やがて世界の大市場となる中国

魯皮

今年以来、中国の輸入は望ましい成長の態勢を保っている。呂福源中国商務部部長は先般、中国は世界各地からさまざまな必要な製品を輸入することを望んでおり、中国の輸入増加は、中国経済と周辺諸国および貿易パートナーの発展に役立つものであると語った。

ここ数年、中国の輸入は急増をつづけ、とくに今年上半期の急増は顕著なものがある。中国税関の大まかな統計によると、2003年1月から8月までの全国輸出入総額は昨年同期比36.3%増の5227億2000万ドルであり、そのうち、輸入額は昨年同期比40.6%増の2569億3000万ドル、輸出額は昨年同期比32.5%増の2657億9000万ドルで、貿易黒字は昨年同期比50.4%減の88億6000万ドルである。8月の輸入額は昨年同期比27.3%増の346億2000万ドル、輸出額は昨年同期比27.2%増の374億2000万ドルで、貿易黒字は昨年同期比26.2%増の27億9000万ドルである。

中国商務部のタイムテーブルは、中国の輸入規模拡大の速度を顕示している。それによると、2010年に、中国の輸入額は2年で1兆ドルに達し、2020年以後になると、毎年の輸入額は1兆ドルを超える。中国の輸入額は1996年から2001年までの6年間で1兆ドルであり、1998年から2002年までの5年間の輸入額は1兆ドルであり、輸入額が1兆ドルに達する時間はますます短くなっている。

世界銀行はさる9月8日北京で公表したレポートによると、中国がWTOに加盟してから貿易は急速に成長し、2005年に、中国の輸入額は世界の国内総生産の3%から6%に増える見込みである。

呂部長はこのほどインタビューに応じた際、中国の外貨準備が充足しており、経済成長が必要とすれば、中国は多く輸入することを主張する。これは経済成長の必然的なすう勢である。中国が輸出を拡大すると同時に、輸入を増やしているが、こうすれば、中国経済の発展に役立つだけでなく、周辺諸国および主要貿易パートナーの発展にも役立つ。中国は世界各地からさまざまな必要な製品を輸入することを望んでいる。今後の20年に、中国は世界二番目の大市場になるだろうと語った。

輸入を拡大し、輸入を奨励する

中国はすべての貿易パートナーに「中国は2020年に世界二番目の大市場になる」ことを明らかにした。伝えられるところによると、現在、中国が携帯電話、家電、セメントなど100余種の商品の市場スケールは世界第一位を占めており、その他の一部の分野においても中国市場は急速に大きくなっている。中国は世界最大のコンピューター市場になることを望んでいる。

2010年前後、中国のGDPは2000年と比べて倍増し、貿易目標も相応に倍増する。2000年の中国の貿易総額は4700億余ドルであったが、2010年の輸出入総額は1兆ドルに達し、このレベルでは、輸入額はほぼ5000億ドルに近づく。

商務部の関係者によると、2010年の市場規模が2000年より倍増するという見積もりはいささか控え目な数字であるかもしれない。自動車を例として見ると、3年で、中国の市場規模は倍増した。2000年の中国の市場規模は200万台だったが、2002年は335万台となり、今年の1月から6月までは212万台で、年間に400万台を越える見込みである。

中国の輸入急増の原因にふれて、呂部長は次のように語った。中国の経済発展は輸入が急増する最も主な要因である。今年上半期、中国経済はSARSの影響を受けたにもかかわらず、基本的には衝撃を受けず、経済成長は全般的に速いものであった。経済成長で、かなり多くの原材料と部品を直接輸入する必要がある。WTO加盟時の約束を履行することは輸入が大幅に増加するもう一つの原因である。今年は中国のWTO加盟の2年目であり、加入時の約束で、中国は関税をかなり大幅に引き下げた。IT産業などの一部の分野では、中国はゼロ関税の協定にも加入しており、そのため、一部のIT製品の輸入量はかなり多い。そのほか、イラク戦争の影響を受けて、第1・四半期の石油の輸入価格が高かったため、上半期の輸入額はかなり大幅に増加した。

中国の輸入急増は中国が世界各国の重要な市場となることを意味している。急速に増大する輸入規模は他の国々の経済発展に寄与している。1997年に起きたアジア金融危機の中で、人民元は切り下げなかったが、これはアジア金融危機の克服に貢献した。こればかりではなく、金融危機後、中国はわりに短期間に1兆ドルの商品を輸入した。これも同様にアジア金融危機を克服し、世界経済の成長を促すことに寄与した。

輸出入は1、2年内に均衡を実現

中国の貿易は黒字か赤字か、それを予測するのは容易なことではない。多くの国と違って、当面の中国の貿易体制は改革と変更をわりに速く行う時期にある。2001年末、中国はWTOに加盟したが、これは貿易体制が一連の改革を行わなければならないことを意味する。多くの人は中国の輸入額は今後大幅に増え、輸出の増加を大きく上回る可能性があると予測している。原因ははっきりしている。中国の関税は確かに実質的に引き下げられた。輸入割当管理を含む非関税措置は厳しく規範化され、サービス貿易はいちだんと開放される。これらすべては輸入の著しい増加をもたらす。事実上、2002年の中国の輸入は確かに急増したが、輸出も急増した。その年の対外貿易黒字は304億ドルに達した。

WTO加盟後の5年内に、中国は毎年関税を引き下げ、数量制限を減らし、約束通りに、金融分野、通信分野を含むサービス業貿易をいちだんと開放することになっている。今年は年初から輸入が急増し、その速度は輸出の増加よりはるかに速いものである。上半期の貿易黒字は45億ドルに減った。全般的に見て、今年の輸入の成長率は輸出の成長率より約9ポイント高いものである。このすう勢で発展すれば、輸入の増加は輸出の増加よりはるかに大きくなる。そうすれば、ここ1、2年内に輸出入はバランスがとれるようになり、黒字が消える。

専門家の見方

商務部国際経済貿易合作研究院の李雨時副院長はこう見る。当面の経済情勢から見ると、輸出より輸入の方が中国経済の発展に役立っている。たとえば、外国の先進的な機械設備の輸入は中国の産業構造のグレードアップを促し、労働生産性を高め、生産コストを節約する。ある程度において、機械設備輸入の方が外国の金融資産に投資することよりも中国に実際の経済的利益をもたらすことができる。同時に、輸入の増加は中国の多額の外貨準備を消化し、人民元への国際社会のプレッシャーを軽減することができる。

輸入の急増は人民元切り上げのプレッシャーを軽減することもできる。北京天則経済研究所の張曙光氏の考えでは、人民元の切り上げは中国製造業の競争力をじかに弱くし、外資の中国流入の吸引力を小さくする。為替レート引き上げのプレッシャーを軽減するためにとるやり方の一つは適当に輸出を増やすことである。中国はすでに貿易の大国であり、輸入を通じて中国経済の質を向上させることができる。

国家統計局のよう景源経済総経済士はこう見る。中国はいま輸入の急増期にあり、世界経済の回復に寄与している。今年上半期の中国の主要貿易パートナーからの輸入額の伸び率はいずれも30%を上回り、そのうち、日本、韓国、東南アジア諸国連合からの輸入額はいずれも50%を上回り、アメリカからの輸入額の伸び率も39.9%に達している。これほど大きな輸入量は、中国の貿易パートナーの経済に活力を注ぎ、世界経済の緩慢な回復に寄与している。