投資スポットとなる都市ゴミ

Sars(新型肺炎)が制圧された後、市場の見通しと政策的環境から見れば、外資系企業にとっては、中国のゴミ処理産業に投資する適切な時期となっている。

馮建華

4月20日以後、Sarsの拡散ルートを根絶するため、北京市、広東省などの感染地域では都市ゴミ清掃キャンペーンがくりひろげられるようになった。

住宅区周辺のほか、平日無視されている公共地帯のゴミの「盲点」でも掃除がおこなわれるようになっている。政府は住民が生ゴミを分別収集し、密封して投棄するよう求めるだけでなく、関連規定を打ち出し、むやみにゴムを投棄する住民に重罰を課した。

Sars発生によって、一部の都市のゴミ処理の不足問題がさらに顕在化するようになった。北京市のマスメディアによると、 Sarsが猛威を振るっていた頃、同市の毎日のSars関係の医療ゴミは15トンにのぼった。当日のゴミを当日に処理することを保証するため、北京市政府は臨時の医療ゴミ焼却場14カ所を建設し、ゴミ処理緊急システムの整備を積極的におしすすめ、今後発生する可能性のある突発的公共衛生事件に備えることになった。いまでは、北京市の日間生ゴミ排出量は8700トンに増え、4トン積みのトラックで運ぶとすると、2175台が必要となる。

国家環境保護総局のデータによると、中国の年間ゴミ排出量は約1億4000万トンに達し、世界の総排出量の四分の一を占め、年間平均8%のペースで増えている。ゴミ処理は従来から政府が負担しているため、資金と技術が不足し、専門の技術者も非常に不足していた。さまざまな原因で、中国のゴミ処理率はわずか63%にしか達せず、無公害処理率はわずか10%で、90%のゴミは簡易投棄法と埋立て処理を採用している。

都市ゴミを上手に処理しなければ、Sarsウィルスを拡散させるだけでなく、多くの都市の経済の持続的発展を制約する障害となる。中国の「経済日報」紙によると、中国では過去から積み残された、未処理のゴミが約70億トンに達し、約5万4000ヘクタールの土地が占用され、約三分の二の都市がゴミに囲まれたような状態にある。

簡易埋立てなどの簡単な処理方式をとっているため、土壌、地下水が汚染され、長年堆積したゴミから放出されるメタンガスを主成分とする温暖化ガスは火事や爆発事故の原因となり、周辺の住民の人身、財産の安全を脅かしている。同時に地球の温暖化効果を強めることになっている。

深せん玉竜坑ゴミ処理場は1983年に建設されたもので、面積は約20万平方メートル、生ゴミ約320万トんンを埋め立てている。このゴミ処理場は社会資本によって建設されたものであるが、政府が補助金を支出して運営されているものである。技術と規範が発展に追いつかないため、1997年、防禦措置をとらないまま閉鎖し、営業を停止した。

深せん市関係部門の1998年のテスト結果によると、このゴミ処理場の有害ガスの年間排出量は5900余万立方メートルにのぼり、一時間当たり7000余平方メートル排出されていることになる。それも50年間排出を続けるとみられている。

さらに深刻な問題は、このゴミ処理場を建設してから、系統的な管理の欠如から、周辺地区に人口や住宅ビルが密集する住宅区が建てられるようになった。ゴミ処理場から5メートルしか離れていないところの道路の両側に建てられた40余りの建物のうち、11棟がゴミ処理場の上に建てられている。テストの結果、これらの住宅の地下水の中のメタンの濃度はアラーム・ラインを超えている。

深せん市の王穂明副市長は「玉竜坑ゴミ処理場の地下には、ゴミが埋められているだけでなく、重大な災害が隠されている」との懸念をあらわにした。

都市ゴミがもたらす災害によって、中国の各クラス政府はゴミ処理の産業化、市場化のテンポを速めざるを得なくなった。

この問題を全般的に解決するため、2002年10月、中国国家環境保護総局は都市ゴミを処理する国家行動方案を実施した。この方案によると、中国政府は社会資本と外資系企業が中国にゴミ処理場を建設することを歓迎し、ゴミ処理産業に投資する外資系企業に対し、中国政府は優遇政策を与えることになった。例えば、租税、発電、銀行融資などの面で、外資系企業は減免と優先の待遇を享受することになっている。

方案によると、中国は主に埋め立て処理方式をとり、それによってガスを収集して発電や民用燃料に用い、ゴミ埋め立てガスによる発電のリサイクル環境保全産業が中国の今後数年間において優先的に発展させ、助成する産業となる。

この方案にもとづいて、2007年に、中国にはガス回収埋め立て処理場が30余カ所建設され、2015年には、300カ所に増やし、年間ゴミ処理量は1億トンとなる。関係データによると、2005年に、中国におけるゴミ処理と回収を主なプロジェクトとする環境保全産業の年間生産高が2000億元に達する。

Sarsに刺激されて、一部の地方政府は、ゴミ処理産業化の運営モデルの推進を速め、より優遇的な政策で民営資本と外資系企業の市場進出を誘致し、投資の多元化を実現し、ゴミ処理問題を処理することを目指している。

5月9日、民営経済が発達している東南沿海都市の福建省泉州市政府は今後都市ゴミ処理の投資と運営を負担しなくなることを明らかにした。政府の職能を転換して主な仕事は都市ゴミ処理の計画、社会投資の誘致、環境衛生資格の認定、ゴミ処理状況、および汚染物排出へのモニタリングなどとなる。

深せん市政府は玉竜ゴミ処理場や建設中あるいは建設を計画中のゴミ処理場に規範化した改造と設計をおこなう。周辺の住民を移転させると同時により弾力的かつ効果的な市場化手段を運用する。

Sarsを根絶したあかつきには、中国政府と関係企業は都市ゴミの無公害処理と消毒をより重視することになる。そのため、中国の都市ゴミ業に投資するにはよい時期となっている。

市場の見通しと政策的環境などの要因から、数多くの多国籍企業はSarsの後の中長期投資計画を調整するにあたり、中国のゴミ処理産業を新しい投資スポットとしてとらえている。世界一の環境保全業者のフランスビベンディ社のトップは中国の環境保全事業にさらに深く関与し、中国のゴミ、汚水処理プロジェクトに投資し、それを経営する予定であることを明らかにした。

一部のアメリカ金融コンサルティング機構はSarsが制圧された後、人々はますますゴミ処理の問題を重視するようになると指摘している。ゴミ処理業は政府がすべて投資し、管理することでは、資金の不足によって規模の拡大が難しくなる。そのため、融資と入札募集の方式で海外の資金を中国のゴミ処理施設の建設に投入することになるわけである。