土地市場の適正化

―――束克欣・国土資源部土地利用司副司長に聞く

政府は土地使用の面で多くの問題があることを認識するとともに、土地市場を適正化し、土地利用の持続可能な発展を促進するため、市場秩序の大規模な整理強化に乗り出した。本誌の蘭辛珍記者はこのほど、この問題について国土資源部土地利用司の束克欣副司長にインタービューした。

蘭記者 土地市場は総体的に発展に向け良好に運営されていますが、一部解決の待たれる無視できない問題も存在しています。状況はどうなのでしょう。まず、歓迎できる点について。

束副司長 国有地の有償使用に関する原則が既に確定されたことです。統計によりますと、

有償使用と市場の配分による国有地が都市の国有建設用地に占める割合は、1992年は2%未満でしたが、2002年には24%まで上昇しました。入札や競売、指定業者による国有地使用権の譲渡面積は同1%弱から15%に増えており、2003年上半期現在では、全国で譲渡された土地は4万7000ヘクタールに達し、うち入札や競売、指定業者による割合が33.8%を占めています。現在、国有地使用権市場での取引は非常に活を呈していて、譲渡や賃貸、担保でいずれも数量、金額とも増大を続けています。

蘭記者 土地市場の育成についてはどうでしょう。

束副司長 市場のメカニズムが確立されつつあり、市場環境は徐々に改善されてきました。国土資源部は建設用地の供給総量、都市建設用地の集中供給、土地使用権の公開取引、基準地価の定期的公表、土地登記関連資料の検索、集団による決定など、6項目からなる土地市場の適正運営に関する基本的制度を明確にしました。そして相前後して、『入札・競売・指定業者による国有地使用権の譲渡に関する規定』や『国有地使用権の協議譲渡に関する規定』『振り分け用地の目録』『遊休地の処置運用法』をはじめ、関係機関の土地市場整備に関する規約も制定しています。現在、全国1198の市や県に土地有形市場が設立されていますが、業務要員と機関を結ぶ情報公開システムもほぼ整っており、市場の仲介サービス機構も育成されて発展しつつあります。

蘭記者 では、憂慮すべき点は何でしょう。

束副司長 公開入札の比率が低いことです。法律では、都市部の国有地の市場による配分、あるいは有償使用の比率は40−50%前後に達しなければならない、と規定されていますが、2002年は僅か24%で、なかでも入札や競売、指定業者など、市場価格競争方式による使用権の譲渡面積がその年の譲渡総面積に占める割合は15%に過ぎません。都市の内外では企業改革や土地用途の調整に伴い、大量の国有建設用地が市場による配分あるいは有償使用を必要としています。農民の集団建設用地も数量が膨大で、生産・経営に使用されている土地も市場を通じて配分されなければなりません。また一部の指導幹部は、口頭やメモの形で供給地の対象や場所、面積、価格を指定するなど、経営用地使用権の譲渡作業が妨害されています。入札や競売、指定業者によって譲渡すべき土地を、協議ひいては振り分け方式で譲渡したり、低価格にしたり、勝手に土地譲渡金を減免したりする例が多く見られ、市場メカニズムによる土地資源の配分に影響が出ているのです。

蘭記者 土地市場に関する法規の実行状況はどうなのでしょう。

束副司長 法規や各制度はまだ有効に執行されていません。一部の地方では統一管理制度が着実に実施されておらず、違法に用地を計画したり、勝手に土地審査認可権を与えたり、とくに不動産業者が郷(鎮)や村と一緒になって違法に、私的に用地協定書に調印して不動産開発を行っており、政府の土地供給総量の規制や耕地の保護に重大な影響を及ぼしています。また投資の業績を上げようと、地域間で土地値下げ競争をしているため、土地資源は浪費され、また流失しており、こうした状況はとくに、工業用地で深刻となっています。

一部の地方は工業団地を違法に乱造しており、問題は多くしかも重大です。土地利用の総合計画や都市計画に違反して様々な名目で団地を設立して大量の土地を占有し、しかも団地に違法に土地審査認可権を与えているのです。団地造成用地では、権限を逸脱した土地認可、違法な土地占有、違法な土地供給、土地の浪費などの問題が存在しており、一部の団地が様々な名目で取得した土地はその後、大量に住宅開発に振り向けられています。

その一方で、関連改する革は遅遅として進んでいません。一部地区では今でも計画経済時代のやり方そのままに、計画立案や計画指定地を先行させて土地使用者を確定しているのです。土地の審査認可が事後に回されているため、客観的な立場から土地を供給することができず、経営用地の使用権の入札や競売、指定業者による譲渡制度も有効な実施が妨げられています。

蘭記者 現在の土地市場に存在する重大な問題に対応するため、国土資源部はどんな具体的措置を講じているのでしょうか。

束副司長 国土資源部は去年から、市場の整備強化に乗り出しました。『入札・競売・指定業者による国有地使用権の譲渡に関する規定』を公布し、「同一の土地に対し2件以上の用地申し込みがある場合は、入札や競売あるいは指定業者を介して譲渡しなければならない」と明確に規定しました。今年6月25日には『国有地使用権の協議譲渡に関する規定』を公布して、「土地を協議譲渡する場合は、譲渡計画を公開し、用地選択者を公開し、地価を集団で決定し、協議結果を公開しなければならない」との規定を設けました。また各団地の用地や違法占有された土地、不法取引、管理の緩みなど4点を重点にした集中整備作業計画を策定して、今年2月から20余りの省(自治区・直轄市)で実地調査を行ってきました。さらに『各団地の用地を整理して土地の供給規制を強化することに関する緊急通知』も出しています。違法に設立した団地を整理する、違法な土地審査認可権の委譲を禁じる、いかなる事業体、個人であれ、農民の集団の土地を商品住宅として開発することを禁じる、いかなる事業体、個人であれ、郷・村と土地を協議占有することを禁ずる、土地の供給総量、とくに住宅とオフィスビル用地の供給量を厳格に規制するとともに、別荘用地への土地供給を停止する、土地市場に関する情報の収集・分析・公表を強化するとともに、土地市場などに関する一連の規定と要求を即時に誘導・調整する、こういった内容について規定を設けています。

蘭記者 今後の土地市場の総体的目標は何でしょう。

束副司長 土地資源の市場による配分、という基礎的な役割を十分発揮させ、政府による土地市場調整の能力とレベルを高めるとともに、都市・農村部の国有、集団建設用地の統一された市場配分を実現して、土地の利用効率を大幅に高めていくことにしています。また、いくらかゆとりのある社会の全面的建設では土地の面から支援し、経済・社会の持続可能な発展を促進していく考えです。

市場配分による土地の範囲を拡大し、法に基づいて取得するようにさせ、計画に合致する集団建設用地の使用権は市場取引に組み入れていく。事業体や個人の使用に振り分けた土地が生産・経営に用いられる場合には段階的に有償使用とし、生産・経営に用いられない場合には段階的に試算として査定していくことにしています。

土地市場の運営規範を更に完備していくつもりです。市場公開の程度を高め、経営に使用する土地の使用権については入札や競売、指定業者による譲渡制度を全面的に実施していく。協議譲渡についても、土地供給計画や集団による決定、取引過程、取引結果を公開させる。法の執行を公正にすることで、様々な市場の取引主体を平等に保護するとともに、土地供給と取引での平等な競争を保障して、公正な土地市場秩序を確立していくことにしています。

土地市場の調整能力とレベルも引き上げていく方針です。市場運営に対する監視と分析を強化して市場情報を公開するとともに、迅速に対応できる体制を確立して状況をしっかりと把握し、即時に市場を調整できるようしていきます。

補償メカニズムを完備し、土地接収制度も改革していきます。農民の土地財産権を十分に尊重したうえで、新たな土地接収制度と補償メカニズムを確立し、接収による補償費については、その土地の従来の用途価格と土地を失う農民の社会保障費を合算して決めるようにするとともに、土地を失った農民を当地の就業・社会保障システムの対象に盛り込むことにしています。

蘭記者 土地市場を適正化するために今後、主にどんな措置を講じていくつもりですか?

束副司長 まず、法制の整備を強化するつもりです。『土地管理法』を改正するとともに、『土地接収利用条例』の草稿作成に着手して、土地接収制度を改革していくつもりです。

次に、政府の市場管理では建設用地の総量強化と構造調整を重点にしながら、計画に対する管理を強化することにしています。開発区を設立する場合には、土地利用の総合計画に合致させるようにし、合致しない計画は一律、取り消すことにします。土地関連の法律を厳格に執行し、計画違反の土地占有を厳しく取り締まり、土地の購入準備制度を完備させていく方針です。

第3は、市場運営の監視を強化して、監視・分析・予測・警告システムを整備するとともに、情報などの新技術を十分運用することで、市場の運営状態を的確に把握し、迅速に調整が実施できるようにしていきます。

第4は、市場経済にそぐわない土地取引のプロセスを改革し、経営用の土地使用権は一律、入札や競売、指定業者に譲渡させることで、市場が使用者と地価を決定するようにしていく。さらに協議譲渡の行為をより適正化して、政策的に優遇する用地を規制・適正化していくことにしています。

第5は、経済・法的手段を総合的に運用して、農民の土地財産権を保護していくことにしています。現在、行政権や管理権の行使による農民の土地財産権の侵害が頻繁に起きていますが、農民という弱者を着実に保護するとともに、財産権を犯した場合には、農民に損失を与えた事業体、個人に経済賠償と法的責任を科すことにしています。