中ロ関係の実り多い年

崔啓明

 今年は中ロ関係が実り多い成果をあげた年であり、注目を集めた大きな出来事は主に次の4つある。

 第一は、さる716日、江沢民主席がロシアを訪問し、プーチン大統領と「中ロ善隣友好協力条約」に調印したことである。これは今年における中ロ関係の最も重要な出来事である。20007月、プーチン大統領が中国を訪問した時、江主席は、両国関係の長期にわたる健全で安定した発展を指導する法律文書として、この条約の締結を提案したが、すぐプーチン大統領の積極的な呼応を得た。条約は中ロ両国が世々代々にわたり友好的に付き合っていき、永遠に敵としないという平和思想を法律の形で固定させ、永遠に睦まじい隣国、睦まじいパートナー、睦まじい友人になるという中ロ両国人民の願いと決意を表し、政治、経済貿易、科学技術、人文及び国際舞台での相互協力の原則と方向を含めて、21世紀における双方の関係の発展を指導する綱領的文書である。今年1027日、中華人民共和国全国人民代表大会常務委員会はこの条約を審議、批准した。条約の発効は、法律の面から両国と両国人民の世々代々にわたる友好を確保するだろう。この条約は両国人民の普遍的な擁護と支持を得ており、世界で積極的にして熱烈な反響を呼んでいる。

 第二は、さる9月、朱総理がロシアを訪問し、両国総理の第6回定期会談を行い、「中ロ善隣友好協力条約」の原則と精神の実行、両国首脳の合意した取り決めの実行、二国間の経済貿易協力拡大の原則と方向について、ロシア側と突っ込んだ検討を行い、広範囲にわたって意見の一致をみたことである。朱総理の今回のロシア訪問は今年7月に江沢民主席がロシアを訪問し、プーチン大統領と「中ロ善隣友好協力条約」に調印したあとの中ロ両国指導者のいま一つの重要な会談であり、中ロの戦略的協力パートナーシップに新しい内容を充実させた。訪問は双方の政治面における相互信頼を強化し、両国の経済貿易関係の全面的な発展を促進した。訪問期間中に双方が調印した、中国のロシア旅客機購入、中ロの原油パイプラインの共同敷設についてのフィージビリティー・スタディーなど7つの取り決めは、今後の各分野における双方の実務的な協力のために明るい見通しを切り開いた。これは中ロの経済貿易の実務的な協力が「適応期」が終わり、両国の経済貿易協力が双方の好ましい政治関係に追いつき、互いに調整、促進し合う方向に向かって発展するようになったことを示している。朱総理はロシア指導者との会談の中で次のように強調した。双方は戦略と前向きの観点で両国の経済貿易協力関係に対応し、それを処理すべきであり、その中に存在している不足に対しては、両国は実務的な態度で真剣に原因を探し、できるだけ早く解決するようにすべきである。中国側はまず自身からやり始め、確実かつ実行可能な措置をとって存在する問題を解決することを望んでいる。こうしてのみはじめて、両国は双方が合意した取り決めとコンセンサスを着実に実行し、ともに経済貿易協力を新たなレベルに高めることができるのである。朱総理の発言は率直で誠意にみち、情理にかなったものであり、ロシア側は完全に賛意を表した。

 第三は、胡錦涛国家副主席が102728の二日に行ったロシア公式訪問は円満な成功を収めたことである。訪問期間中、胡錦涛副主席はプーチン大統領と会談を行い、ロシア政府のカシヤノフ首相、クレバノフ副首相と会見し、中ロの二国間関係と当面の国際情勢などの重大な問題について意見交換を行い、多くの重要な問題で意見の一致をみた。双方は特に今年7月に江沢民主席がロシア訪問期間中に調印した「中ロ善隣友好協力条約」を高く評価し、また当面の主要な任務は適切で効果的な行動をとって、この条約を着実に実行に移し、中ロ戦略的協力パートナーシップの実質的な内容を充実させ、両国関係の新世紀における絶え間ない発展を推進することであると強調した。

 第四は、中ロの共同推進によって、20006月に地域的協力機構、つまり上海協力機構が発足したことである。「上海協力機構成立宣言」は「相互信頼、互恵、平等、協議、多様な文明の尊重、共同発展の追求」という「上海精神」を初めて提唱し、冷戦思惟を越える新しい安全観を全面的に打ち出した。「上海協力機構」の宗旨は、加盟国間の相互信頼と善隣友好を強化すること、各加盟国の政治、経済貿易、科学技術、文化教育、エネルギー、交通、環境保全及びその他の分野における効果的な協力を奨励すること、地域の平和、安全、安定の維持、保障にともに努めること、厳格に「国連憲章」の宗旨と原則に従い、独立、主権、領土保全を互いに尊重し、互いに内政に干渉せず、互いに武力を行使せず、または武力を行使すると脅さなず、平等互恵を実行し、相互協議によってすべての問題を解決し、隣接する地域で一方的な軍事の優位を図らないことなどである。「上海協力機構」はその他の国と地域に矛先を向けず、同盟を結ばず、対外開放する原則を実行し、その他の国及び関係国際と地域機構とさまざまな形式の対話、交流、協力を行うことを望んでいる。この機構の発足は、当該地域の安全ないし全世界の安全にとっても、きわめて重要で積極的な意義を持っている。

 今年は新世紀の1年目であり、中ロ関係が新世紀に入った年でもある。両国関係が今年順調に発展していることは、人心を奮い立たせるものである。中ロ関係は積極的な発展の勢いを保ちつづけ、両国の各分野での交流と協力が日増しに拡大され、深化している。中ロ両国が善隣友好と戦略的協力をたえず強化することは、両国と両国人民の願いと根本的利益に合致し、地域と世界の平和、安全、安定の促進にプラスとなる。今年827日、プーチン・ロシア大統領は新任のロシア駐在中国大使張徳広氏から国書を受け取った時、ロ中両国関係が各分野で順調に発展しており、両国関係が「歴史上最もよく、最も効果のある時期」に入った、と語った。プーチン大統領のこの評価は完全に両国関係の現実にかなっている。中ロは互いに最大の隣国であり、ともに安全保障理事会の常任理事国であり、世界の平和と発展に対し大きな責任を担っている。双方が全面的に協力を強化し、たえず戦略的協力パートナーシップを高めることは、両国人民に幸せをもたらすだけではなく、公正、民主、合理的な国際政治経済新秩序の確立を推し進め、地域と世界の平和と発展を促進することにも役立つものである。中ロ関係の将来はきっとより明るいものになると確信することができる。

 作者はロシア・レニングラード大学の法学博士、ロシア自然科学院地政学と安全学部外国籍アカデミー会員、現在は中国外交部政策研究室形勢分析処処長代行。