中欧の外交関係、意見の食い違いより共通の認識が多い
馬晴燕
新世紀において、経済が持続的に高度成長している最大の発展途上国中国と統一通貨を発行し、たえず結束に向かう欧州との往来は、とりわけ人々の注目を引いている。新世紀の最初の年に、双方の協力のテンポが速くなり、意見の食い違いがますます多く共通の認識に取って代わられているのは、喜ばしいことである。
パッテン委員
5月21日、中米関係がダライラマのワシントン訪問と陳水扁のニューヨーク通過で試練を受けた際、欧州連合(EU)代表団は友情を中国に携えてきた。アメリカと違って、EUの政策決定者はブッシュ政府が中国を「戦略競争相手」と見なすことに賛成せず、欧州各国が中国と接触するように促した。代表団は江沢民国家主席および朱鎔基国務院総理と会見し、1998年にEU委員会が制定した五項目の対中長期戦略を踏まえて、75項目の「行動要点」と称される具体的提案を行った。これら提案の核心は、双方の政治対話と経済協力を強化することである。EU委員会のレポートはこれについて、「中国は実力が日増しに強くなる国であり、近い将来は経済強国になる。中国はEUと政治体制を異にしているが、対中接触はEU自体のためになる」と説明している。
ここで触れておく価値があるのは、中国と友好的に付き合うことを提議し、自ら代表団を率いて中国を訪問したのが意外にもパッテン氏だということである。パッテン氏は元香港総督で、北京と言い争ったことがある。今回はEUの対外関係担当委員として、EUと中国との関係を改めて確定し、全面的なパートナーシップを樹立するために努力をした。
胡錦濤副主席
胡錦濤中国国家副主席は今年10月27日から11月14日まで、ロシア、イギリス、フランス、ドイツ、スペインを訪問し、行く先々で「元首級」か最高級の「国賓礼遇」を受けた。これは中国指導者の訪問に対する欧州5カ国の重視を示している。訪問期間に、胡錦濤副主席はプーチン・ロシア大統領、ブレア・イギリス首相、シラク仏大統領、アスナール・スペイン首相、シュレーダー・ドイツ首相とテロリズム反対などについて広範囲にわたって交流を行った。胡錦濤副主席は、テロリズムは世界の平和と安定を脅かしており、欧州各国と中国はテロリズムをなくす問題の上では同じ立場に立っており、中国はヨーロッパが世界舞台でより重要かつ積極的な役割を果たすよう望んでいると語った。
このほか、胡錦濤副主席はフランス国際関係研究所で講演を発表し、バルセロナでカタルーニャ自治政府主席プホール氏と会見し、ドイツでシュレーダー首相と共同で記者会見を行い、イギリスでエリザベス2世、野党指導者、政界、商業界人士と会見した。訪問期間、「チベット独立」を支持する人と法輪功修練者は胡錦濤副主席の訪英を抗議したが、胡錦濤副主席はこれに対し「彼らが愚弄されて、あまりにもかわいそうだと思う」と評価した。海外の華僑同胞の熱烈な歓迎の場面に対し、胡錦濤副主席は「彼らは私を歓迎しているだけでなく、われわれの国、われわれの民族に心からの感情を表しているのだ」と語った。胡錦濤副主席の今回の訪問はヨーロッパに改革・開放の中で日増しに強大になり、自信をもつ中国のイメージを展示し、新世紀における中欧関係の発展に良好な基調を定めた。
シュレーダー首相の訪中で独企業に対中投資ブーム
昨年7月の朱鎔基総理の大きな成果をあげた訪独に継いで、今年10月31日から12月2日にかけて、シュレーダー・ドイツ首相は3回目の中国訪問を行った。経済と技術の交流はシュレーダー首相の今回の訪問の主な内容である。シュレーダー首相に伴って訪問したのはミュラー経済相および有名企業の企業家47人で、これはドイツ首相の率いる史上最大の経済代表団である。今年の独中貿易額は600億マルクを上回り、ドイツは中国のヨーロッパにおいての最大の貿易パートナーとなった。シュレーダー氏の今回の訪中は中国のWTO加盟にあたり、シーメンス、バイエル、バスフなどを含む有名な企業は中国に大量の発注書を携えてきて、3日間の訪問期間中、双方は総額100億ドルの商業取り決めを結んだ。11月2日、シュレーダー首相は朱鎔基総理とともに、上海リニアカーのテスト運営線の始動式に出席した。朱鎔基総理が昨年ドイツを訪問した時に結んだこの大型協力プロジェクトの順調な実施は、両国の経済協力に広い空間を切り開くことになろう。
シュレーダー首相の1999年の訪問と異なっているのは、当時、中国はNATOが発動したコソボ戦争に非難の態度をとっていたが、現在は双方とも同じくテロリズム反対の政治同盟にあり、政治と経済分野における両国の共通利益の増加は人権問題をめぐる両国の意見の食い違いをはるかに超えている。台湾問題では、シュレーダー首相はドイツが「一つの中国」の原則を遵守し、潜水艦を台湾に売却しないことを保証した。中国外交部が表明したように、中独関係は現在のように順調で、付き合いやすいことがこれまでになく、中独関係は新世紀における中欧関係の発展に手本を示した。