より大きな挑戦

李栄霞

SARS(新型肺炎・重症急性呼吸器症候群)は北京や広州といった一部の都市で流行している。広大な面積を占める農村部では今のところSARSの流行は見られないが、農村部への蔓延をいかに抑制するかが、SARS防止との闘いで、中国にとって厳しい挑戦となっており、その難しさでは、大都市保護の比ではない。

農村部は人口が非常に多く、総人口の80%近くを占める。農民の収入は都市部に比べ低く、医療施設も遅れている。また農民の自己防衛意識も都市部よりは低く、農村部で流行するようなことにでもなれば、非常に重大な結果がもたらされる。

SARSの農村部への拡大は、出稼ぎ労働者が病原菌を農村にもたらすことによる可能性が最も高い。従って、都市部で働く農民労働者の患者を救済することが非常に重要だ。北京市はすでに対策を講じた。農民労働者を市民と同様に扱い、積極的にその治療に当たると同時に、経済困難にある患者に対しては医療費を補助する制度を適用することにした。これは歓迎すべき措置だ。都市部で働く農民は常に蔑視されてきた。だが、人道主義の下では身分の格差はあるべきでなく、誰が都市の永住者か、誰が都市の肉体労働者かで人を区分すべきではない。

中央政府は1病例が報告された寧夏回族自治区に調査チームを派遣した。同自治区は西部に位置し、現地の医療条件は相対的に遅れており、収入も相対的に低いため、西部に住む広大な農民が今回の発生の影響を受けないよう保護するのが目的だ。これは中国政府がこの問題を非常に注視していることを示すものである。

農村部への拡大を防止するため、関係当局は列車やバスなど公共交通機関の消毒や監視を強化するとともに、都市部住民に対し農村部への観光を自粛するよう勧告した。これは賢明な予防措置と言える。

中国政府が防疫措置を確実に強化し、伝染病の農村部への蔓延を防止して難関を突破するよう期待したい。

感染は広がり続けており、人命を保護するため、さらに多くの予防措置を講ずるのは過分でない。