難民を憂慮するに堪えない

戦争の最大の被害者は一般庶民である

人民日報

米英は国際社会の幅広い反対をも顧みず、数千年の歴史を有するメソポタミア平原において、対イラク戦争を発動し、イラク人民の命運が世界の関心を引き起こしている。戦争は日増しに悲惨になっており、最も人々を憂慮させているのは、戦争による人道主義上の災厄にほかならない。

イラン政府によると、イランとの国境に逃れて来た難民はすでに数千人にのぼり、その数は25万人に達するとみられている。国連難民高等弁務官事務所はイラク戦争で少なくとも100万の難民が故郷を離れると試算しており、またホワイトハウスの政策当局者は、戦争終結後の難民は200万に達するだろうと予測している。

人類史上、戦争は必ず災厄をもたらし、その最大の被害者は決まって一般庶民であった。戦争は、罪のない庶民の生命を傷つけるものであり、また計り知れないほどの難民が、戦禍から免れるため故郷を追いやられる。妻子を伴い涙ながらに家を後にし、異郷の地で寒さをしのぎながらのテント生活を余儀なくされる。非衛生的で粗末な、大勢の人が押し込められて耐え難い難民キャンプに身を置かざるを得ない。ただ夢のなかで、再び家に戻ることを朝な夕な思いこがれるだけである。

イラクは多くの国と隣接しているため、難民問題はより複雑である。先の湾岸戦争の状況から見ると、難民の群れは再びイラクの周辺国家に巨大な経済、社会的圧力をもたらし、ひいてはこれらの国の安定と発展に影響を及ぼすことになるだろう。殺到する難民群による打撃を回避するため、イラクの一部隣国は自国の利益から、難民を国外に追いやろうと何度も試みるだろう。メディアによると、西隣りのヨルダンは、入国する難民の数を制限するためイラクとの国境を「封鎖地区」にすると宣言した。東のイランはかつてイラクと戦火を交えており、もちろんイラク難民の受け入れは余り望まない。北隣りのトルコとイラクの関係はより微妙である。先の湾岸戦争ではイラクに逃れた難民は50万にも達し、トルコにとっては重い負担となった。今回、クルド人の流入を懸念するトルコは、以前にも増して門戸を開くことを望んではいないものの、ただ人道主義を考慮して国境にテントを設置している。こうしたすべてが、イラク難民のより困難な境遇を決定づけてしまった。茫々たる砂漠に遠くから目をやり、砂漠に沈み込み、多くの疲労困憊した難民たちは長い道のりの過程で苦労しても助けを求めるすべはなく、衣食も解決できず、善良な人ならだれでも同情の涙を流さずにはいられないであろう。

イラク戦争による人道主義上の災厄は、国連を含む国際社会に強い関心を呼び起こした。国連のアナン事務総長は開戦後に声明を発表し、「国連と国際社会が最大の努力をしたにもかかわらず、25年の間に3度目となる戦争がやはりイラク国民の頭上に降り立ってしまった」と述べ、全力を挙げてイラク国民に人道主義援助と支援を提供することを何度も表明している。国連難民高等弁務官事務所のルベルス高等弁務官は「すでに40万のイラク難民を受け入れる準備は整った」と述べたうえで、関係国に難民に対し国境を開放するよう呼びかけている。ノルウェーのボンデビック首相は、関係する国連の機関を通じてイラクに2200万ドルの人道主義援助を考慮中であることを明らかにした。EU(欧州連合)もすでに難民に2100万ユーロの援助を提供することを決定している。フィンランドのシーメス財務担当相は、イラク戦争の被害者に160万ユーロの援助を与えると表明した。国連児童基金(ユニセフ)のベラミー事務局長は、戦争によるイラクの子供たちをめぐる生存環境の一段の悪化に強い関心を寄せている。国連の高官によると、国連の援助機関は創設以来最大規模の資金援助を申請し、10万ドルを拠出して半年以内に被害を受けたイラク市民を援助する計画である。

国連のアナン事務総長は開戦の日、安保理に新決議を採択するよう提言する書簡を送った。イラクに対する「石油と食糧を交換する」計画について必要な調整を行い、援助を受ける範囲をイラク内から国外へと拡大して、戦争で隣国に逃れたイラク難民が必要な支援を受けられるようにする、というものである。しかし、3月26日の安保理では計画草案の最終的な合意にはいたらなかった。

戦争は平和な生活を愛する人類の願いに逆行するものであり、人類が21世紀を迎えた今日、過去の戦争が残した不幸と傷は今もなおありありと目に浮かぶが、戦争決定者はこれを前者の戒めとすべきである。すべての国際紛争は、政治手段を講じて平和的に解決できる一縷の希望が残されているなら、戦争に訴えるべきではない。