中国の拡散防止の政策と措置

中華人民共和国国務院報道弁公室

2003年12月 北京

まえがき

大量破壊兵器とその運搬手段の拡散防止は国際と地域の平和と安全を守るのに役立ち、国際社会の共通の利益に合致する。これはすでに国際に共通する認識となっている。国際社会は長期にわたるたゆまぬ努力を通じて、すでに相対的に整備した国際拡散防止システムを構築している。国際拡散防止システムは大量破壊兵器とその運搬手段の拡散を防ぎ、遅らせ、世界と地域の平和と安全を守る面で、積極的な役割を果たしている。

経済のグローバル化と科学技術の急速な発展につれて、国際社会は協力と発展のすばらしいチャンスにめぐり合うと同時に、諸々の新しい挑戦にも直面する。当面、伝統的と非伝統的な安全要素が混ざり合い、非伝統的な安全要素が絶えず上昇している。安全面での各国の連係が更に緊密になり、相互依存が絶えず深まっている。国際協力を強化し、共同の安全を図ることは、すでに時代の必然的な要求となっている。各国の拡散防止の努力と国際拡散防止メカニズムの発展は互いに補完し合い、分離できないほど密接な関係にある。新しい国際安全情勢の下で、拡散防止分野での国際協力を強化し、国際拡散防止メカニズムを発展させ改善することはとりわけ重要で差し迫っていることは明らかである。

世界の平和を維持し、共同の発展を促進することは、中国の外交政策の主旨である。中国の発展は長期にわたる平和で安定した国際環境と周辺環境が必要である。大量破壊兵器とその運搬手段の拡散は世界の平和と安定にも不利であれば、中国自体の安全にも不利である。長年来、中国は高度に責任をもつ態度に基づいて、完全な拡散防止政策をちくじ制定し、すでに比較的に完備した拡散防止輸出管制法規システムを形成し、積極的かつ建設的な措置をとり、実際的な行動で国際拡散防止のプロセスを推進し、国際と地域の平和と安全を守り、促すことに重要な貢献をした。

一、拡散防止の基本的立場

中国はかねてから責任を負う態度で国際実務に対処し、一貫して核兵器、生物兵器、化学兵器などさまざまな大量破壊兵器を全面的に禁止し、徹底的に廃棄することを主張し、その種の兵器とその運搬手段の拡散に断固として反対している。中国はいかなる国の大量破壊兵器とその運搬手段の発展をも支持せず、奨励せず、援助しない。

中国は、拡散防止の根本的目的は国際と地域の平和と安全を守り、促すことにあり、いかなる拡散防止措置もこの目標の実現に役立つべきであると見ている。大量破壊兵器とその運搬手段の拡散はその複雑な根源があり、国際と地域の安全環境と密接な関係がある。国際関係の普遍的な改善を図り、国際関係の民主化を促進し、関係地域の安全問題の公正かつ合理的な解決を推進するのは、拡散防止の国際努力の順調な展開に有利である。中国は国際拡散防止の努力を断固として支持し、同時に国際と地域の平和と安定にも非常なほど関心を持っている。中国は平和な手段を通じて拡散防止の目標を実現し、一方では国際拡散防止メカニズムを絶えず改善し、各国の輸出規制を整備、強化しなければならず、他方では対話と国際協力を通じて拡散問題を解決すべきであると主張している。

中国は、拡散防止は国際社会の普遍的な参与を得なければならないと見ている。国際社会の圧倒的多数のメンバーの理解と支持を獲得するには、拡散防止メカニズムの公正性、合理性、非差別性を確保しなければならない。現有のメカニズムの強化も新しいメカニズムの構築も、各国の普遍的参与と民主的決定を基礎として行い、単独行動主義と二重基準を放棄し、国連の役割を十分に重視し、発揮すべきである。

中国は、核、生物、化学、宇宙飛行の分野にかかわる多くの材料、設備、技術が二つの用途の性格を持つため、各国は拡散防止政策を実施する中で、拡散防止と関係あるハイテクを平和的に利用する国際協力との関係をりっぱに処理しなければならないと見ている。中国は、拡散防止の目標実現を確保する前提の下で、各国特に発展途上諸国の二つの用途の科学技術と製品を平和的に利用し、分かち合う権利も保障しなければならず、またいかなる国が平和的利用を口実として拡散活動に従事することも根絶しなければならないと主張する。

二、拡散防止の国際努力に積極的に参加

長年来、中国は多国間の拡散防止メカニズム建設に幅広く参加し、このメカニズムのたえまない整備と発展を積極的に推進し、拡散防止と関係あるすべての国際条約に調印し、大多数の関係国際機構に加入した。

核の分野では、中国は1984年に「国際原子力機関(IAEA)」に加入し、自らの意志で自国の民用核施設を同機関の保障と監督の下に置いている。1992年、中国は「核拡散防止条約(NPT)」に加入した。中国はジュネーブ軍縮交渉会議の「包括的核実験禁止条約(CTBT)」に関する交渉に積極的に参加し、同条約締結のために重要な貢献をするとともに、1996年に最初に調印する国の一つとして条約に調印した。1997年、中国は「ザンガー委員会」に加入した。1998年、中国は「国際原子力機関」の保障・監督強化に関する付属議定書に調印し、2002年の初めに同付属議定書発効の国内の法的手続きを正式に完成し、上述手続きを完成して核兵器を保有する最初の国となった。中国は「国際原子力機関」と「包括的核実験禁止条約機構準備委員会」など国際機構の活動に積極的に参加し、「国際原子力機関」が潜在的な核テロ活動を防備することに貢献するのを支持し、「核物質の防護に関する条約」の改正に積極的に参加するとともに、建設的な役割を果たした。

中国は関係諸国の非核地帯設置の努力を積極的に支持する。中国は「ラテンアメリカ非核化条約」(「トラテロルコ条約」)、「南太平洋非核地帯条約」(「ラロトンガ条約」)、「アフリカ非核化条約」(「ペリンダバ条約」)の関係議定書に調印し、それを批准した。中国はすでに「東南アジア非核地帯条約」(「バンコク条約」)の関係議定書に調印することをはっきり約束するとともに、中央アジア非核地帯設置の提案を支持する。

生物の分野では、中国は1984年に「細菌兵器(生物兵器)及び毒素兵器の開発、生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約」に加入してから、「条約」の義務を一貫して厳格に履行している。1988年から、中国はずっと条約審議会議の決定に基づいて、年ごとに「条約」の信用措置確立の発表資料を国連に提出している。中国はまた「条約」の有効性を強化する国際努力に積極的に力を尽くし、「条約」議定書の交渉および「条約」と関係ある国際実務に積極的に参与した。

化学の分野では、中国は「化学兵器の開発、生産、貯蔵及び使用の禁止並びに廃棄に関する条約」の交渉と合意のために積極的に貢献し、1993年に同「条約」に調印し、1997年に「条約」の批准書を寄託した。「条約」が発効してから、中国は「化学兵器禁止機関(OPCW)」の活動を積極的に支持し、「条約」の義務を真剣に履行している。中国は専門の契約履行機構を設立し、最初の発表と各種の年度発表を期限通りに、完全に提出した。2003年10月末現在、中国は「化学兵器禁止機関」の68回の現場核査察を受け入れた。

ミサイルの分野では、中国は国際社会がミサイルとその関連技術と物質の拡散を防止するための努力を支持し、国際上のミサイルの拡散防止メカニズムを強化することに関する提案に対し、いずれも積極的な開放する態度をとっている。中国は建設的な態度で「国連ミサイル問題政府専門家グループ」の活動と「弾道ミサイル拡散に立ち向かうための国際行動規範」案、「全世界ミサイル監督・規制メカニズム」などの国際提案の討論に参加した。

三、拡散防止輸出管制システム

大量破壊兵器とその運搬手段の発展と生産に用いることのできる材料、設備、技術を効果的に管理することは、各国が国際拡散防止義務を履行する重要な一側面であり、国際拡散防止の努力が成功を収める重要な保証でもある。一定の科学技術と工業能力を持つ国として、中国はこの分野で担っている拡散防止の責任をよく知っている。長期以来、敏感な物質と技術の国内管理と輸出規制をとわず、中国政府は厳格な管制措置をとるとともに、情勢の変化に応じて、絶えず改善している。

以前のかなり長い期間に、中国が計画経済体制を実行し、国は主に行政手段に頼って輸出入を管理した。これは当時の歴史的条件の下で拡散防止政策を実行する面で効果があった。改革・開放の深化につれて、特に世界貿易機関(WTO)に加盟してから、中国の国内経済と対外貿易の環境により大きな変化が生じた。いまでは、中国はすでに社会主義市場経済体制を一応構築し、中国の拡散防止輸出管理パターンは行政管理から法制化管理への転換を実現した。

ここ数年、中国政府は法に依って国を治める原則にのっとって、拡散防止の法制化建設を絶えず強化し、拡散防止政策の効果的な実施を確保している。中国は国際通用の拡散防止輸出規制規範に対する研究を非常に重視し、関係ある多国間輸出規制メカニズムとその他の国の有益な経験を中国の国情と結びつけ、国際通用の規範とやり方を広く取り入れて、拡散防止輸出管理体制の建設を大いに強化、改善し、相次いで一連の法律と法規を制定、実施し、一連の核、生物、化学、ミサイルなどの各種敏感物質、技術およびすべての軍用品をカバーする、完備した輸出規制体制を形成し、拡散防止の目標をよりよく実現するために十分な法的根拠とメカニズム保障を提供した。この輸出規制体制は普遍的に次のようなやり方をとっている。

輸出経営登録制度 敏感な物質と技術の輸出に従事する経営者にかならず中央政府の主管部門で登録することを要求し、登録しなければ、いかなる部門と個人も関係輸出活動に従事してはならない。核の輸出、監視する化学製品と軍用品の輸出については、さらに専門の経営部門をはっきり規定し、その他のいかなる実体と個人もこの方面の貿易活動に従事してはならない。

ライセンス管理制度 敏感な物質と技術の輸出が中央政府の相応の主管部門の逐一審査と認可を経て、エクスポート・ライセンスを取得してからはじめて輸出することができると規定している。エクスポート・ライセンスの所持者はライセンスの有効期限内に厳格に認可した内容に基づいて輸出活動に従事しなければならない。輸出の事項と内容に変更がある場合は、もとのエクスポート・ライセンスを返却し、エクスポート・ライセンスを申請しなおさなければならない。輸出経営者は上述の物質と技術を輸出する際、税関にエクスポート・ライセンスを提出し、「中華人民共和国税関法」と関係管制条例および管制規則の規定に基づいて通関手続きをし、税関の監督・管理を受け入れるべきである。

最終ユーザーと最終用途の証明 敏感な物質と技術の輸出経営者に敏感な物質と技術を輸入する最終ユーザーが出した最終ユーザーと最終用途の証明を提供するよう要求する。異なる状況、特に輸出する物質あるいは技術の敏感さに基づいて、最終ユーザーが出し、自国の政府機関と関係国駐在の中国大使館・領事館の認証を経た証明書類、あるいは輸入国の政府部門の出した証明書類など異なる種類の証明書類を提供する必要がある。最終ユーザーは上述の証明書類の中で輸入する物質あるいは技術の最終ユーザーと最終用途を明らかにするとともに、中国政府の許可を経なければ、中国が提供した関係物質を最終用途以外のその他の目的に用いないか、あるいは最終ユーザー以外の第三者に譲渡しないことを明確に保証しなければならない。

リスト規制方法 内容の詳しい関係ある敏感な材料、設備、技術の管制リストを作成した。核、生物、化学の分野で、関係リストは「ザンガー委員会」、「原子力供給国グループ(NGS)」、「化学兵器禁止条約」、「オーストラリア・グループ」などのメカニズム規制リストが監督、規制する圧倒的部分の物質と技術をカバーしている。ミサイルの分野では、中国のリストの範囲は「ミサイル技術管理レジーム」の技術付属文書と基本的に一致している。軍用品の輸出分野では、中国政府が2002年に初めて軍用品の輸出管理リストを制定、公布した際も、関係ある多国間メカニズムとその他の国の関係あるやり方を参考にした。中国政府は実状に応じてリストを適時に調整する。

拡散防止を根本的な出発点とする審査・認可原則 主管部門はエクスポート・ライセンスを発給するかどうかを決定する際に、関係ある輸出が国の安全と社会の公衆利益および国際と地域の平和と安定に対する影響を総合的に考慮する。審査、認可する時に具体的に参照する要素は、中国の担っている国際義務と国際約束、および輸出する敏感な物質あるいは技術が中国の国家安全と社会の公衆利益に直接あるいは間接的に危害を及ぼすかどうかあるいは潜在的な脅威をもたらすかどうか、国際拡散防止の情勢と中国の外交政策に合致するかどうかを含んでいる。輸出する関係ある敏感な物質あるいは技術の拡散リスクの程度については、審査・認可の重要な参考として、審査・認可部門が独自に技術専門家グループを設立して評価する。審査・認可部門はまた最終ユーザーの所在国あるいは地域の状況を全面的に審査し、最終ユーザーの所在国自体に拡散するリスクとその他の国と地域に拡散するリスクがあるかどうかを重点的に考慮すべきである。その中に輸入国が中国の国家安全に対し潜在的な脅威を構成するかどうか、大量破壊兵器とその運搬手段の発展計画を持っているかどうか、大量破壊兵器とその運搬手段の発展計画を持つ国や地域と密接な貿易往来があるかどうか、国連安全保障理事会の決議の制裁を受けているかどうか、テロリズムを支持するかどうか、またはテロリズム組織と連絡があるかどうかを含んでいる。このほか、さらに輸入国が輸出管制を実施する能力およびその国内の政局と周辺環境が安定しているかどうかも含んでいる。最終ユーザーと最終用途に対する審査は、輸入国が関係ある輸入物質あるいは技術を使用する能力、輸入業者と最終ユーザーが真に信頼できるかどうか、最終用途が合理的であるかどうかなどを重点的に判断する。

全面的規制の原則 輸出経営者が拡散リスクが存在していることを知っているかまたは知るべきである輸出プロジェクトに対し、たとえ輸出を計画する物質あるいは技術が管制リストの範囲に属さない可能性があっても、エクスポート・ライセンスを申請するよう要求する。輸出の審査・認可部門が輸出の申請を審査し、エクスポート・ライセンスを発給するかどうかを決定する際に、関係ある輸出の最終用途、最終ユーザーおよび大量破壊兵器拡散のリスクを全面的に評価する。いったん拡散のリスクを発見すれば、関係主管部門はエクスポート・ライセンスの発給をただちに停止し、輸出を中止する権限がある。同時に、関係主管部門はまた関係リスト以外の特定の物質の輸出に対し一時的管制を実施することもできる。

処罰措置 認可を経ないで規制されている物質と技術を勝手に輸出し、認可の範囲を勝手に超えて関連の物質を輸出し、関係あるエクスポート・ライセンスを偽造、変造するかあるいは売買する輸出経営者に対しては、「中華人民共和国刑法」の密輸罪、不法経営罪、国家秘密漏洩罪あるいはその他の罪についての規定に基づき、法に依って刑事責任を追及する。犯罪を構成しない場合は、異なる状況に基づいて、政府の主管部門が行政処罰を実施する。その中に警告、不法所得没収、罰金、その対外貿易経営許可の一時停止と取り消しなどを含んでいる。

四、拡散防止輸出管制の具体的措置

核の分野 中国は核輸出と核材料管制などの面であくまで厳格な管理とコントロールを行っている。核材料管理の面では、中国は「国際原子力機関」に加盟してから、「核材料の評定判断と抑制システム」および「核材料防護条約」の要求に合致する「核材料安保システム」を確立した。中国政府は1987年に、核材料に対しライセンス制度を実行し、核材料監督管理部門とその職責、核材料管制規則、核材料ライセンスの申請、審査、発給、核材料の会計管理、核材料の評定判断、核材料防護および関係ある奨励と懲罰措置などを明確に規定する「核材料管制条例」を公布した。

中国の核輸出は国務院の指定した機構が独占経営するとともに、核輸出が平和の目的にだけ使用するのを保証する、「国際原子力機関」の保障監督を受けいれる、中国政府の認可を経なければ第三国に譲渡してはならないという三原則を断固貫徹している。1997年、中国政府は「中華人民共和国核輸出管制条例」を公布した。同条例は中国政府の上記原則および核兵器拡散を主張せず、奨励せず、それに従事せず、他国の核兵器開発を援助せず、「国際原子力機関」の保障監督を受けいれていない核施設に援助を提供するのを禁止し、それと核輸出および人員、技術の交流・協力を行わない政策を解明している。同条例はまた核輸出に対し厳格な審査制度を実行し、規則違反行為を厳しく処罰すると規定するとともに、全面的、詳細な管制リストを制定した。

1998年、中国政府はまた「中華人民共和国核両用品および関係技術輸出管制条例」を公布し、核兵器不拡散という国際義務を厳格に履行し、核両用品と関係ある技術の輸出を厳格に管制し、関係輸出に対しライセンス管理制度を実行することを再確認するとともに、輸出経営者登録制度、輸出審査認可手続きおよび規則違反行為処罰規則などを確立した。2001年12月に可決された「中華人民共和国刑法」改正案は、放射性物質の不法製造、売買、運送行為を犯罪に定め、刑事処罰を与えると規定した。

生物の分野 20数年来、中国は「中華人民共和国刑法」(1979年制定)、「獣医微生物菌種保存管理に関する試行規則」(1980年制定)、「獣薬管理条例」(1987年制定)、「中華人民共和国伝染病予防治療法」(1989年制定)、「出入国動植物検疫法」(1991年制定)、「獣用生物製品管理規則」(1996年制定)、「農業の生物遺伝子エンジニアリング安全管理実施規則」(1996年制定)、「獣用生物製品品質基準」(2001年制定)など一連の法律、法規、規則を公布、実行し、関係ある菌(毒)種、ワクチン、生物製品などの生産、管理、使用、保存、携帯、譲渡などに対し厳格な規定を行った。2001年12月に可決された「中華人民共和国刑法」改正案は、伝染病病原体など物質の不法製造、売買、運送、貯蔵または投下の行為を犯罪に定め、刑事処罰を与えると規定している。

2002年10月、中国政府は「中華人民共和国生物両用品および関係設備・技術管制条例」と管制リストを公布し、生物両用品および関係設備・技術の輸出に対し輸出ライセンス制度を実行し、輸出経営者に対し登録制度を実行するとともに、関係輸出を生物兵器の目的に使用してはならず、中国政府の許可を経なければ、中国の供給する生物両用品および関係設備・技術をその公表した最終用途以外のその他の用途に使用するかあるいはその公表した最終ユーザー以外の第三者に譲渡してはならない原則を確立した。このほか、条例はまた輸出については報告して認可を求める厳格な手続きと規則違反行為に対する処罰措置を規定している。

化学の分野 1995年から1997年にかけて、中国政府は相前後して「中華人民共和国監視化学品管理条例」、「各種監視化学品リスト」、「中華人民共和国監視化学品管理条例実施細則」などの規則と制度を公布し、監視化学品管理部門とその職責を明確にし、監視化学品を詳しく分類するとともに、敏感な化学品の生産、経営、使用および輸出入を厳しく監視している。規定によると、監視化学品の輸出入は指定された機構が経営しなければならず、他のいかなる機構と個人もこの種の輸出入業務に従事してはならない。1998年、中国政府は「各種監視化学品リスト」を補充し、監視化学品を10種新規増加した。2001年12月に可決された「中華人民共和国刑法」改正案は、毒性物質の不法製造、売買、運送、貯蔵または投下の行為を犯罪に定め、刑事処罰を与えると規定している。

2002年10月、中国政府はまた「化学品および関係設備・技術輸出管制規則」と管制リストを公布した。同規則は「監視化学品管理条例」に対する効果的な補充であり、付属リストの中に10種の化学品を新規増加しただけでなく、特に関係設備・技術に対する輸出管制を増加した。同「管制規則」は、管制リストに列せられた品目と技術の輸出に対しライセンス制度を実行し、輸入側が中国の提供する関係化学品および関係設備・技術を化学兵器の貯蔵、加工、生産、処理あるいは化学兵器を製造する化学品の生産に使用しないことを保証し、中国政府の認可を経なければ、関係品目と技術をその公表した最終用途以外の用途に使用するか、あるいはその公表した最終ユーザー以外の第三者に譲渡しないよう要求している。同「管制規則」は輸出経営者に対し登録管理制度を実行するとともに、相応の輸出審査認可制度と処罰措置を制定している。

ミサイルの分野 中国は一貫して慎重かつ責任を負う態度でミサイルとその関係技術の輸出に対処している。中国政府は、1992年にミサイルとその関係技術輸出の面では「ミサイルとその技術コントロール・レジーム」の準則と主なパラメーターを参照して事を運ぶと発表した。1994年、中国は「ミサイルとその技術コントロール・レジーム」が主なパラメーターを制限している地対地ミサイル、即ち内在性能が少なくとも射程が300キロに達し搭載重量が500キロに達する地対地ミサイルを輸出しないことを承諾した。2000年、中国は一歩進んで、いかなる方式でいかなる国の核兵器運搬に用いられる弾道ミサイルの開発を援助する意思がなく、ミサイル輸出抑制分野の条例とリストを制定、公布すると発表した。

2002年8月、中国政府は「中華人民共和国ミサイルおよび関係品目・技術輸出管制条例」と管制リストを公布した。同条例とリストは、国際通用の方法を参照し、中国の実状と結び付けて、ミサイルおよび直接ミサイルに用いる品目と技術、およびミサイルと関係ある両用品目と技術の輸出に対しライセンス管理制度を実行し、輸出の受け入れ側が、中国政府の許可を経なければ、中国の提供するミサイルの関係ある品目と技術をその公表した最終用途以外のその他の用途に使用しないかあるいはその公表した最終ユーザー以外の第三者に譲渡しないことを保証しなければならないと規定するとともに、厳しい輸出審査認可手続きと処罰措置を規定している。

軍用品輸出の分野 上記の専門法規のほか、軍用品の輸出管理を強化し、軍用品の輸出秩序を整頓するため、中国政府は1997年に「中華人民共和国軍用品輸出管理条例」を公布し、2002年にそれを改正した。同条例は、受け入れ国の正当な自衛能力に有利である、関係地域と世界の平和、安全、安定を損なわない、受け入れ国の内政に干渉しないという中国側が軍用品輸出の面で一貫して堅持している三原則を再確認している。同条例はまた、軍用品の輸出は、軍用品輸出資格を取得した軍用品貿易公司しか経営できない、軍用品輸出に対しライセンス管理制度を実行する、最終用途が軍用である両用品を軍用品と見なして抑制すると規定している。2002年11月、中国政府は「中華人民共和国軍用品輸出管理条例」の付属文書「軍用品輸出管理リスト」を公布し、初めて軍用品輸出に対しリスト管理を行った。同リストは、通常兵器・装備を詳しく分類し、兵器の定義、兵器の種類、兵器の主な系統または部品および兵器・装備と直接関係ある部品、技術、サービスの四つの方面を主体とする枠組み体系を構成し、軍用品の貿易輸出管理を強化するために科学的な力強い法的保障を提供している。

このほか、中国政府が2001年に公布した「技術輸出入管理条例」も、核技術、核両用品の関係技術、監視化学品の生産技術、軍事技術などの輸出に対し厳格な管制を行うと規定している。「中華人民共和国税関法」、「中華人民共和国行政処罰法」なども、関係ある拡散防止輸出管制に法的根拠を提供している。

五、拡散防止輸出管制法規を厳格に実行

長年にわたる努力を経て、中国の拡散防止と関係ある法律と法規が絶えず整備され、発展し、政府の拡散防止目標をよりよく実現することに力強い法的根拠と保障を提供し、同時に政府の関係職能部門の法律執行能力に新しい要求を提出した。拡散防止輸出管制の法律・法規の効果的な貫徹、実行を確保するため、中国政府の関係部門は、拡散防止輸出管制の機構建設、政策・法規の宣伝、企業教育、違法事件の調査・処理などの面で多くの努力を払った。

輸出管制機構 中国の拡散防止輸出管制は、多くの政府関係部門に及んでいる。現在、各部門の間にはすでに明確な分業と調和メカニズムが形成されている。

中国の核輸出は、国防科学技術工業委員会がその他の政府関係部門と共に管理している。ミサイルおよび直接ミサイルに用いられる生産施設と重要な設備を含む軍用品の輸出は、国防科学技術工業委員会と国防部の関係部門がその他の政府関係部門と共に管理する。

核両用品、生物両用品、関係化学品、および民用の目的に用いられるミサイルと関係ある両用品目と技術の輸出は、商務部がその他の政府関係部門と共に管理する。そのうち、核両用品、ミサイルと関係ある両用品目と技術の輸出は、商務部が国防科学技術工業委員会と共に審査し、動植物と関係ある生物両用品と技術の輸出は、商務部が必要に応じて農業部と共に審査し、人間と関係ある生物両用品と技術の輸出は、商務部が必要に応じて衛生部と共に審査し、生物両用品の関係設備と技術、および化学品と関係ある設備と技術の輸出は、商務部が必要に応じて国家発展改革委員会と共に審査し、監視化学品の輸出は、国家発展改革委員会が商務部と共に審査する。

外交政策に関わる敏感な品目および関係ある設備と技術の輸出は、上記の主管部門が外交部と共に審査する。国家安全、社会の公衆利益に重大な影響を及ぼす輸出プロジェクトは、主管部門がその他の部門と共に国務院、中央軍事委員会に報告して認可を求める。

税関総署は、上記品目と技術の輸出入に対する監督・管理を担当する。

上記の各関係部門には、いずれも輸出管制を担当する専門機構が設置され、専従要員が配備されている。

法規の宣伝と企業教育 拡散防止輸出管制条例が公布され次第、全国的なメディアにニュースを流し、関係ある条例、リストの全文は、政府部門、対外貿易企業および研究機構の刊行物とウェブサイトで公表される。これらの宣伝は、関係輸出経営者に条例とリストの内容を知らせるのに有利な条件を提供している。関係主管部門は、また積極的に措置を取って、関係ある企業と機構が真剣に条例を実行するよう要求するとともに、法規講座、講習会などの形式で主要な輸出企業に条例の内容と輸出審査・認可手続きを宣伝する。

輸出審査システムの建設 輸出管制法規を効果的に実施するため、中国は全社会向けのライセンス申請、審査・認可、発給システムおよび税関の監督管理・ライセンス検査・通関システムを確立した。商務部などの関係部門はいま「敏感な品目と技術輸出ライセンス管理リスト」(即ち、関係輸出管制条例に付属するリストの商品部分には税関HSコードが付けられる)を制定中であり、できる限り各環で輸出企業に法をわきまえ、法を守るように告知し、同時に政府の輸出に対する監督・管理能力を高める。

輸出企業の輸出ライセンス申請に便利を提供するため、商務部のネット申請・審査・認可システムが完成し、運行を始めてから、社会にサービスを提供する。行政管理も、相応にライセンス審査・認可、発給機関と税関との間でネットワークによる監督・管理情報交換システムを確立する。

違法事件の調査と処理 中国政府は、拡散防止違法事件に対する取り調べと処分を非常に重視する。違法輸出の可能性があるという情報を入手した時、関係主管部門は真剣に調査し、違法行為の情状の軽重に基づいて、相応の行政処罰を与えるかあるいは司法機関に引き渡してその刑事責任を追及する。近年来、中国政府は多くの違法輸出事件を取り調べ、処分し、事件と関係ある機構と個人に対し法に依って相応の懲罰を行った。

法律執行能力を強化し、拡散防止輸出管制条例を効果的に実行に移すことは、波及面が広く、内容が複雑なシステム・エンジニアリングであり、政府の多くの部門の調和と協力が必要である。同時に、国内企業の国の関係政策と法規に対する理解、拡散防止意識の強化、自律メカニズムの確立も、拡散防止法規の実施に直接影響を及ぼしている。中国政府の関係各部門は、いま経験をしめくくり、法律執行陣の育成をたえず強化し、宣伝に力を入れ、国内の拡散防止輸出管制メカニズムを整備している。

結びの言葉

中国政府は、拡散防止政策の貫徹と実行、拡散防止法律・法規と輸出管制システム建設の強化、整備に全力を尽くすと同時に、上記の努力が順を追って漸進し、間断なく発展する過程であることをも冷静に見て取っている。

拡散防止の国際努力は、各国の政策と措置がなければならず、各国の国内メカニズム建設も、国際の拡散防止整備がなければならない。今後、中国は引き続き積極的に拡散防止の国際努力に参加し、国連の枠組み内で既存の拡散防止国際法体系の維持と強化に力を入れ、「核供給国グループ」、「ミサイルとその技術コントロール・レジーム」、「オーストラリア・グループ」、「ワッセナー・アレンジメント」など多国間拡散防止メカニズムとの協議と交流を絶えず強化し、引き続き積極的に拡散防止問題に関する国際討論に参加する。

中国政府は引き続き世界諸国と拡散防止問題について交流、協議するとともに、拡散防止輸出管制の関係分野で各国との交流と協力を強化し、各自の拡散防止輸出管制システムをたえず整備していきたい。

複雑多変の国際安全情勢を前に、中国は、協力で安全を求め、対話で安全を求め、相互信頼で安全を求め、発展で安全を求めるという新しい安全観の確立を主張する。拡散防止は、新世紀において国際と地域の平和と安全を守る重要な一環であり、中国は国際社会の平和と安定を熱愛する広範な人々と共に、たゆまない国際努力と協力を通じ、あくまで平和な手段で大量破壊兵器とその運搬手段の拡散問題を解決し、国際拡散防止メカニズムの発展と完備を推進し、世界の平和、安定、発展を促進することに貢献するであろう。