国内で育った人と外国から帰ってきた人のどちらが適任か

現在、中国に二種類の人材が引っ張り凧となっている。一種は外国に留学し、大手国際企業で働いた経験のある人で、もう一種は中国国内で育った土地の人である。この二種類の人材のうち、どちらが中国の企業にとってもっと重要か。

事実上、外国留学と国内育ちの選択は、近年来国内企業界でずっと論争されている問題であるが、この二種類の人はどちらもそれ自体に局限性がある。外国へ行った人は理論知識と経験を豊富にもっているが、中国を長年離れて、中国の市場、政策、法律および世故にうとく、国内で育った人は相対的に言って専門知識や世界を見る眼光がなく、近視眼的で視野が狭く、管理が適切でない。これらはいずれもそれぞれの発展を制約している。そのため、それについての論争もなかなか定説が得られない。

そのため、「新華商」という概念を打出し、それはこれまで言ってきた商人とも違っていれば、計画経済体制下の企業家とも違っており、知識化、国際化した新たしい世代の中国商人(国内で育った人と留学した人を含めて)を指すと見る人がいる。「新華商」は企業家、商人に局限されず、革新の精神をもち、ビジネス活動にかかわっている弁護士、会計士、職業代理人および各業種のエリートも含まれている。自身が強大になるにつれて、これらの人は中国の経済と商工分野でますます重要な役割を果たすことだろう。

国内育ちの企業家の方がもっと適任だ

聯想グループ総裁の柳伝志氏 内部から抜てきされた指導者は、企業により感情をもち、責任感がいっそう強い。企業家はまず理想と抱負がなければならず、それから能力がなければならない。能力とはなにか。簡単に言って、それはすべての能力を一つに合わせた学習能力である。それから先天的な能力である。これらは優れた企業家にとってはなくてはならないものである。

私は降下兵の導入には絶対に反対しない。というのは、聯想には降下兵が大勢いるからだ。私が言っているのは、導入してすぐ総裁になることに賛成しないことだ。というのは、導入した降下兵の背景が違っており、共通した文化という型がなければ、物事を運びにくくなる。型や企業の文化は改めてもよいが、この文化を完全に尊重しないわけにはいかない。これには時間がかかるので、すぐにも総裁になることができない。

WTO加盟中国交渉代表団団長竜永図氏 二種類の人材はともに必要なので、絶対的判断を下すのはむずかしい。中国の現状から見て、国内で育った人材をより必要だ。というのは、中国は何千何万もの人材を必要としているが、海外から帰ってきた人は畢竟少なすぎて、中国の「WTO」加盟後の人材に対する大量需要を満たすことができないからだ。数量から言って現実的でなく、しかも中国の人材構造と人材資質を根本から改めることができない。

私は海外から帰ってきた人をけなそうとは思わない。彼らもとても優秀だと思っている。しかも、中国の国情から見て、いまいちばんさし迫った問題は国内で育った人の資質をできるだけ速く高めることだと思う。しかも海外から帰ってきた人と国内で育った人の間にも相互学習の問題があると思う。国内で育った人は規則意識、競争意識、職業道徳意識を強化すべきだ。WTO加盟がわれわれの社会生活にもたらすいちだん大きな変化は、われわれが子供の時から手をつけ、本当に規則をわきまえ、職業道徳を重視し、職業責任感をもつ人を育て上げることだ。私が大手企業や会社の高級指導者であるならば、指導者は基本的に国内で育った人を任用するが、海外から帰ってきた人の専門知識や長所を重視し、中間指導者の段階では彼らをより多く任用するかもしれない。

海外から帰ってきた人の方がもっと適任だ

米ハーバート大商学部EMBA、新華信諮詢公司会長趙民氏

柳伝志総裁の見方の多くに制約条件や前提条件がたくさんあると思う。わが国の経済体制は転換が始まってから18年になるが、そのうちの17年間はWTO加盟しておらず、そのためゆっくりそれに適応する時間がたくさんあり、いろいろ誤りを犯しても、ゆっくりと改めることができた。しかし、WTO加盟してから、このようにゆっくり改めることができなくなった。だから、降下兵をどう成功裏に導入するかが最大の問題となった。これは企業家としての指導力を示すものだ。

中銀国際総裁李山氏 私は柳伝志総裁が言ったような、企業の中から抜てきされた人ではなく、私は降下兵で、しかも着任するや総裁になった。いま最も強く感じているのは中国と外国の投資銀行間の格差だ。中国がWTOに加盟してから、外資は証券、投資銀行で33%まで株式を保有することができるようになり、しかも3年後には全面的に自由化する。相手がどれだけ強大であるかを知っている。人材の挑戦はすでに始まった。優れたサービスを提供する面では、中銀国際は有力な経験がなく、職員の資質も市場の必要を満たすことができない。

全国工商業連合会執行委員、教授閻陽生氏  民営企業は20年に及ぶ市場経済の荒れくるった開拓を経て、130余万社を擁するぼう大な陣営となっている。初期の民営企業家は資本のぼう張と業務とともに、その学識と専門業務の欠陥が突出してきた。ことに中国が法制社会に入り、WTOに加盟したあと、二つの系統が並存する空白な状態と法律の真空の中で、肝っ玉と頭の回転のよさで物事を処理するやり方はますます思うようにならなくなり、政策決定を助け、代わって経営する職業代理人がいっそう必要になってきた。

しかし、中国の職業代理人は不足している。中国は何千何万ものMBA専門人材を養成できるとはいえ、外国の職業代理人の運営規範と職業道徳をつくることができない。

新しい世代の民営企業家のうち、海外から帰ってきた若い知識型の人が少なくない。彼らは国内のやり方になじまないという陣痛を経歴しているが、相変わらず社会各界が持続的に関心をもつ話題となっている。現代の企業はCEOをさし迫って必要としており、いまは人材を呼び招く時代である。

WTO加盟後に中国が最も欠けているのは新華商

中カ経済促進会会長王輝耀氏 実際には、海外から帰ってきた人と国内で育った人はともに「新華商」という語で概括することができる。これはこの二種類の人の間の意味のない論争を減らせるだけでなく、理念、本質の面から人材に対する認識を高めることもできる。

人の頭脳の中に往々にして外国で暮らしたことがあり、数カ国の言語を話せる人材だけが国際化した人材だと思う誤った認識が存在している。だが、実際はそうではない。国際化した人材は地理意義上の概念ではなくて、文化、心理面の概念なのである。真に国際化した人材は国際文化、ビジネス、違う民族と違う国際慣例をはっきり理解し、どこへ行っても適応し、大きな趨勢の中から自らの発展を悟れる人であるはずだ。

それでは、新華商はどういう基本的資質をもっているべきか。以前のようないわゆる「有能企業家」は決して新華商の代表ではない。新華商は一種のディレッタントであり、彼らは知識性、国際化した観念、市場観念が強く、流動性が高く、外国語、ITおよびインターネットなどの専門知識に精通し、東西両方の商業化運営を熟知した新しいタイプの商人である。中国の企業にないのはこれだ。国内で成功を収めた多くの国有企業と民営企業に「有能人の指導」という目立った特徴があるが、このような企業には生命力がないことを運命付けられている。中国の企業はWTO加盟という新しい情勢の下でなにかをやろうと思うなら、国際化の背景をもつビジネス人材、つまり「新華商」はどうしても必要だ。

中山大学管理学院教授呉能全氏 実際には、高等教育と訓練を受けたことがあり、国情と戦略をわきまえている多くの人材が国営と民営企業から遊離している。私はそれを「本土多国籍企業派」と呼んでいる。この種の人は国内の大学できわめてすばらしい高等教育を受け、多国籍企業で働いたことがある。

外国をかけめぐり、実際には大手多国籍企業の養成と訓練を受けたことがあり、国際通用の規則にもとづいて事を運ぶ実践の経験があり、外国語を運用する能力も絶対にひけをとらない。彼らが受けた系統だった教育は彼らに持続可能な発展の後続力を与えている。海外から帰ってきた人と比べて、彼らは中国の市場をかなりよく知っている。

そのため、これらの人――「本土多国籍企業派」はその他の人の群れに取って代わって、多国籍企業およびその他の性格をもつ企業の中堅となっている。人的資源市場が統一的に開放する状況の下で、各方面の人材は、どこから来たかをとわず、最終的には「本土多国籍企業派」に帰することになろう。