李肇星外交部長、東京の記者会見で中日関係について語る

日本訪問中の中国の李肇星外交部長は8月11日午後日本記者クラブで行われた記者会見で、中日関係、朝鮮半島の核問題などについて記者たちの質問に答えた。

『読売新聞』記者が朝鮮半島核問題の六者会談の時間と形式について出した質問に答えた際、李肇星部長は、中国はいまこの問題について他の五者と協議中であり、中国側は対話を通じて朝鮮半島問題を平和裏に解決し、半島の無核化を実現することを主張している。このため、中国は長期にわたって辛抱強く努力を積み重ねてきたが、われわれは日本がこの問題の上で建設的な役割を果たすよう望んでいると述べた。

フジテレビ記者の六者会談の成功概率について出した質問に答えた際、李肇星部長は、次のように述べた。私は六者会談の成功に非常に自信をもっている。というのはこれが各側の利益に合致し、地区と世界の平和と安定にも有利だからである。当面、関係各側はともに平和手段で問題を解決するよう努力したいと表明した。日本側も建設的な役割を発揮したいと表明した。われわれはこれに歓迎の意を表明する。六者会談は4月の北京会談の継続であり、中国側は関係各側とこれについてたゆまず努力を傾け、成果をあげるように六者会談を推し進め、このプロセスを進めていって、最後に半島の持久的な平和と安定を実現することを願っている。

『朝日新聞』記者の出した中日関係における歴史認識の問題をどう見るかという質問に答えて、李肇星部長はこう述べた。中日両国間の歴史認識問題について、私は3点述べたいと思う。第一は、中国人民が原則を重んじているということである。当面の国際関係における最大の原則はとりもなおさず国と国が平等に相対し、平和的に付き合い、戦争に反対し、互恵協力を強化し、ともに発展することである。これはつまり日本が戦後に平和憲法を堅持し、平和と発展の道を歩むことをわれわれが高く評価する所以である。日本軍国主義の起こした例の戦争は、中国とアジアの他の国々に空前の大きな災難をもたらし、日本人民もその害を深く受けた。この期間の歴史は正視することしかできず、抹殺することができない。この期間の歴史を正しく認識し、これに正しく対処し、歴史を鑑とし、目を未来に向けることは、中日両国の善隣友好協力関係の発展に対し重要な意義がある。これはすでに中日両国政府の共通の認識となっている。

第二は、中国人民が道理をわきまえていることである。われわれはこれまでずっと日本人民を少数の軍国主義分子と区別しており、いまの人が当時の戦争に対し責任をとれと言っているのでもない。広範な日本人民が平和と発展の願望を堅持していることをわれわれは称賛する。日本の一般民衆が戦争で死んだ身内の人を哀悼するのはまったく理解できることである。というのは、これらの死者も軍国主義の被害者だからである。A級戦犯は一般の戦死者ではなく、過去の戦争に対し重要な責任を負っている。これらのA級戦犯が靖国神社に祭る対象になってから、日本の指導者は確かにこれ以上参拝に行くべきではない。

第三は中国人民が友情を重視していることである。われわれは中日両国の延々2000年も続いてきた友好往来と両国人民の長期にたわる相互学習、相互参考、共同進歩の歴史をとても大切にしている。例の期間の不幸な歴史を忘れないのは、ほかでもなく友情を重視し、両国人民の伝統と今日の互恵協力を強固にし、強化するためである。われわれは日本人民が中国の改革・開放と現代化建設に積極的な協力を与えたことを非常に感謝し、また過ぎ去ったばかりの中国の新型肺炎を防除する闘争の中で日本側の与えた貴重な支持も忘れないであろう。われわれは心から双方の共同の努力を通じて中日関係を真に歴史の暗影から歩み出させることを望んでいる。

『日本経済新聞』記者が中国は米日など諸国に人民元の切り上げを要求する人がいることにどう対処するかと質問した際、李肇星部長は次のように答えた。

日本とアメリカはともに中国の重要な貿易パートナーであり、相互の経済貿易協力を強化するのはそれぞれ自国人民の根本的利益に合致する。私は小泉首相の見方を称賛する。中国経済の発展は日本にとって脅威ではなくてチャンスなのである。

一国の為替レート政策はその経済発展段階、金融監督管理レベル、企業の受入れ能力などの要素に基づいて決定されるものである。中国の現行の為替レート制度は中国の実際の国情に合致している。外部はこれをいくらか誤解しているところがある。中国の貿易輸出は日本、アメリカの経済総量と比べてとるに足りないものであり、日本のGDPの2%、アメリカのGDPの1%にもならず、日本とアメリカの経済に影響するのは不可能である。

歴史の経験は注意に値する。1997年にアジア金融危機が現れた時、人民元の切り下げを要求する人がいたが、われわれは自国の状況に基づき、アジア各国の利益のために、若干の代価を払ったが、人民元の為替レートの基本的安定を保ち、アジア金融危機の衝撃を成功裏に防ぎとめ、中国経済と金融の安定を促し、金融危機のいちだんの拡散を回避して、国際社会から称賛され、アジアの経済、金融の安定に大きく貢献した。いまは人民元切り上げの論議を前にして、中国政府は依然として厳粛、慎重、責任を負う態度でこれに対処するであろう。事実も最終的には人民元の価値の基本的安定がアジア太平洋地域ないし世界の金融と経済の安定に有利なことを証明するであろう。