外国人留学生の授業が再開へ

―――教育部はこのほど、大学ごとに外国人留学生の登校再開を許可するとともに、新規留学生の受け入れを例年通り行うよう求める通達を出した。

唐元カイ

北京語言大学のカナダ人留学生、ミッシェルさんはSARS(新型肺炎・重症急性呼吸器症候群)が北京で猛威を振るっていた時も帰国しなかった。国外にいる数人のクラスメートはミッシェルさんへの電子メールで、北京での感染が終息したので早く大学に戻りたいと伝えてきたという。

WHO(世界保健機関)が北京などへの渡航延期勧告と感染地域指定を解除したのを受けて、各省・自治区・直轄市の教育機関は教育部の通達に基づき、また現地のSARS予防対策本部の要請に応じて、大学ごとに留学生の登校再開計画案を許可する作業を始めた。各大学は計画が承認されれば、既に帰国した留学生に期間、グループ別に授業を再開することを通知するとともに、学習や生活を徐々に正常化していく方針だ。

北京大学は6月下旬、「広範な留学生に送る信書」を発表した。「休みの期間中に補習を行うことにしているので、学生の皆さんは早急に学校と連絡を取ってください。時間に分けて補習を実施し、教育計画を質的、数量的に達成することにしています」という内容だ。

SARSが発生した際、一部の留学生は緊急であったため再入国手続きを取らずに帰国している。教育部国際協力・交流局は同局が策定した『外国人留学生事業の最近の状況に関する通報』に基づき、留学生がビザを適時取得できるようにするため、大学の授業再開の通知に即して既に外交部に対し、再登校する留学生にビザの面で便宜を図るよう各国の中国大使館に通知するよう求めるとともに、公安局出入国管理局に対しては、中国に戻った後のビザ変更や居留証の再手続きなどがスムーズにできるよう要請した。具体的内容は以下の通り。

1.外国人留学生が中国に戻った後に「X」ビザを申請する場合、登校再開通知書の原本、またはファクシミリと学生証を提出しなければならない。大学はJW202表(外国人の中国留学ビザ申請表)の再手続きを行う必要はない。関係する大学は帰国した学生に登校再開の通知を送付するとともに、大学のホームページで授業再開と新入生の入学計画を公表する。

2.外国人留学生が提出したビザ申請書類が前記の要件に合致しない場合は、外国の中国大使館(領事館)に対し学生に「L」または「F」ビザを発給して入国できるよう協力を要請する。

3.外国の中国大使館(領事館)でビザの手続きができなかった学生は、大学の公式文書、登校再開通知書を持って空港のビザ発給機関で手続きを行うことができる。

4.外国人留学生が前記のビザ変更と関係証明書の手続きを行う場合、在籍する大学が統一して公安機関で手続きを行わなければならない。留学生が「L」または「F」ビザを持って入国し、有効な居留証を所持している場合は、留学生本人が『ビザ・居留証申請表』に記入し、公安機関で直接、変更手続きを行うことができる。

多くの大学の学長は、授業再開と新規留学生の学業達成のためできるだけの支援をしていくとの姿勢を示している。教育部も留学生の受け入れを平常通り行っていく方針だ。

清華大学外国人留学生工作弁公室によると、SARS感染の影響で、5月17日と18日に予定していた法学や中国文学、経済学など留学生の本科入学試験を7月9日と10日に延期することにしたが、北京に残る少数の学生に配慮し、その要望を受け入れて従来の日程通り試験を実施するとともに、7月にも行うことを決め、どちらの試験も有効とすることにした。大学側は健康と安全面からできるだけ7月に受験するよう呼びかけ、申込者約300人のうち大多数が7月に受験している。

現在、大部分の大学はそれぞれの状況に基づき、新規留学生の入学時期の確定や実状に即したカリキュラムの制定を行っているところだ。

北京大学に今年入学する留学生は『北京大学入学通知書』のほかJW202表、『外国人体格検査記録』、血液検査表などを持って9月1日から3日までに入学手続きを取ることになっている。

また北京大学ではその他の大学と同様、9月1日以降、全ての留学生は在学期間中、不慮の事故による障害や入院が適用される医療保険に加入することが義務づけられる。

現在、全国の大学が受け入れている留学生の数は、1949年の新中国建国当時は5カ国、30人余りだったが、既に170カ国から延べ46万人まで増えている。そのうち中国政府の奨学金を受けた学生は約9万人。この10年近くの間に留学生は最も急増し、累計で41万人に達した。なかでも過去5年は突出しており、累計24万人とその前の5年間に比べ2.5倍増加している。教育部留学サービスセンターの邵巍副主任によると、留学生の数は毎年5000人余り、年率30%超のスピードで増加しているという。

外国人留学生を受け入れている大学は全国で約400校を数え、設置している全ての学科を受験することができる。以前は中国語が全体の80%以上、次に漢方医学、戯曲などの中国伝統芸術の順となっていたが、現在は経済や管理、法律、科学技術、建築、エンジニアリングなどを専攻する学生も少なくない。また「中国ビジネス」など留学生を対象に開設した専門学科も人気が高い。北京体育大学では武術や気功などが留学の最大の魅力となっている。

留学はこれまでアジアやアフリカなど発展途上国の学生に人気があったが、今では米国やフランスなど欧米諸国からの希望者も多い。

教育部国際協力交流局によると、以前は学位を取得する学生は非常に少なかったという。だが、90年代から学位をめざす学生が増え始め、現在では半数を占める。修士や博士取得を狙う留学生も急増している。MBAでも中国は“独自ブランド”を確立しており、清華大学では既に21人の学生がMBAを取得した。

留学生は学位取得で中国を選んだ理由について「教育の質が向上しており、卒業証明書の価値は世界的に認められ、学費も安いからだ」と説明する。

SARS感染が終息して以降、教育部は『2003年事業要綱』に基づいて、留学生管理の仕事を積極的に進めるとともに、留学生の教育・生活管理制度のさらなる改革と完備に乗り出した。

教育部のほか、地方の教育委員会も政策を制定している。例えば、北京市教育委員会と市政府外事弁公室、市公安局などは共同で「外国人留学生のアルバイトによる学費支援」策を打ち出し、留学生は今年から自由に教師などのアルバイトができるようになった。

教育管理レベルを強化・改善するため、北京市教育委員会は60余りの留学生受け入れ資格のある大学と科学研究所について評価調査を行い、最終的に9校の大学が「先進事業体」に指定されたが、9つが管理制度の不健全あるいはソフト設備の不完備などを理由に期限までに改善するよう求められている。

2002年末現在、北京の外国人留学生は2万5000人超。北京市教育委員会対外協力交流処の宋立軍副処長は「計画では今後、北京が受け入れる留学生の数は年5%ずつ増えていく。受入事業体が設備充実のため投じた資金は昨年、合計2億元にのぼった。ソフトの整備でも、教育委員会は各大学を組織して外国が主催する大規模な教育展に参加したり、留学生に内国民待遇を与えるよう求める規定を設けたほか、専攻学科や履歴・学歴などの情報を入力した留学生データベースを整備し、必要とする企業に随時、提供できるようになった」と説明している。