外資系金融機関、中国証券市場に進出 

中国証券監督管理委員会は5月26日、USBウォーバーグ証券と野村証券といった外資系金融機関2社に指定域外機関投資家(QFII)の資格を与え、中国での証券投資業務を許可した。ドイツ銀行やゴールドマンサックス証券についても現在審査が行なわれている。

構想から実現まで、中国の証券市場での対外開放の重要な措置であるQFII制度導入にかかった時間はわずか3年。これにより中国証券市場の改革・発展が加速されていることだけでなく、海外投資家が中国経済や証券市場の将来性を高く評価していることが明らかになった。 中国経済はここ数年、持続的かつ安定的な急成長を続けてきた。国際資本の吸引力も高まり、2002年には海外資本による直接投資が最も多い国となった。同時に、中国証券市場の規範化レベルは大きく向上し、上場企業の質も改善された。投資家、特に小・中規模の投資家の利益を保護するために取られた措置も効果を上げ、証券市場には規模が大きく、業績も好調で、業界トップクラスの企業が現れた。域外投資家はこのような良好な投資環境やチャンスに魅力を感じて、中国証券市場への参入を急いでいる。

QFIIの導入により、海外資本の流入がより活発になることが期待される。その一方で、エマージングマーケット(新興市場)でのQFII導入が、流入資金を大きく上回る意味があることを認識しなければならない。

QFIIの投資経験、情報処理・分析能力、投資戦略はいずれも域内投資家を上回っている。そのためこれらの金融機関の投資方針は、証券市場投資の方向性を定める重要な指針となり、QFIIの投資理念はその他の投資家にも影響を与えることが予想される。スイス銀行はこのほど中国の証券市場について、「長期投資を主体にし、投資価値が高い株を購入する」との考えを明らかにした。また野村証券は「中国A株購入は中国市場の未来に投資するのと同じことだ」と率直に述べている。QFIIは今後も増え続け、価値を重視した理性的投資が行なわれるようになるまでにそう時間はかからないだろう。それに伴い、中国証券市場が有する資源配置という機能がより強化されることになる。

QFIIは投資理念だけに留まらず、上場企業の発展、銀行・証券業務の開拓、証券市場の健全化にプラスの作用をもたらすことが期待される。QFIIが重視しているのは長期的な投資価値である。投資価値の保証にコーポレートガバナンスの運用は欠くことができない。

そのためQFIIの証券市場参入により、中国の上場企業はコーポレートガバナンスを重視するようになり、持続的発展のための能力育成に大きく役立つと思われる。同時に、QFIIの市場での投資活動は、関連の金融証券サービス業界にチャンスをもたらし、商業銀行の中間業務開拓や証券会社のブローカー業務の拡大を促進する作用がある。それ以外にも、QFII政策の導入により、中国証券市場の会計情報の公開制度に対する要求が高まり、株式市場が透明性や規範化が促進される。

つまりQFIIの中国証券市場参入は、投資回収率の向上につながると言える。投資回収の実現は、上場企業の業績にかかっている。QFIIは本来の役割を発揮し、証券市場の長期的かつ安定的発展を実現するためにわれわれは、主導的にさまざまな措置を取り、上場企業のコーポレートガバナンスの運用を促進し、上場企業の質を高めなければならない。

「人民網日本語版」2003年5月28日