多国籍企業の高級行政管理担当者が全国政治協商会議の委員に選ばれたのは史上初めて。米モトローラ社副総裁、アジア太平洋財務戦略チーフ·スーパーバイザーの蔡国雄氏はこの変化を身にしみて体験した人物だ。蔡委員は『北京週報』記者のインタビで、自らの気持ちを「感慨深い」と形容し、「政協に出席したこの機会を借りて、中国に投資している外資企業のために真理を語りたい」と強調した。

蔡委員は「国内には外資系企業を、中国市場を強制占有した“侵略者”と見なす人が一部にいるが、これは正しくない。朱総理は政府活動報告の中で、過去5年（1997～2002年）の間、外国企業の対中投資は2261億ドルに達し、資金面にとどまらず、中国経済の発展を促す面でも大きな貢献をした。1995年のころ、同社の中国人管理者は15％にすぎなかったが、現在では80％にものぼっており、多国籍企業が中国のために数多くの管理者を養成したのは確かだ。1997年に同社は、国営企業1千社を対象に指導者を養成してほしいとの江沢民主席の要請に応じ、その任務は2002年に達成した」と強調した。

さらに蔡委員は「外資系企業は関連する工業の発展を牽引する上でも積極的な役割を果たした。1995年のころには、原材料はすべて輸入していたが、現在では約70％近くを中国国内で購入しており、外資系企業は市場を独占したのではなく、市場を牽引したと考えている」と強調。蔡委員は国内の携帯電話工業の急成長を例に、こう説明した。「以前、モトローラ製携帯電話のソフトは同社しか供給していなかったが、3年前から国内の携帯電話メーカーにも供給を始めた。現在、多くの国内企業と良好な提携関係を維持しており、長期的な協力パートナーである東方通信は国内でもトップクラスの通信企業に成長した」。

蔡委員は国内企業に対し、多国籍企業が中国に進出した経験を学び、自社の製品とサービスを国外に進出させていくよう提言した。「多国籍企業は自らの経験を示すものと確信している。同時に、政治協商会議の委員として、私自身が架け橋となり、自らの経験を国内の友人に提供したいと希望している」。蔡委員の偽らざる気持ちだ。

『北京週報』日本語版　2003年3月10日