2003年の中国の宇宙空間事業

2002年、中国は宇宙空間分野で誇るべき成果をあげ、宇宙区間の平和利用、経済発展の促進のために重要な役割を果たした。「神舟4号」実験宇宙船の打ち上げと帰還の成功は、中華民族の宇宙漫遊の夢の実現のためにしっかりした基礎を築いた。2月初めに発生した米スペースシャトル「コロンビア 号」の事故は中国の有人宇宙飛行計画に影響を及ぼすようなことがなく、「神舟5号」有人宇宙船は今年下半期に打ち上げられると語った。

                魯 皮

 中国国防科学工作委員会副主任、国家宇宙飛行局局長の欒恩傑氏は1月22日の「中国の宇宙飛行活動及びアジア太平洋宇宙空間協力」報告会で、「過ぎたばかりの2002年に、中国は宇宙空間分野で誇るべき成果をあげ、宇宙空間の平和利用、経済発展の促進のために重要な役割を果たした。中国政府はこれまで宇宙飛行事業を国の総体的発展戦略の重要な構成部分としており、和平の目的のために宇宙空間の利用を模索し、人類の文明や社会の発展を促進している」と述べた。

 2002年、中国は「神舟3号」、「神舟4号」実験宇宙船の打ち上げと帰還を円満に完成し、中華民族の宇宙漫遊の夢の実現のためにしっかりした基礎を築いた。また、「風雲1号D」極軌道気象衛星、「海洋1号」海洋観測衛星、「資源2号」地球観測衛星を打ち上げ、中国の気象・海洋・環境の測定や災害予報および国民経済の発展などのために重要な役割を果たした。

 中国国家宇宙飛行局の第10次五ヵ年計画(2001〜2005)期の活動重点は、@容量が大きく、性能がよく、寿命が長い放送通信衛星を開発し、中国の衛星通信産業を一応作り上げ、A、無毒、無汚染、高性能、低コストの新しい世代の運搬ロケットを開発し、現有の長征シリーズ運搬ロケットの性能と信頼性を高める、B気象衛星シリーズ、海洋衛星シリーズ、地球環境観測衛星群を主体とし、長期に安定して運行する全天候、高時間分解能の災害・環境測定衛星群をつくる、C宇宙空間探測の2衛星計画を実現し、地球磁気圏に対する認識を深め、太陽・地球システム解明の宇宙空間物理研究をいちだんと展開するなどである。

 中国宇宙飛行科学技術グループ公司の張慶偉総経理は、2003年は中国の宇宙飛行研究が最も忙しい年であり、飛行実験が多く、衛星と宇宙船だけでも9回打ち上げられる、と語った。

「神舟5号」、今秋に打ち上げの予定

 今年2月1日、米スペースシャトル「コロンビア号」は着陸する16分前に技術問題が生じ、最後に分解し、搭乗員7人は命を失った。

 これに対し、中国有人宇宙飛行応用システム総指揮の張厚英教授は、この悲劇的な事故は中国の有人宇宙飛行計画に影響するようなことはなく、「神舟5号」有人宇宙船は今年下半期に打ち上げられると語った。

 氏はまた次のように語った。神舟号シリーズ宇宙船を打ち上げるロケットは長征2号Fである。宇宙飛行士の安全確保のため、初めてロケットに故障自動検査システムと逃避システムをとりつけた。このシステムに数百種の故障パターンが設定され、危険が発生すると直ちに自動的に警報を出すことができる。宇宙船がしばらく飛行しても逃避ロケットを通して危険から脱することができる。神舟号宇宙船はいずれも逃避ロケットを配備され、数回の打ち上げで一切正常であったが、110キロの高度で逃避ロケットを捨て去った。

 また、宇宙飛行士が発射施設からまだ宇宙船に入っていないとき危険が生じたら、発射施設にある特殊な材料で作られた逃避袋に飛び込むことができる。袋の中では四肢で降下の速度をコントロールすることができ、地下室の安全な場所に滑り降りる。

 上海宇宙飛行局からの消息によると、中国に「宇宙を飛ぶ夢」を実現させる「神舟5号」がいま総組み立ての最中である。安全確保のため、「神舟5号」はできる限り気温の適切な秋に打ち上げる予定である。

 宇宙飛行士を「神舟5号」に搭載する場合、彼らにピストル、匕首など野獣やサメなど凶悪な動物の襲撃に対処する自衛性の武器をもたせる。関係責任者の説明によると、「神舟」号宇宙船の帰還倉が降下する過程で意外があって指定した区域に着陸せなくても、帰還倉の給電システムは作業を24時間以上続け、しかも指揮通信センターに救援信号を発することができる。

 専門家の説明では、「神舟4号」の活動空間はほぼ6立方メートルで、宇宙飛行士3人を収容できる。今後、宇宙飛行士の人数と帰還倉の飛行時間は具体的な状況によって決定される。「神舟5号」の中では、飛行士は家族と連絡をとって空を飛ぶ圧力を緩和することができる。

 昨年、中国は新型ロケットのエンジンをはじめとする多くの技術難関を突破した。海洋1号衛星は中国海洋観測衛星のブランクを埋め、年間飛行計画の96%を達成し、前年より高いものである。

4大強みをもつ「神舟号」宇宙船

 2002年の年始と年末に打ち上げた「神舟3号」と「神舟4号」宇宙船の帰還の成功は、中国宇宙飛行史上の注目されている出来事である。4回にわたる飛行実験は、陸地と海上で構成された有人宇宙船着陸場システムが、宇宙船捜索・帰還及び宇宙飛行士救助の能力を備えており、しかもその安全性と信頼性がともに高く、「神舟」号有人宇宙船の飛行任務の要求を満せることを十分に検証していると専門家が見ている。

 張慶偉氏はこのほど次のように指摘した。宇宙飛行士の安全確保は運搬ロケットと有人宇宙船開発の第一の基準である。中国が独自に設計した宇宙船を国際上の先進的な宇宙船と比べて、次の4大強みを持っている。

 第一、 起点が高く、知能化程度が高い。中国の有人宇宙船は一度に3人を搭載できるものであるが、これは1人を搭載する宇宙船より技術難度が高いものである。

 第二、 適用性が強く、1基の宇宙船に3つの方面に使われる。3つの倉の設計案には、軌道倉は生活倉と軌道飛行実験倉の機能を兼ね備え、宇宙船が帰還した後、軌道倉が軌道に数カ月残され、引き続き宇宙空間の科学的探測と技術実験を行い、中国の有人宇宙飛行の第2歩――宇宙船と宇宙飛行器のドッキングのために基礎を築いた。

 第三、 実用性が強く、人と貨物を同時に輸送することができる。

 第四、 快適である。帰還倉の容積は世界の近地軌道宇宙船の中でも最大のものの1つであり、その内部の設備が先進で、宇宙飛行士はゆったりした空間の中で働けられる。

 神舟号宇宙船の副総指揮、副総設計士の施金苗氏と副総指揮の秦文波氏の説明では、中国の宇宙飛行服はアメリカのとほとんど同じで、白色で、上はヘルメットであり、その中に酸素吸収装置、通話・通信装置などが備わり、肘を曲げることもできる。

 「神舟4号」を含める中国の神舟号宇宙船の技術のほとんどは中国が知的所有権をもつものであり、システムクラスの技術はいずれも独自に開発したものである。

重要な成果をあげた「神舟4号」宇宙船の科学的実験

 関係専門家によると、「神舟4号」宇宙船の一部の科学的実験は重要な成果をあげた。@初めての大規模な宇宙空間環境観測が成功を収めた、Aマイクロ波リモートセンシングの「三位一体」技術を率先して開発し、中国の宇宙飛行にマイクロ波リモートセンシングがない歴史に終止符を打った、B液滴流体実験能力が国際先進レベルに達している。

 宇宙のさまざまな帯電微粒子放射と中性大気は宇宙船の正常な作業と宇宙飛行士の安全に影響することがあるから、「宇宙天候」測定は有人飛行にとって非常に重要である。今回は「神舟4号」に搭載したさまざまな高性能探知器は宇宙空間環境の大規模探測を行い、宇宙船軌道空間の高エネルギー帯電粒子の分布状況を一応明らかにした。関係データを分析したところ、今後の数年は宇宙天候の安静期で、有人飛行の有利な時期であることがわかった。目下、軌道で運行している「神舟4号」の軌道倉にある探知器は引き続き宇宙空間環境の測定を行っている。

 「神舟4号」に使われているマイクロ波センサはマイクロ波放射計、レーダ高度計、レーダ散乱計からなっている。マイクロ波放射計が主に土壌温度、土壌塩分、海面温度、大気水分含有量などの探知に使われる。レーダ高度計で波高、海流など海洋動力学のパラメーターを得ることができる。レーダ散乱計が海上風速・風向、海洋動力の研究に使われる。劣悪な天候に作業できない可視光、赤外線技術と比べて、マイクロ波センサはすべての天候に作業することができる利点がある。また、植物の生長状況と農作物収穫高に対する見積もり、海洋災害や資源と風場の分析、海洋動力環境と海気エネルギーの転換などの研究に対しても重要な役割を発揮する。

 地球では浮力の作用で、水の中の油が水面に浮いてくる。宇宙空間の微重力の環境の中では、液滴の移転は別な法則に従う。「神舟4号」に取り付けた撮影機は弗素液体の液滴がシリコン・オイルの中で運動する全過程を撮り、映像を地球に伝えた。この実験の成功で、中国は微重力流体実験技術で重要な突破をとげた。それは中国の微重力流体物理宇宙空間における科学的実験がすでに国際先進レベルに達していることを示している。