中国、高速鉄道の時代に入る

――全国の高速鉄道網が2020年に形成され、高速鉄道の建設が内外の企業に大きなビジネスチャンスをもたらす。

蘭辛珍

さる10月12日1時、長春発北京行きのT60列車が瀋陽北駅から秦瀋旅客輸送専用線に入って運行した。これは中国最初の高速旅客輸送専用鉄道――秦瀋旅客輸送専用線が正式に開通し、中国が高速鉄道の時代に入ったことを示している。

高速鉄道は最高の運行速度が200キロ以上の鉄道を指す。秦瀋旅客輸送専用線は河北省秦皇島から遼寧省瀋陽市までで、全長404.64キロ、複線電化の快速鉄道であり、投資総額は約150億元、1999年8月に着工し、今年6月に完工し、設計時速は200キロである。

秦瀋専用鉄道は中国鉄道高速化の起点である。秦瀋鉄道の設計、施工、運営は京滬(北京=上海)高速鉄道の建設を指導する上で重要な参考の役割を果たす。

鉄道部科学研究院研究員の呉玉樹氏によると、秦瀋旅客輸送専用線開通後、秦皇島から瀋陽北駅までの時間は4時間半から2時間半に短縮された。以前京秦線(北京=秦皇島)と瀋山線(瀋陽=山海関)で運行していた特急と急行が秦瀋専用線で運行することによって、北京から瀋陽までの時間は2時間短縮し、T60列車の瀋陽北駅から北京まで走る時間は9時間から7時間に短縮される。

呉玉樹氏は、中国は1997年から高速鉄道建設プロジェクトの立件を始めたが、いまのところ、建設が計画されている鉄道が10数本あると語った。

5回目のスピードアップを迎える

鉄道部によると、2004年4月以後、時速が200キロに達する鉄道は28本増え、高速鉄道線路の総距離は2万キロ前後に達する。

現在、全世界の時速200キロ以上の高速鉄道の総距離は1万余キロである。

劉志軍鉄道部部長の話では、中国鉄道の5回目の大規模なスピードアップの主体工事がすでに始まっており、2004年4月に完工する。2004年4月から2005年にかけて、大規模にスピードアップする鉄道が28本ある。スピードアップ実現後、北京=ハルビンの運行時間は現在の12時間29分から9時間59分に短縮され、北京=上海は14時間から11時間57分に短縮され、各線路の運行時間は平均2時間15分短縮される。

1997年以来、中国の鉄道はスピードアップを4回も行った。1997年4月1日に最初のスピードアップが行われ、瀋陽、北京、上海、広州、武漢などの大都市を中心として、列車の時速が60〜90キロから140キロに引き上げられた。1998年10月1日に2回目のスピードアップが行われ、北京から広州、上海、ハルビン行きの列車の時速が140キロから160キロに高められ、広州発深セン行き列車の時速が200キロに引き上げられた。2000年10月21日と2001年11月21日にそれぞれ3回目と4回目のスピードアップが行われ、その範囲は全国の大部分の地区をカバーした。

劉志軍氏が明らかにしたところによると、長年来中国の鉄道輸送はずっと超負荷と低水準の状態にあり、経済の持続的、快速な発展に適応しないため、列車のスピードアップはどうしても実行しなければならないこととなった。

高速鉄道網のひな型

宋鳳書中国鉄道学会副理事長・鉄道車両委員会主任の説明によると、秦瀋旅客輸送専用線の開通に伴って、中国ではスピードアップの鉄道を主とし、建設中と建設予定の旅客輸送専用線を副次的とする高速鉄道網が形成される。全国の高速鉄道網が2020年に完成する見込みである。

1998年から現在までに高速鉄道を開発した都市は20余りを数え、北部の瀋陽、中部の武漢、西部の成都のほか、ほとんどが東部沿海に集中し、北京、上海、南京、広州、福州、深センなどの大都市を起点としている。

宋鳳書氏によると、来年の5回目のスピードアップの後、中国の80%の都市が高速鉄道で結ばれる。今後の5年間に建設される高速鉄道は京滬線(北京=上海)、滬蓉線(上海=成都)、滬寧線(上海=南京)、武広線(武漢=広州)、広深港線(広州=深セン=香港)、福廈線(福州=廈門)の6本である。

その他の運輸手段と比べて、高速鉄道は高速、旅客大量輸送、全天候、省エネ、低汚染、高効率などの特徴があり、資源が限られ、交通がボトルネックの状態にある中国にとっては、最もよい発展の方向である。

呉新民鉄道部科学技術司司長によると、中国では現在、機関車の生産に技術上の難題が存在しない。秦瀋旅客輸送専用線の試運転に使われた電気機関車は中国が自ら設計した「中華の星」機関車である。

大きなビジネスチャンス

今年9月、北京では東直門から首都空港までの高速軌道が建設される消息が発表されると、日本の伊藤忠とドイツのティッセンクルップは競争を展開し、9月20日、ティッセンクルップはこれについて北京の交通、都市建設の専門家と討議した。

中国の高速鉄道の発展は内外の鉄道建設者に大きなビジネスチャンスをもたらしている。呉玉樹氏によると、高速鉄道の建設費は1キロ当たり5000万元前後で、滬寧高速鉄道を建設するだけでも600億元の資金が必要で、これは三峡ダム工事をもう一つつくる資金に相当する。このため、中国の高速鉄道は外国企業が競争する目的となっている。

国外企業の競争に対し、国内の企業は落ち着いているように見える。傅志寰鉄道部副部長によると、中国の鉄道建設は国内外の企業にとって平等であり、外資の進出を認めた分野は同時に国内資本の進出も認めている。

中国は市場参入条件、投融資政策、インフラ使用および公益性義務分担の面で、公平競争を保護する政策や措置を制定、整備し、国内外の経済組織、各種所有制の企業が鉄道建設および運輸経営に参与するのを積極的に奨励、支持、指導すると傅志寰氏は強調した。