新たな使命を賦与された人口・計画出産委員会

唐元かい

人口・計画出産の仕事の総合的な協調を一段と推し進め、最終的には中国の総人口が2050年に16億人のピークを迎えてから「ゼロ成長」となることを確保するため、今年3月に、もと「国家計画出産委員会」は人口・計画委員会に改称されるようになった。

今年3月の新たな国務院行政体制と機構改革において、もと「国家計画出産委員会」の名称に人口という言葉が書き加えられた。名称の変更によって新設の委員会には新たな使命が賦与された。それは、人口発展戦略の研究を強化し、人口と計画出産の仕事の総合的協調と総合的整備を推進し、もとの職能に積極的かつ着実に取り組むことを踏まえて適宜な開拓、調整、充実をおこない、逐次具体的な運営を弱め、マクロ協調の職能を強化し、低い出産レベルを保ち、出生人口の質の向上及び出生人口の性別比の上昇の趨勢を抑制するほか、移動人口、就業人口、高齢者人口の増加によってもたらされる問題に積極的に対処し、「ややゆとりのある」社会を全面的に築き上げるうえで望ましい人口の環境を作り出すことである。

50年後の総人口「ゼロ成長」を確保

一人当たりのGDPが2020年に3000ドルに達するという既定の目標を達成するため、今年、北京で開かれた全国計画出産会議では、「3つの段階に分けて進められる」という人口・計画出産の目標が提示された。

張維慶・国家人口・計画出産委員会主任は、「3つの段階に分けて進められる」という目標を期限どおりに達成しているこそ、中国の人口の状況と経済発展のアンバランスの現象を効果的に緩和することができ、中国の総人口が2050年に16億人のピーク値を達し、「ゼロ成長」となったあと、ゆっくりとスローダウンしていく望みがある」と語った。  

この3つの段階とは、@2005年末現在、全国の総人口(香港、澳門特別行政区と台湾省は含まない)を13億3000万人以下に抑え、年平均伸び率を0.9%以下に保ち、新生児の出生障害率を明らかに低下させ、計画出産の仕事に対する考え方や仕事の方式の転換を初歩的に実現するA2010年までに全国の総人口を14億人以下に抑え、年平均の人口出生率を1.5%に抑え、出生人口の質を明らかに高め、力強くコントロールし、効果的に管理し、政策や法規を充実させるという計画出産保障システムと執務メカニズムを逐次構築するB2020年までに、総人口を約15億人以下に抑え、出生人口の質を著しく高め、完ぺきな人口・計画出産政策の法体系を確立し、充実させ、計画出産にプラスとなる社会保障制度及び社会保障制度及び高効率の事務運営メカニズムを充実させることである。

1970年代以降、計画出産政策が全面的に実行されてから今日までの30数年間において、中国では出生人口が3億余人減った。1990年いらい、出産レベルには穏やかに低下する趨勢が見られ、出生率の総和は1990年の2.29%から2001年の1.80%に下がり、交替レベル以下に達し、そのうち、1998年の中国人口の自然増加率は初めて1%以下となり、20世紀末までに全国の総人口を13億人以下に抑える努力目標を達成した。

ここ数年来、中国の計画出産の仕事の改革と革新によって、人口をめぐっての方案に変化が見られるようになった。それは、目標としては、速すぎる人口の増加から低い出産レベルの維持へと転換し、人間の全面的な発展を促したこと、やり方としては、管理を主とするものから、サービスを主とするものに変わり、管理をサービスの中に組み入れたこと、仕事の分野としては、単一の計画出産から計画出産を含む母子ともに健康ということに広げられたこと、仕事の対象としては出産適齢の女性を主とするものから、男性、青少年を含むすべての関連のある人々に広げられたことである。中国政府は人口・計画出産の仕事に対する資金投下、特に辺境地域、貧困地域の貧困から脱却し、豊かになることに対する資金投下を増やした。

出産レベルの低下はここ数年来の中国の社会経済の高度成長及び教育レベル全体の向上と密接な関係がある。しかし、現在の中国の低い出産レベルは生産力が発達しておらず、社会保障システムが不完備である背景の下で達成されたものである。出産レベルにおいては異なった地域には違いや不安定の要因が存在しており、特に西部の貧困地区では、生産様式の立ち後れから、女性の教育レベルがかなり低く、女性の出産レベルに大きな影響を及ぼしている。

国家人口・計画出産委員会の王国強副主任は、中国は女性の教育レベルの向上を非常に重視し、同時に青少年がやがて健康な子を生み育てるようになるための教育に関心を寄せていると語った。

中国では、10歳から24歳の青少年が全国の総人口の26%を占めている。社会の経済、文化の発展の影響を受けて、彼らの性に対する考え方と性行為には大きな変化が生じており、健康な子を産み育てる問題とその必要が日ましに際立っている。王副主任は「われわれは思春期における将来健康な子を産み育てるための教育を正規教育の軌道に乗せ、関連政府部門の職責を確定し、約50%の農村の中学・高校及び90%の都市部の中学・高校と大学で思春期におけるそうした教育とエイズ予防に関する教育の科目を開設した」と語った。

中国の人口は世界人口の約5分の1を占めており、人口の基数が大きいため、中国の毎年の人口純増加数は依然として1000万人前後となっている。そのため、人口が多すぎることは依然として中国が長期にわたって直面しなければならない主要な問題となっている。

農村は中国の計画出産の重点である。過去30年間に、中国は約200万人の末端部門で計画出産の仕事に携わる人、8300万の計画出産協会のメンバーからなる計画出産サービスネットワークを開設した。数多くの計画出産の仕事に携わる人が直接農家に足を運んで、出産適齢者のためにサービスを提供した。農村と西部の貧困地区では、中国は計画出産の仕事を貧困扶助・開発と結び付け、一人っ子の身体障害、病気、死亡などで生活に困っている家庭を重点的に助け、これらの家庭ができるだけ早く貧困から脱却して豊かになるように努めている。

そのほか、都市部と農村の秩序整然とした人口の移動のために便利な条件を整えるため、中国は移動人口の計画出産統計と審査の制度の改革を急いでいる。

「全国移動人口管理ネットワークシステム」はすでに国家人口・計画出産委員会の統計・財務管理司と湖南省計画出産委員会によって共同で開発し、開設されている。

国連人口基金との協力

中国における計画出産の成果、中国が国際人口開発会議が開催されていらい、行動綱領を着実に遂行する面で上げた進展は大きな度合いにおいて、国連人口基金(UNFPA)などの国際機構と友人たちが長年らい、プロジェクト協力など様々な形でそれを促進し、協力してくれたことと切り離せない。4月8日に、張維慶主任は中国・国連人口基金第4周期項目の総括及び第5周期項目稼動の会議の開幕式でのあいさつで、次のように述べた。

中国政府と国連人口基金との協力プロジェクトは1979年に始まったもので、これまでに4つの周期、20余年を経て、積極的な成果を上げた。これは中国が世界の進んだ理念と科学的管理の方法を学び、参考にし、新しい考え方、管理の手法を身に付けた数多くの中堅を育成し、計画出産の全体としてのレベルを向上させるうえでこのうえなく重要な役割を果たしてきた。

張維慶主任はさらに次のように語った。

1998年に、中国と国連人口基金との協力のもとでくりひろげられた第4周期の健康な子を産み育てることと計画出産のプロジェクトが全国32の県で実施されていらい、県政府と計画出産部門の共同の努力の下で、プロジェクト文書の要求に基づいて、1994年にカイロで開かれた国際人口開発会議の「行動綱領」の趣旨を断固として貫徹し、困難に打ち勝ち、指標の割当額の撤廃、良質なサービスの推進や事情を知り、選択をすることで歴史的な一歩を踏み出し、非常に貴重な経験を蓄積し、全国の計画出産の改革、革新及び仕事の構想と方法を転換させるプロセスを加速させた。それと同時に、中国は国際人口開発会議の「行動綱領」の趣旨を基礎とすることを堅持し、一部勢力の妨害を取り除き、各国及び諸関連組織との友情を深め、協力を拡大した。

第5周期プロジェクトの31の試行地域は公開、透明の競争メカニズムを通じて、それを総合的に調査したうえで定められたもので、全国の31の省・自治区、直轄市をカバーするものである。同プロジェクトは4周期プロジェクトの内容を踏まえてさらに拡げられ、特にサービスの範囲を広め、サービスを提供する対象を拡大し、青少年の性教育と移動人口の健康な子を産み育てるためのサービスに関心を寄せ、エイズ予防・治療の問題に関心を持つことを強調した。それと同時に、改革の深化を全面的に推し進め、市場経済体制を逐次充実させることを背景として、同プロジェクトの実施は人口・計画出産分野の改革をいっそう推進することになっている。