中国の有人宇宙飛行計画について

次の宇宙船「神舟6号」は宇宙飛行士2人が搭乗

有人宇宙船「神舟5号」を搭載した「長征2F」ロケットの設計技師の張宝?氏は次のように語った。

次回の「神舟6号」は宇宙飛行士2人が搭乗することになっているが、今回の「神舟5号」を所定の軌道へ送り込んだ「長征2F」ロケットでも、そのエンジンの推力で2、3人の宇宙飛行士を乗せることができる。

中国のロケットエンジンの自主開発は1965年に始まった。長年の努力を通じて、長征4号の開発までにめざましい進歩を見せた。ロシア人専門家の評価では、中国の開発したエンジンは燃焼の安定性が非常に高く、ロシアでも中国と同じレベルのエンジンは1台しかなく、残りは中国のエンジンには及ばないものである。

現在、新型ロケットエンジンの研究開発が進められており、液体酸素と石油系燃料を組み合わせた推進剤を使う75トン級のものを120トン級のものに改良し、大推力と無汚染の特徴がある。

「神舟5号」打ち上げ実験チームのリーダーを務めた、中国宇宙飛行科学技術集団副総経理の許達哲氏は、2年以内に宇宙飛行士3人が「神舟6号」で7日間の宇宙飛行を行う予定であるが、現在の研究、開発の状況から見て、前倒して実施の可能性もあることを明らかにした。

今後の難関突破

中国宇宙飛行科学技術集団総経理の張慶偉氏は次のように語った。

有人宇宙船「神舟5号」の無事帰還は、中国初の有人宇宙飛行の成功を物語るものである。しかし、これは中国の有人宇宙飛行計画の第一歩にすぎない。中国は今後、1992年に決めた3段階からなる宇宙飛行計画に基づいて、宇宙船のドッキング技術と宇宙実験室の建設に取り組むことになる。宇宙飛行士の宇宙空間での短期間滞在と宇宙ステーションでの長期滞在による研究や、大規模な宇宙科学実験と応用技術の展開などによって、宇宙の開発と平和利用のために寄与することが計画されている。

宇宙ステーションの後ろ盾となった発射場

中国有人宇宙飛行発射場システムの設計技師、北京特殊プロジェクト設計研究院院長の于建平氏は次のように語った。

「神舟」宇宙船が5回も打ち上げに成功したことによって、中国有人宇宙飛行発射場は世界で最も先進的な発射場の一つとなった。1993年から建設地の実地調査が始まり、1998年に完工した同発射場は今すぐにでも10トン級の宇宙ステーションを打ち上げる能力を持っており、今後の宇宙ステーションの建設に役立つことになろう。

10年後に現実となる中国人による月探査

中国有人宇宙技術研究院院長、宇宙船システム責任者の袁家軍氏は次のように語った。

「神舟5号」の発射成功後、中国の昔の神話にちなんで名付けられた「嫦娥プロジェクト」(嫦娥は月に住む伝説上の仙女)の実施が決定され、早ければ3年以内に月探査ロケットを打ち上げる予定であり、10年後には月面に中国人の姿が現われることになろう。

今年3月にスタートした「嫦娥プロジェクト」は現在順調に進められており、重要な技術難関突破の問題も大きな進展をとげた。

中国の科学者は綿密な計算と論証を通じて、月探査衛星の軌道モジュールを決め、衛星の運行コントロール及び衛星自身の電源、構造、温度制御などの関連問題を解決した。

また、月表面の測定に用いる紫外線探知機と双方向性通信アンテナも新たに開発された。この通信アンテナは衛星の観測制御とデータの伝送の要求を満たせることが実験によって明らかになった。

専門家によると、中国の月探査は出遅れたとはいえ、積載ロケット、観測制御システムの面などではそれなりの強みを持っている。いま、難関突破をめざす燃料や帰還モジュール、宇宙船ドッキングなどの問題が一部だが存在している。

中国月探査計画の第一人者といわれる欧陽自遠アカデミー会員は次のように語っている。

中国の月探査計画の実施は、@月探査衛星、月探査機及び月面車の開発と打ち上げ、Aサンプリング持ち帰りの実現、B有人月着陸計画の実施、C人類の月面定住という4つの段階に分けて実施される。中国初の月探査計画には人民元10億元が投入される。

専門家によると、中国初の月着陸は人間ではなく、ロボットで行われる。中国の月面車ついての研究重点は遠隔制御に置かれる。8年の研究を経て、宇宙ロボット専門家研究グループは宇宙ロボット遠隔制御実験システムを開発し、科学者による地上での宇宙ロボットのシミュレーションを行った。