中国市場におけるコカコーラとペプシコーラの商売の仕方

  唐元ト

コカコーラ中国飲料有限公司総裁のポール・イチェルス氏は「2003年中国飲料経済ハイレベルフォーラム」で、「中国は世界で最も吸引力をもつ市場である」と語った。そういうのは、中国の毎年の1人当たり飲み物消費量は10杯であるが、アメリカでは400杯であるからだ。中国の専門家の予測によると、中国の飲み物生産量は年平均10%のスピードで伸びると、2005年には2260万トンとなり、2015年には3700万トンに達する可能性がある。

コカコーラは1980年に中国の市場に進出したが、いまでは中国はその6番目の大きな市場になり、年間販売量は世界の上位にランクされている。

調べによると、コカコーラ社の対中国投資額は11億ドルを超え、今後の2、3年内に1億5000万ドルを追加投資して、瓶詰め工場を6カ所増設し、中国における同社の瓶詰め工場は34社に増やす。

現地化の考えと経営理念はコカコーラとペプシコーラなど外国のブランドが中国市場で成功を収めるカギである。

長期以来、コカコーラ社は中国で「買える、手に入る、喜んで買う」という経営策略を実行しており、特に多くの面で中国人の好みに迎合している。中国人の口に合う「醒目」ブランドの開発と生産に力を入れ、さまざまな非炭酸飲み物を中国市場に推し広めるなどはその一例である。2002年に生産した「酷児」印飲み物と「ネッスル氷爽茶」はたいへん人気がある。包装の面では中国人に好かれる土偶「阿福」、「12支」および2008年オリンピックの標識が採用されている。今年9月に催された第一回中国国際飲み物祭りで、コカコーラ社は外国のブランドと中国の伝統的芸術の結合というテーマで、中国の民間芸術家を招いて切り紙細工や土偶づくりを披露した。

ペプシコーラは中国市場本土化の面でも全力をあげている。「サッカー+音楽」を基調とし、巨額の市場開拓費を使って、王菲さん、周傑倫さんらのスター歌手、范志毅さん、姚明さんらのスポーツ選手を宣伝陣に加わらせた。

1982年に深センで工場を設立して以来、ペプシコーラ社は中国大陸部で合資あるいは全額出資の企業を30社近く設立した。ペプシコーラ社総裁のピーター・トムソン氏は深センの新しい工場の落成式で明らかにしたところによると、ペプシコーラの中国での合資、合作はほぼ利益をあげているが、「ペプシ」ブランドの所有者と濃縮液体の提供者として、20年来中国市場で利益をあげていないと語った。

朱華煦ペプシコーラ中国地区総裁の説明によると、製品への投資の初期リターン率が低いほか、多額の市場開拓費はまだ利潤をあげていない主な原因となっている。中国市場はペプシコーラ社のグローバル計画の構成部分とグローバル戦略の重要な一環であり、多額金を使って一連の宣伝と運営を行うのはペプシコーラの中国市場における基礎を築くためである。

ペプシコーラの競争相手であるコカコーラもここ数年やっと中国市場で利益をあげるようになった。

中国社会科学院世界経済政治研究所、世界華商研究センターの康栄平主任によると、ともに国際ブランドである二種類のコーラが中国市場に並存することは投資のリターン期が長くなる最終的原因である。世界の炭酸飲み物市場で、二者の間の競争は寡頭競争である。もしコカコーラあるいはペプシコーラがなければ、二者の宣伝コストはそんなにかからず、中国市場での投資リターン期が短縮する。

前出のトムソン氏によると、ペプシコーラは中国市場のシェアをさらに拡大するには、現有の合資、合作企業を通じて、味などの面で中国の消費者に選択の余地をできるだけ提供し、引き続き市場開拓に力を入れ、生産の利潤獲得能力を増強する必要がある。朱華煦氏も、「炭酸飲み物は中国ではまだ大きな発展の空間がある。シンガポール、韓国の毎年の炭酸飲み物一人あたり消費量は400余杯と300余杯であるが、中国はわずか25杯である。中国市場では茶やミネラルウォーターの販売が活気を呈しているが、炭酸飲み物の中国市場でのシェアは国外ほど大きくはなく、100から110に増えれば、市場は10%伸びる。ペプシコーラの中国での投資は長期的計画である」と語った。