衛生部、SARSの発生状況について記者会見

国務院新聞弁公室は4月20日記者会見を開き、衛生部の高強常務副部長と朱慶正副部長が全国各地の新型肺炎、重症急性呼吸器症候群(SARS)の発生状況について説明するとともに、内外の記者団の質問に答えた。

会見で高強副部長は、4月18日現在、SARS感染者数が全国で1807人に達したことを明らかにした。それによると、広東省が1304人、北京市339人、山西省108人、内蒙古自治区25人、広西チワン族自治区12人、湖南省6人、四川省5人、福建省3人、上海2人、河南省2人、寧夏回族自治区が1人。そのうち全快して退院した人は1165人で、全体の64.5%を占める。死亡者は79人で、同4.3%。広東省では退院者は1110人で85%、死亡者は46人で3.5%。

北京市の状況については、高副部長によると、SARSと診断された人の数は339人で、うち9.7%にあたる33人が退院している。患者は医療従事者が24人、学生8人、市外居住者28人、海外・外国居住者が5人。このほか、入院中の402人が感染の疑いがあるという。内訳は医療従事者が41人、学生42人、市外居住者21人、海外・外国居住者が4人。感染者や「擬似感染者」のうち353人は市区・県管轄の一般病院、253人が軍所属の病院、153人が衛生部管轄の病院に入院している。

会見で明らかにした北京市の感染者数が、数日前に発表した数字と大きく異なったことについて、高副部長は以下の理由をあげた。(1)新型肺炎は突然生じた重大な災害であり、人類がこれまでに全く認識していなかった難病であるため、診断が比較的難しかったことから、入院して診断確定までに一定の過程が必要だった。時間をかけて診断した後、最近になって症状が明らかな擬似感染者が感染者と診断されたため、患者数が増加した(2)北京地区には2級以上の病院が175ある。うち市区・県が管轄する病院は131、衛生部や教育部が管轄する病院は14、軍隊・武装警察所属の病院は16、各業界が管理する病院は14を数える。こうした病院の間で有効な連絡がなされず、情報が行き届かず、収集した情報に整合性が欠けていた。また患者が70余りの病院に分散していたため、完全かつ精確な統計ができなかった(3)衛生部は突発的な公共衛生にかかわる事件に対して準備が不十分であり、防疫システムも比較的脆弱だった。感染者が出た後も、全国的な発生にすぐさま対応して情報を収集し、取りまとめ、報告する制度を設けず、要求が不明確で、指導も十分ではなかった。北京市は多くの仕事をこなし、大勢の医療従事者は危険を恐れず患者の救済にあたり、大きな努力を払ってきたが、関係機関による情報の統計、監視報告、追跡調査などのメカニズムが不備であったため、感染の統計に比較的大きな遺漏があり、精確な数字を報告できなかった。こうした問題については、真剣に経験と教訓を総括し、着実に改めていかねばならない。

オランダの記者は「衛生部はWHO(世界保健機関)との協力の過程で、どのように感染の情報を収集したかについては、その方法は当然、非常に明確なものだったと考えるが、では、関係機関がこうした方法を利用して精確な情報、適時な情報を収集できなかったのは何故か」と質問。

これについて、高副部長は「衛生部は中国の衛生事業を主管する機関であり、人民の身体的健康を保障する重責を担っている。SARDの予防・治療の過程においても非常に煩雑な仕事をこなしてきた。衛生部にはまた、診断の基準を制定する責任もあり、幅広い医療チームを組織して救済・治療を行うとともに、さらに各地方を指導し、各地方の感染状況を検査しなければならない。衛生部と全国衛生機関の多くの職員は今回のSARSの予防や治療で多大な力を尽くし、多くの仕事を行ってきたと言っていい。とくに医療従事者は患者救済の一線で、大きなリスクを背負っており、こうした精神は大変に貴重である。しかし、仕事を行う過程で一部欠陥や遺漏があったのは確かだ」と説明した。

さらに高副部長は「目的はこの問題を解決することであり、仕事の進め方を改めて、今後のSARSの予防・治療でより実効性のある仕事ができるようにすることだ。各地の感染報告制度は徐々に完備されつつある。人々がSARSを認識していなかったため、当初の報告制度は完備されたものではなかった。広東省のように発生が比較的早かった地方では、報告制度は健全化され、作業技術も進んでいたが、北京のように発症が比較的遅いところでは、収集や報告に一部欠陥があった。衛生部の北京市に対する指導、検査は十分でなく、これが仕事を進めるうえで問題となった」と指摘した。