し、2003年は販売総量が150万台になる見込みである。

「2005年、浪潮楽金は中国CDMA携帯電話のナンバーワンとなる」

チョン・チュン・ナム(丁忠南 韓国)浪潮楽金副総経理が語った。

韓国テルソン電子も2002年8月28日、煙台開発区に進出し、2003年5月9日、2999万ドルを投下した第1期の生産ライン5本が着工し、来年の初めに竣工して生産が始まる。CDMA携帯電話の年生産能力は1000万台に達する見込みで、その時に、煙台生産基地はテルソン電子の70%の生産を引き受けることになる。

7月16日から18日までに、台湾の大手民営メーカー、世界IT企業ベスト100の8位にランクされている台湾鴻海企業グループの郭台銘総裁は煙台開発区を訪れ、同社のためにあらかじめ残しておいた富士康工業パークを実地調査したあと、双方は合意に達した。郭台銘氏の構想にもとづいて、煙台開発区は鴻海グループの深?、昆山、北京に次ぐ中国大陸部で四番目の生産基地となり、主に移動通信製品を生産することになる。

昨年10月、数十社の韓国企業は開発区管理委員会と取り決めを結び、5億ドルを共同出資して、開発区に面積7平方キロの情報産業パークを建設することになった。2007年までに、産業パークはIT企業100社を導入し、投資総額は10億ドル、売上高は200億ドルに達する見込みである。

韓国LG電子、テルソン電子など世界の製造業大手が続々と進出するにつれて、煙台開発区は中国最大のCDMA携帯電話の生産基地となる可能性がある。