業界の反応について

全国人民代表大会の代表が新興成長企業株式市場(中国版のマザーズ))に関する議案を提出したことを知ってから、深センの証券業者らは非常に興奮していた。深センの証券業界の多くの人々は新興成長企業株式市場に大きな期待をかけており、関連部門が新興成長企業株式市場の積極的な役割をより多く見て取ることを望んでいる。しかし、深セン以外の証券業者の中には新興成長企業株式市場の開設に賛成でないものも大勢いる。

実践の中で問題を解決 房順祥(証券アナリスト)

新興成長企業株式市場にはリスクがかなり大きいなど数多くの問題が存在しているが、これらの問題は実践の中で解決することができる。

新興成長企業株式市場のリスクが大きいのは世界公認のものであり、新興成長企業株式市場が引きつけるのは主にハイテク民営企業であり、これらの企業の経営リスクはかなり大きく、途中で失敗に終わる可能性も大きく、しかも新興成長企業株式市場の株式銘柄が少ないため、投機的な取引行為を容易に引き起こすことになる。

そのほか、国外の状況から見て、米ナスダックの大幅な値動きや投機などの状況もよく目にしており、ドイツ、日本などの国の店頭株市場やマザーズは、オープンはしたがあまり動いていない。

これらの問題はメーンボード市場でも同様に存在しているが、小さな失敗があったからといってやめるのではなく、実践の中でそれを解決するのである。深セン証券業界の多くの人々は新興成長企業株式市場に極めて大きな期待を抱いており、関連部門は多くの角度から新興成長企業株式市場の積極的な役割を見て取るよう望んでいる。新興成長企業株式市場が深センで開設されれば、長い間低迷している深セン証券業は再浮揚することになろう。

開設の条件がまだ熟していない 桂浩明(証券アナリスト)

今日と同じように、3年前の市場でも新興成長企業株式市場について語る人は至る所にいた。いまから考えてみると、幸いにあの時は、新興成長企業株式市場はまだ開設されていなかったが、さもなければ、本当に怖いと思う。

現在、再び新興成長企業株式市場の開設を提出する人がいる。客観的に言えば、これは合理的なところもある。問題は新興成長企業株式市場を開設する条件がいま熟しているかどうかにある。新興成長企業株式市場の多くの特徴には今日の市場の現状との距離が存在している。現状から見て、数多くの投資者は資金の安全性に対する要求が極めて高く、同時にリスクを非常に嫌っている。3年連続してメリットを手にし、メーンボードでの上場が認められ、一定の規模をもつ企業の利潤の情況や投資によるメリットはまだ投資者に受け入れられていない(これは中国株式市場が数年来積み重ねてきた問題である)ため、新興成長企業株式市場の基準に基づき上場した企業はどのように投資者の利益を確保するのか。周辺のマーケットの新興成長企業株式市場が失敗に終わった根本的な原因はつまりその多くの上場企業が質的に劣り、逐次投資者の信頼を失ってしまい、株価の暴落を招いたからである。言うまでもなく、われわれはこのような問題を考慮しないわけにはいかない。つまり国内の投資者はこのようなリスクに耐えられるかどうか、さらに、いま時このようなリスクに耐える必要があるかどうかである。

新興成長企業株式市場計画は必ず失敗に終わる 胡蘭貴(証券アナリスト)

何人かの全国人民代表大会の代表は、新興成長企業株式市場の開設はメーンボード市場に影響を及ぼすことはないと語っている。このような判断は市場の法則と合致しないものである。事実、木曜日のメーンボード市場は突然暴落した。新興成長企業株式市場はシステムを構築することであり、政府が慎重に新興成長企業株式市場の開発計画を無期限に遅らせたことは大きな功績である。多くの国は新興成長企業株式市場を開設したあと、うべき状況が絶えない状態に陥っていることを知る必要がある。本人は中小投資家の代弁者として、新興成長企業株式市場開設計画の制定を目指す最初の頃から何回も文章を書いて反対の見解を表明し、開設計画は必ず失敗に終わると断言した。

国内の新興成長企業株式市場開設計画は中国証券市場の最も大きなミスの一つであり、当時、世界の大きな環境の下で、中国証券市場も新興成長企業株式市場によるわか成金の夢を見ていた。新興成長企業株式市場の開設を無期限に遅らせたことは中国証券市場の最大の功績である。これによって、中国の株式市場は平穏に移行することができ、大きな金融の浮動が起こっていない。事実、多くの国と地域の新興成長企業株式市場はリスクの起因となっている。

国内における何社かの会社はヒト、モノ、カネを費やして新興成長企業株式市場の夢を作り出した。その後はそのほとんどが苦境に追い込まれ、倒産した企業もたくさん出た。これらの会社をマーケットに進出させれば、投資者にどう申し開きをするのか、いま考えるとちょっとぞっとする。

資料5

国外の新興成長企業株式市場

世界の新興成長企業株式市場(店頭市場という別称もある)は合わせて19もあり、そのうち、アメリ大陸に2つ、ヨーロッパに8つ、アジアに9つ(オセアニアの2つはすでに閉鎖された)ある。2000年以降、この19の市場はずっと米ナスダック市場のあとにぴったりと従うように暴落が止まらなかった。

米ナスダックは、ニューヨーク証券取引とシカゴ先物取引市場のような百年の歴史をもつ成熟した市場の形態でデビューした試行の性格をもつ副産物である。ナスダックが1971年2月8日の100ポイントからスタートし、1999年11月3日の3000ポイントを突破するまでに28年の歳月を要した。3000ポイントを突破した後の1ヵ月に、ナスダック指数が4000ポイントを突破し、3ヵ月後には5000ポイントを突破し、最高5132ポイントに達し、4ヵ月に70%急騰した。2001年1月31日、ナスダックの時価総額は5兆ドルを超えるに至ったが、1年前はわずか2億9000万ドルであった。ネット第一株といわれるオンライン書店のアマゾンドドの最高値は400ドルを上回り、最終的には人類歴史上未曾有の最大の投機的な資産バブルとなった。現在、ナスダック指数は長期にわたって1300ポイント近くを上下し、最高値と比べて、70%以上も暴落し、大多数の企業の時価はピーク期のゼロ・ポイント以下となっている。マイクロソフトやインテルのような企業が依然上場しているのでなければ、ナスダックはすでに存在しなくなっていただろう。

ナスダックの状況と似って、世界の19の新興成長企業株式市場開設市場はすべて失敗に終わった。ドイツでは8546ポイントから484ポイントに下落し、94%下がった。ドイツには世界で最も安定した通貨政策とメーンボード株式市場があるが、1997年3月からいままでの6年間に開設された創業ボード市場は絶体絶命の状態に陥ちり、2002年末に廃止された。香港では1045ポイントから112.8ポイントに下落し、89%下がった。香港の創業ボード市場では半分以上の株式に買い手がつかず、まばらな取引は175株の銘柄中の10銘柄に集中している。韓国では283ポイントから48ポイントに下がり、83%下落した。かつてのナスダック・ジャパンの損失が54億円となったのち、ナスダックはやむなく撤退した。オーストラリアの創業ボード市場は3回も起伏をくりかえしたのち閉鎖されてしまった。

これを見ても分かるように、国際金融市場から言えば、創業ボード市場はほとんど成功の見込みのない実験であるに違いない。