中国、発展途上の市場経済国に

国務院発展研究センターはこのほど、「25年の改革開放、特にここ10年ほどの努力により、中国は社会主義市場経済体制をほぼ確立し、発展途上の市場経済国となった」という研究結果を発表した。

国務院発展研究センターなどの専門家は、中国で社会主義市場経済体制が確立されたことを示す要素として、次の5点を上げた。

(1)公有制を主体とするさまざまな形態の経済が発展する構造がほぼ完成した。国有経済は構造改革の加速により着実な発展をとげており、国有資産総額は2002年末に11兆元を突破した。国有経済がGDPに占める割合は低下しているが、影響力や効果は徐々に向上している。また、非公有経済が目覚ましい発展をとげ、国民経済を支える重要な柱となっており、GDPに占める比率が3分の1を超えた。

(2)市場経済体制がほぼ確立され、生産に関する要素の市場化が進んでいる。各地を網羅し、サービスが行き届き、種類が豊富に揃った商品市場システムがほぼ整った。商品とサービスの価格はほとんど市場競争によって決定されている。政府の指導に基づく計画生産は、木材、金、巻きたばこ、食塩、天然ガスのほかすべて廃止された。現在、商品資源の分配は95%以上が市場に主導されている。

(3)マクロコントロールシステムがほぼ確立された。間接コントロールを主体とし、比較的形の整ったマクロ経済コントロールシステムが役割を発揮し始めている。計画指導型から経済手段、法律手段、必要に応じた行政手段を運用するシステムへの移行、直接コントロールから間接コントロールへの転換がほぼ終了した。税収、利率、価格、投資政策などの総合的な運用により、経済の動きが調整されている。マクロ調整の重点はミクロ経済への干渉から市場の需給総量の調整に移行した。

(4)労働に応じた富の分配を主体とし、さまざまな分配方法が並存する形式が発展している。資本、技術、管理など生産関連要素が分配に関与する新制度が形成されつつあり、各種労働収入と合法的な非労働収入は国の保護を受け、社会に認知されている。一次分配(生産行為に伴う富の分配)については、引き続き効果と貢献度を基準とし、再分配(生産行為に関係しない富の分配。医療・教育など社会サービス、社会福祉への分配などが含まれる)では社会公正の維持と保護に重点が置かれる。これにより、さまざまな市場主体の生産への積極性が奨励されている。

(5)社会保障制度の整備が順調に進んでいる。養老保険、失業保険、医療保険と都市部の最低生活保証を主な内容として、企業・事業体から独立した社会保障システムがほぼ完成した。2002年末現在の全国の保険加入者数は、労働者基本養老保険が1億4700万人、失業保険が1億人以上、基本医療保険が9400万人である。こうした社会的セーフティーネットの整備は、市場主導の雇用システムの形成と企業改革の推進、社会の安定維持に重要な役割を発揮している。

国際的な基準では、中国の市場経済発展レベルは2001年、69%に達した。専門家によると、市場経済達成ラインは60%であり、これは中国が市場経済国としての基準が満たされたことを示している。